ドラゴンの森
大勢の支援隊を引き連れて来たのが『ドラゴンの森』の入口らしい。
「ここから立入り禁止区域になります。我々は、ここからは行けません。ここで最後の食事をして行きますか、それともそのまま出発を選びますか?」
「シェリーは、どう思う・・・食べた方がいいかな・・・」
『時間がほしいのので出発をしましょう』
「分かりました。我々はここにベースキャンプを張ります。ドラゴンの森には、ドラゴン以外の魔物がウヨウヨしてると聞き及んでいるので、注意してください」
それも、そうだよな。
ドラゴンの餌になる魔物がいないと街に毎日襲ってるハズだ。
街に来たのは、7年前って聞いてる。
それも1万人もの死者や怪我人を出たらしい。
いつ襲ってくる恐怖は、俺なんか耐えられない。
あ!忙しくテントを張ってる。
中々頑丈なテントだ。
「そっちのロープをもっと引張れ・・・それでいいぞ」
「こっちにも杭を打ち込む必要があるぞ!!お前・・・杭を持って来い」
「気合を入れて叩け!」
ドンと杭が打ち込まれた。
「もう1度!!」
凄いな・・・あんなハンマーがあるんだ。
猫隊長が俺に近づいてきて、2本の筒を手渡す。
「なんですか、これは」
「狼煙です。討伐成功時は赤い狼煙を、失敗した時は白い狼煙を上げてください。必ず狼煙を上げてください・・・お願いします」
ああ、狼煙で生と死が判断されるから大事な事なんだ。
猫隊長も責任重大だな。
素材を求める俺って不純な動機だ・・・それって良いのか。
嫌々そんな考えはよそう。ドラゴンには、獣人も相当に悩まされてハズだ。
俺が退治すれば良いだけだ。
「頑張ってください」
「必ず退治してください」
ああ、声援だ。
『必ず退治してきますよーー』
ああ、大勢の獣人が手を振ってるよ。
なんか複雑な気持ちだ。
アカは、ペシペシと励ましてくれている。
その危機は突然の出来事だった。
広がる森林から「ヒューー」と音がして巨大な岩が落ちてきた。
メターが俺やシェリーをかばって前に出る。
突然「ドンバッン」と破裂音が・・・
危機を感じた俺は、すべてがコマ送りのように見える。
メターの左パンチが岩を砕き粉々にするのがスローモンションのように遅い動きとして見える。
これってなんていう現象なんだ。
だから俺に向かって飛んできた10センチの岩もハッキリ見える。
しかし、体の動きがついてこれない。
なんて遅い動きなんだ。それでもかわし切る。
「助かった」
その瞬間・・・あれ!通常の動体視力に戻ったぞ。
見上げると裸の巨人がいた。
それに右ストレートがメターに向かっているぞ。
メターも合わせるように右ストレートをくり出す。
あ!クロスするように巨人の顎に入った。
あれってクロスカウンターだ。
巨人の顔が変な方向に曲がって、骨が突き出ている。
血もドバーと出てる。
これで誰もが戦いは終りだと思った。
え!なんで再生してるんだ。
こいつもサイクロプスと同じ能力を持っているのか、いまいましい奴らだ。
「なんだよ、あの再生能力は・・・マジにヤバイぞ」
またもあの作戦をするしかないのか・・・『しもべ』にして再生が尽きるまで戦い続ける作戦。
それに、ここの魔物に『しもべ』の能力が通じるのか試してみるか・・・
え!シェリーが勇ましく叫ぶ。
『メター!牽引ビームで圧縮してからレーザーで焼き払うのよ』
お!牽引ビームを放ったぞ。
広範囲な牽引ビームが巨人を捕らえた。
なんと「ベキッ、バギ」と腕や足が折れた。
血を撒き散らして小さな肉の塊に変ぼう。
即!レーザーで焼かれ尽くす。
残ったのは黒い塊でボロボロと粉になって崩れる。
やっと戦いは終わったようだ。
ペシペシとアカが叩く。
『あいつもヤバイよ』
西の空を見上げると鳥の大群が飛んできている。
なにやら不穏な気配が・・・
遠くて小さな鳥にしか見えなかったのに、近づくと大きな鳥と判明。
広げる翼は10メートル超えで、目は猛禽の鋭さがあった。
マジに肉を食らう鳥に間違いない。
俺を餌としか見てない。
『メター!モード2で撃退しなさい!』
一瞬で崩れてバラバラになりながら飛ぶメター。
まさに弾丸が飛ぶ勢いだ。
先頭の鳥の頭を簡単に撃ち抜いた。
後ろに飛んでいた鳥の翼にも命中。飛べなくなって落下する鳥たち。
7羽8羽・・・12羽と落下する鳥たち。
逃げ出した鳥にも追い駆けて仕留める。
生き残って逃げたのは数羽だけ。
巨人は焼けて素材が取れなかった。なので、落下地点まで歩くしかない。
ここに来た目的は、素材集めで錬金術の為だ。
大鳥からなんの素材が取れるかワクワクだ。
「なんだよ、これは」
折角きたのに、大ムカデが食っていた。
俺らに気づいたらしい。
殺気がメラメラと感じて「カチカチ」と噛む音が響く。
メターに対して凄い威嚇行動だ。
ムカデもメターが只者でないと思ったに違いない。
『モード2で倒すのよ』
なんと気合の入ったシェリーの命令も速い。
バラバラになってムカデの周りを回りだす。
え!あのムカデの体がバラバラになって対抗して来たぞ。
やっぱ異世界の魔物だ。
なんと腹にも大きな口が・・・とんでもないムカデだ。
メターの包囲網と衝突して、弾かれた1つが俺に向かって来た。
俺は、赤刀で突いて斬った。
その瞬間、赤い血を全身に浴びる結果に・・・なんと、この血は毒だ。
毒を俺の再生で治し、また毒に犯される。
これでは埒があかない。
「水よ、洗い流せ」
やっと毒から開放。
残りのムカデを見るとメターが焼き尽くしていた。
ああ、鳥も焼けて使い物にならない。
『主殿、申し訳ありません。血が飛び散るので焼くしかなかったのです』
これって今日は、赤口の日か・・・
スマホでカレンダーを見る。やっぱ赤口だ。
陰陽道にもとづくと凶のことで、「赤」は火や血を連想させ、災いや凶の意味合いらしい。
だから燃えて無くなったのか・・・ああ、ついてない。
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