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いきなり同居!?

和は親を亡くして高校進学を諦めていたのだが、

そこに現れたのは?

ーー「これで西園寺佐恵子様の葬儀を終わります。」

 俺、西園寺和さいおんじやまとの父親は和が小学校を卒業してすぐに交通事故で帰らぬ人となった。

そして俺の母親は和が中学校卒業してすぐに一年以上格闘していた癌に体を蝕まれ亡くなった。

母さん、父さん、俺が日本で1番の俳優になるのを見届けるって言ったのに……もう死んじゃうなんて、俺、これからどうすればいいんだ、高校は?生活費は?俳優の仕事は?

俺は自分が何も出来ないことを実感して涙をながした。

 俺は中学校の頃、俳優のオーディションを受けて今ではとても人気の俳優だ。

 受験のため俳優の仕事を一旦休んで、地域でそこそこ頭のいいと評判されている高校に合格した。

高校は行けないかなぁ、自分で稼いで高校行って生活費もって考えると多分無理だもんな。あぁ、青春したかった。

俺は俳優の仕事だけでも食べていけるだろう。

しかし俺は、青春を味わってみたかったのだ。

「あなた、和くんだよね。」

見た目は40歳くらいだろうか、見知らぬ女性が話しかけてきた。

「はい、そうですけど……」

俺は話しかけてきた人が誰だか分からず、返事をする。

「私は姫野葵といいます。」

「あぁ、姫野さんか、母がよく家であなたのことを話してくれていました。」

姫野葵は俺の母である佐恵子の大の親友だ。

家でもよく彼女の話をしていた。

「それで、僕に何か?」

俺は話しかけてきた理由を尋ねる。

「佐恵子、あぁ、あなたのお母さんがね、入院してた時にに言ってたの。私たちに何かあったら和をお願いできるかしらって。」

「でも、何かって具体的になにを?」

「高校に行きたいでしょ。それと仕事もしたいでしょ。そのためには住むところとか生活環境が整ってないとね。」

「えぇ、でも流石に申し訳ないです。母がそう言っていても僕がそんなに迷惑になるわけには行きません。」

俺は両親に愛情をたくさんもらって、この世の礼儀やその他大事なことを学んでいたので、もちろん遠慮をした。

「和くんならそんなことを言うと思ったわ。でも大丈夫。それなら私の娘と一緒に暮らせばいいわ。」

「なんでそうなるんですか!?」

突然の発言に戸惑いをかくせなかった。

「娘もあなたと一緒の高校に進学するために一人暮らしを始めるのよ。これならあなたも家賃は気にしなくてもいい。私たちに負い目を感じることもないわ。」

「いやいや、それはそうですが年頃の男女が一緒に暮らすなどあってはいけません。」

「でもあの子まだ15歳だから1人で暮らすのは少し、いや、結構心配なの。家に男の子がいたら安心なの。」

たしかに、と納得してしまった。

「確かに。それはそうですね。でも、高校の費用などはお世話になるわけには……」

「でも今お金ないでしょ。」

「っ!?」

「まぁ、あなたの性格なら受けてくれないことは分かるわ。だから出世払いってことにしましょ。そうしたら仕事も頑張れるでしょ。」

「それなら。ありがとうございます。でもどうしてそこまでしてくれるのでしょうか。」

「それは、佐恵子にはとても感謝しているからよ。そんな人からのお願い事は叶えてあげなくちゃ!」

そう言った葵さんの横顔は悲しくみえた。

そうして、姫野葵の娘と一つ屋根の下で暮らすことになった。

「はじめまして。西園寺和です。今日から一緒に暮らすものです。よろしくお願いします。」

姫野彩華ひめのあやか。よろしく。」

俺は元気に自己紹介したが、彼女は冷たく自己紹介した。

その瞳はまるで俺を嫌っているようだった。

「ごめんね、和くん。この子昔っから男子のことが苦手で、過去に色々あってね、だから許してあげて。」

葵さんは俺にそういった。

「いえいえ、全然大丈夫です。僕の方こそ配慮が足りませんでした。」

姫野彩華は本当にこの世の人かと疑うほどの美人でスタイルも抜群。勉強もできて中学の頃は男子ほぼ全員に告られたほどの人物だらしい。そんな彩華だが、昔男の人が原因で塞ぎ込んでしまったことがある。それからは大の男子嫌いでとても冷たく対応しているらしい。

「あなた、私に極力関わらないで。」

姫野さんは俺に向かって冷たく言い放つ。

「善処したいが、ワンルームだから限界がある。少しは我慢してくれるか?」

「じゃあ出て行って。」

これでは仲良くできないな、と悲しんだ。

「じゃあわたしもう行かなくっちゃ。2人とも仲良くしてね!」

葵さんはそう言ってワンルームを後にした。

「あなた、私に何かしたら警察呼ぶからね。」

「なにもしないよ。」

もう夜だったので俺は料理をしようとキッチンに向かった。

自分で言うのもなんだが、父親が死んでから家事は自分でやっていたのでそこそこ家事に自信はある。その中でも料理は大の得意で一時期は料理人にでもなろうと思っていた。

「なにしてるの?」

「料理しようとしてるけど何か食べたいやつある?ていうか、俺が作って大丈夫?自分で作る?」

姫野さんが何をしてるか聞いてきたのでそう返すと、

「わたし、料理できない。ハ、ハンバーグたべたい。」

彼女は恥ずかしげにそういった。

俺はその姿に思わずドキッとしてしまう。

「ハ、ハンバーグね。具材あるから作るよ。」

俺は料理に取り掛かった。

なぜか姫野さんが俺の料理している姿を隣でじっと見ていた。

「あの、なにか?」

俺はおもわずそうきいた。

「あんた意外と手際いいのね。味はどうか知らないけど。」

そう返ってきた。

そうしているうちにハンバーグはできて、米は炊けて、ついでにトマトスープも完成した。

「「いただきます。」」

俺は家族以外の人に手料理を食べさせたことが無かったので緊張していた。

「ん、おいしい!あんた、凄いのね。これ毎日食べられるの?最高すぎる!」

姫野さんは俺が思っていた何倍もキラキラとした笑顔でいいテンションでそう言ってくれた。

「姫野さん、笑顔素敵だね。料理作った甲斐があったよ。」

俺がそう言うと、

「うるさい。あんた調子乗ってんじゃないわよ。」

そういわれた。

「俺のことあんたとしか言わないけど名前で呼んでほしいな。」

俺がそういうと、

「あんたも姫野さんとしか呼ばないじゃない。あんたこそ名前で呼びなさいよ。」

「あ、あ、あやか。」

「ちょっと、何緊張してるの、や、や、やまと!」

俺たちは互いに緊張しながらも名前呼びするようになった。

「男は嫌いだけど和はいい人だと思うわ。」

「会って数時間でよくそんなことが言えるね。」

「だって、ハンバーグ美味しいんだもん。」

理由になっていない気がするがまぁいいだろう。

こうして俺たちのワンルームでの生活が始まった。

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