魔王Ⅱ
ああ、なんでこうなった。
大勢の魔族が目の前に・・・
『右からアルバル』
ああ、結晶の体の奴か・・・
『次がシルーミル・・・』
1メートルになってない女の子?・・・
『主殿、あまりジロジロ見てはいけません。ああみえて2万の魔族を従えるつわものです』
え!そうなの・・・
『次の方がアシュラン』
あれって虎の毛皮か・・・それを虎パンツにして虎のマントをはおっている。
上半身は裸で腹筋もムキムキだ。
『最後がアンキ』
え!太っちょの男だぞ。
あれで魔族がつとまるのか・・・
『ああ、あの方は何でも吸引して食べてしまうので「漆黒の穴」と2つ名があります』
へ~ぇ、そんな能力があるんだ。
その4貴族が並ぶ位置より数段高い位置に椅子があった。
なんて大きな椅子だ。
貴族や魔族が好奇の目で俺の動きを見てた。
「え!この椅子に座るの・・・」
シェリーが『魔王なら、どうどうと座ってください。皆が見てますよ・・・』
座る位置が俺の胸あたりだ。
なので風魔法を使ってゆっくり浮かんで座った。
アルバル『魔王様、我らを統治してくださることを感謝します』
『感謝します!』と謁見の間の魔族が土下座して言い放つ。
ハーベンの城が7貴族で1番大きな城だった。
なので魔王の式典も、ここの謁見の間で行なわれていた。
ああ、めちゃ恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
『それでは魔王様、ジャジーニを攻める決断をした時には、御呼びください』
あれれれ!あんなの大勢いた魔族と貴族が消えたよ。
残ってたのは、ハーベンの配下だけだが、それも開いた扉に向かって歩きだしたよ。
「祝いとかないの・・・」
『ありません・・・それは人間の風習なので魔族には通じません』
ああ、そうなんだ。
魔族ってドライなんだ。
なので、この城の庭でオーク肉の焼肉パーティーだ。
オーク肉を手早く切るシェリー。
切った肉を七輪で熱々になった網にのせる。
「ジューゥ」と焼ける音が・・・やっぱ炭火だな。
「なにするんだ。のせ過ぎだぞ」
アカは、器用にハシを使ってドンドンのせるから困るよ。
向こうの七輪では、ハイデンとレッドが半焼きで食べていた。
食べても腹を壊さないからいいか・・・
その向こうでは、ハイブラックが生のオーク肉にかぶりつく。
「ウマ、ウマウマ」と言ってるように聞こえる。
きっと手でも出そうものなら唸るに違いない。
ひっくり返していた肉が、ちょうど食べ頃だ。
つまんで焼肉のタレにつけて食べる。
やっぱオーク肉は、最高だ。
もう1つ取ろうとしてアカのハシが「ペシッ」と叩く。
「なんで・・・」
『カリカリに焼けた肉がいいです』
アカって焼き過ぎが好きなタイプか・・・
レッドは半焼きなのに・・・
どう見ても焼き過ぎた肉をタレにつけて食べるアカ。
そんなこんなをしてたら、大勢の魔族が匂いつられてやって来た。
『魔王様、何をなされているのですか・・・』
「焼肉パーティーよ」
『よろしければ、我らも食べさせてください』
「魔族って肉を食べないの・・・」
『我らは・・・生命力をたまに吸引するだけで良いのです』
ああ、食べる習慣ってないんだ。
それなのに『うまいぞ・・・こんなの初めてだ』
『焼き過ぎだ!ちょっと焼いた肉が極上の味なのに』
魔族もオーク肉を切りだす。
網や七輪も勝手に作って、箱に入った備長炭も勝手に使いだす。
『おお、いい香りだ』
『タレをつけて焼いたら美味過ぎる・・・』
あんなに大量にあったオーク肉が・・・
なので極上の黒毛和牛の肉もだす。
『この肉もいいぞ。口の中でとろける感じがいい』
あ、アカが調理酒を出して魔族にすすめてるぞ。
「トクトク」と茶碗に注ぐ。
『これは、いい』と飲んでる。
ああ、いわんこっちゃない。
その一杯の酒で酔って寝てるぞ。魔族って酒に弱いぞ。
きっと目覚めたら二日酔いだな。
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