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プロローグ
高校2年生の春を迎えた。
桜は早々に散ってしまったが、春の日差しが心地よい。
1年生は、どこかまだ緊張した表情をしている子が多いように思うし、部活動の加入も賑やかに行われてる。
そんな春の放課後、本屋さんに向かうために教室を早々に出てきた私は、たくさんの人でごった返している下駄箱の前で立ち尽くしていた。
新しく位置が変わったばかりで、「まだ慣れないな」と独り言を言いながら、下駄箱の扉を開くと見慣れないものが置かれていた。
綺麗な文字で私の名前が書かれているのが見える。
白い封筒に手を伸ばせば、触れた。
「ラブ、レター?」
「まさか」と思いながら言葉にすれば、急に実感が湧いてしまった。
そして、このラブレターがこれからの未来の重要な鍵になるなんて、この時の私は想像もしていなかった。