表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅楼夢  作者: 翡翠
秦可卿(しんかけい)、天香楼(てんこうろう)にて淫(いん)し喪(うしな)い、 王熙鳳(おうきほう)、寧国府(ねいこくふ)を協(とも)に理(おさ)む。
227/231

第十三回 9

 秦氏が目覚めざめたとき、そこにはおっとかおがあった。

 秦氏はわずかに微笑ほほえんだが、相手はほほ一つゆるめない。

 無理むりやりもう一度微笑ほほえんでみる。だが、やはりそれへのこたえもなかった。

「このうえ、なにかできることはありますか?」

 秦氏はそううた。

「何か私があげられるものはありますか?」

 言葉ことばまる。

「私は何を……」

 まなこ不意ふいうるんでくる。ぼやけた目ではおっとがどんな顔をしているのか分からない。

 秦氏はにわかにきこんだ。寝台しんだい鮮血せんけつる。

 まったくちびるあらぬのたる感触かんしょくがあった。白布はくふおっとの手がふるえている。

 秦氏はわらいかけた。おっとかおせてしまっている。

 沈黙ちんもくりてくる。まどそときり一枚いちまいながれてゆく。

 おっとがわずかに顔を上げる。秦氏はかれ目尻めじりをぬぐった。

 しゃくりあげるおっと横目よこめながら、秦氏もきこむ。

 寝台しんだいよこ火傷やけどするようにあついおちゃを、すこしずつましながらすすると、ふたたしずけさがおとずれた。

 初秋しょしゅうの、ややかな日ざしがしこみ、秦氏はふらふらとえだのようにほそくなったうでばす。こちらをいたおっとかお逆光ぎゃっこうにさえぎられている。秦氏は右手をおっとした。ゆびゆびとがい、秦氏をすりけていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ