帰る
魔闘武暴走を止めてからシリー・ベンに気に入れられてしまう。
俺の体を触りまくって「中々いいね」
それだけでなくガンバ商会の皆も周りに集まってきた。
「尊敬します・・・師匠と呼ばせてください」
いやいや弟子なんか取ってないから・・・
魔闘武暴走を止めるって大変なことらしい。
「あんなの始めて見たぞ・・・名のある方に違いない」
いやいや、ここに来て1週間も経ってないって。
見る視線は、尊敬のまとだ。
ようやくシリーさんのお触りが終わったよ。
「ジンは素質があるな・・・ならば教えてあげよう・・・」
え!教えても言ってないよ。
立っていた俺の背後に回って、いきなり背中のツボをタタタタタッて感じで突かれる。
え!なにが起きた!
もう眩暈がして前に倒れ込む。
体が言う事をきかない。
だから手が出せない。地面にまともにぶつかるぞ。
サッと来たアカが上手くキャッチして・・・キャッチの瞬間は覚えているが・・・それ以降、気を・・・
目覚めた時は知らない天井だった。
急に赤い髑髏がのぞき込んできた。
「ギャエー!」と叫ぶ。
心臓がバキバキと脈打つ。
そんな俺をペシペシと叩く者が・・・
え!アカか・・・すると・・・のぞいていたのは赤スケルトンか・・・
赤スケルトンは、頭をかきながら『申し訳ない』っと何度も何度もお辞儀をしてた。
そんな赤スケルトンに変わってベッドに上半身をのせたのがハイブラック。
「ハアハアハアーー」と息が荒いぞ。
「分かったよ。お前も心配してたんだな」
「ワオーー!」と遠吠えをする。
「耳元で遠吠えするなーー!耳が・・・」
「クウーー」と言ってベッドからおりる。
「目が覚めたようだね・・・しばらく寝ていなさい・・・これで魔闘武をまとえるだろう。基本は体の気をまとって自分なりの戦い方を探す事だ。これは師匠の私でも教えることは無理だからね。1人1人には特徴があるんだよ。動きの速い者や力強い者とか・・・」
え!そんな無茶な・・・あ!感じるぞ。
なんか温かいものがわきあがって来た。
それは右手だ。
右手を顔の前で確認すると淡く光りだしていた。
これが魔闘か・・・
「おう!素晴らしい素質だ。ツボを突いただけで、もう魔闘をまとえるとは、たいした者だ」
翌日には全快した俺は、庭で魔闘をまとって空手の型を練習。
見よう見まねだが風切り音が凄いことに・・・
「ビュン!ブオン!シャーー!」
「ほうーー、そこまで出来るのか・・・」
あ、シリーさんだ。
「もう、帰ると聞いたが・・・本当かな」
「長い間、滞在したので帰ろうと思います」
そんな俺にアカが近づく。
出してきたのはダイヤの指輪だ。
その指輪を受取ってシリーさんに差出す。
「それはなんだね・・・キラキラ光って綺麗だが」
アカに作らせた。
原石のダイヤをダイヤモンドカットしたダイヤだ。
指輪の台は、あの金貨を使用。
アカは、なんでも出来る賢い奴だから・・・これぐらい簡単だって・・・
「お世話になったお礼です」
「え!貰えるのか・・・」
受取ってシリーさんは、左手薬指に・・・
え!それって・・・
もう嬉しそうに眺めている。
「左手薬指にする意味って知ってますか? 」
キョトンとした顔のシリーさん。
やっぱ、ここの風習は違うようだ。なんだか一瞬ドキッとしたよ。
「意味は知らないが、ありがたく大事にするよ」
そしてシリーさんや店の人と別れを告げてミーニャ国を出た。
しばらくして・・・
「ハイブラック、誰も近くにいないか確認してくれ」
「ワンワン」
あ!いないらしい。
俺は念じる。
おおお!出たぞ鏡が・・・迷わず入る。
そこは我が家だった。
あ!レッドだ。
飛びついたレッドは、スリスリしてきた。
「寂しかったか・・・ヨシヨシ。これがお土産だ」
赤い玉を出す。
あっという間にたいらげた。美味かったらしい。
『もうないの』的なジェスチャーを・・・
腕のようなものを2本を突き出して「くれくれ」アピールだ。
「悪いが、もうないよ」
しょぼんとするレッド。
そんなレッドを慰めるのはアカだ。
ペシペシとレッドを叩く。
今度はお返しだとレッドがアカをペシペシと叩く。
そして抱き合ってるぞ。
なんだそれは・・・
そんな光景を「フン」としてハイブラックは縁側から庭に出て日向ぼっこだ。
いつもの場所だ。
あそこから道が丸見えで警戒していて、全方位にも探知しているのだ。
最初に言った命令を忠実に守るハイブラック。
それに対して赤スケルトンは、いつもの場所で直立不動のまま立っている。
あそこも家の中を見渡せるポイントだ。
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