第十三回 11
熙鳳はそれを聞くとはっとして問い返した。
「どうぞご遠慮なく。何かしら?」
秦氏は言った。
――嬸子さま、あなたは脂粉を率いる英雄ではありませんか、男子どもがどれだけ冠帯しようともかなわないというのに。
「何が言いたいのか分からないわ」
――嬸子さまはこんな俗語もご存じないのですか? 『月の満ちれば欠け、水の満つれば溢れる』、『高きに登れば、必ず重く跌つ』と。
今、わが家は赫赫揚揚たる勢いで、すでに百の年月を数えますが、もしもこの楽しみが極まってしまえば、一転悲しみとなります。まさに『木が倒れれば猿が散る』と言われるとおりですわ。そうなれば、代々詩書をもって知られる旧家という栄誉も、ただの虚名にすぎなかったということではありませんか。
熙鳳は、はっとして言った。
「……ああ、それでようやく分かったわ。どうすればこの家を永らえることができるのでしょう?」
秦氏はめずらしく冷ややかに笑って言った。
――嬸子さまったら、なんとおめでたいこと! 否極まれば泰来たる、というのをご存じないのね。栄辱は常にめぐるものですわ。人の力でどうこうできるものではございません」
それを聞いて、熙鳳はうつむいた。
――ただし、栄えている今のうちに衰えたときの備えをしておくことはできましょう。それをなせば長く保つのと変わりません。
「……それは、いったい」
――たとえば今、万事うまくいっているように見えますが、二つのことがまだ及んでいません。もしそれをしかるべく処しておけば、後日まで永らえることができましょう。




