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放課後6

それから数日経って、中峰くんと約束したお礼の学食で集まった時に山田が連絡を入れていなかったことが判明し、同時に山田が彼女と別れたという話は学校中の噂になった。

山田は、今まで諦めていたらしい女生徒達からチャンスとばかりに何回も呼び出されるようになった。

「ゆうちゃん、助けて」と言われたが、気持ちを伝えられない悲しさを知っているから「いってらっしゃい」と笑顔で誤魔化して送り出してしまった。

笑愛ちゃんとユキくんには、想いを伝えないのかと散々聞かれたが、「友達」意外になってしまうのが怖くてその場に立ち止まったままでいる。

やっと普通に話せるようになったのに、振られたら、今度こそ一緒にはいられないんじゃないかと考えるとどうしても告白したいとは思えなかった。




言えない想いを抱えたままどんどん月日は流れて、冬を迎えて、春を迎える準備をする季節になった。

クリスマスもお正月もクラスで集まっただけ。

バレンタインは義理チョコを買って、渡した。

決して、「友達」の枠から出ないように。

変わったことといえば、放課後は勉強会と称してユキくんの家にユキくんと山田と笑愛ちゃんと私の4人で集まるようになった。

ユキくんの家で集まらなくてもなんだかんだ予定が合えば4人で過ごす時間が増えた。

ユキくんも笑愛ちゃんに想いを伝える気はないようで、私は勝手に片想い同盟の仲間だと思っている。



そして、今日は山田が久しぶりに告白のために呼び出されたのを待たされている。

笑愛ちゃんは、彼氏さんが受験を終えた喜びもあって、当分一緒に遊べないと言われた。

ユキくんは、新刊が届くから先に帰ると早々に教室を出ている。

他のクラスの人達もテストが終わったこともあり、あっという間にいなくなってしまった。

教室の暖房は消されていて少し冷え込み始める。

フワフワのマフラーの暖かさに感謝しつつ、窓の外を眺めれば、中庭に男女の姿が目に入る。

1人は山田で、もぅ1人は小柄な可愛らしい女の子。


「いいなぁ……」


心底羨ましくて思わず言葉がこぼれる。

誰もいない教室は静かで自分の声がやけに耳に大きく届いたので、慌てて口を両手で押さえた。


「そう思うなら、三浦さんもすればいいと思うよ。告白」


誰もいないはずの教室だったのに突然後ろから声をかけられて驚く。

振り返るとそこには、苦笑いを浮かべた中峰くんが立っていた。

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