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紅楼夢  作者: 翡翠
第七回 栄府(えいふ)に密(みっ)し 熙鳳(きほう)二賈(にか)と戯(たわむ)れ 寧府(ねいふ)に宴(うたげ)し 宝玉(ほうぎょく)秦鐘(しんしょう)に会う
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第七回 19

「俺は今からでも祠堂しどうに行き、寧国公ねいこくこう霊前れいぜんいてやる! まさか今になってこんな畜生ちくしょうどもが生まれるとは思わなかった。

 いつもいつも犬をぬすんでにわとりたわむれるばかり、灰の上をうやつは灰の上を這ってるしよう、叔父おじっ子のよめおいとよろしくやってる、ってありさまだ。

おれさまが何も知らないと思っているんだろう! 『うでれたらそでめる』なんでもかくそうとする寧府ここのやり方はよく知ってるぜ」

賈蓉のすぐそばにひかえていた下人しようにんは青ざめた。犬を盗む、鶏と戯れるというのは乱倫らんりんのこと。それだけでもが引くくらいなのに、はいの上をうとは……。

シーシーに音が通ずる。灰の上を這うとひざよごれる。つまり息子むすこよめけがすという意味である。

下人しようにんあるじの顔をちらりと見やると、その表情ひょうじょうはひどく強張こわばっていた。下人しようにんは目を合わさぬようじっとうつむいたままでいた。


一方賈蓉は「灰の上を這う」という意味は分からなかったものの、叔父っ子の嫁は甥とよろしくやっている、というのは、昨晩さくばんの熙鳳との密会みっかいを焦大が勘違かんちがいしたのだろうと気づいた。

だが、それについて弁明べんめいしようとすると、実父じっぷである賈珍と秦氏との密通みっつう疑惑ぎわくについても言及げんきゅうしなくてはならなくなる。そのため、賈蓉はだまったままこときを見守るしかなかった。


これを聞いたおとこたちは焦大のとんでもない暴露ばくろ魂魄こんぱくぶほどにおどろき、あとのことなどおかまいなしに焦大をしばり上げ、口の中いっぱいに土と馬糞ばふんんだ。

熙鳳はこの惨状さんじょうを見せるにしのびなく、宝玉の顔をそでかくそうとしたが、宝玉はかえって々として、そのそで合間あいまからのぞき見ようとしてやめない。

「ねぇ、姐姐おねえさん。灰の上を這うってどういう意味?」

 熙鳳はまゆを上げ、目をいからせて言った。

馬鹿ばかなこというんじゃないの! あんなのぱらいのたわごとなんだから。よしんば気になったとしても、あんたみたいな子どもは知らないふりをしておけばいいの。帰ったら太太おくさまにお伝えしてひどい目に合わせてやるから」

 宝玉はあわてて懇願こんがんする。

姐姐おねえさま、もう二度と言いませんから!」

 熙鳳はため息をつく。

「ようやくいい子になったわね。 よろしい。帰ったら老太太おばあさまにお伝えして、あんたを秦のおいっ子と一緒に勉強できるようにしてあげる」

 そう言いながら熙鳳は車を栄国府の方へ戻らせた。


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