〜第1章〜 5話
王宮でのパーティーから5日。
王太子からの謝罪の手紙を読んで、私はとても困っていた。
お詫びなのか何なのか分からないけど、王太子がお茶会に招待してきたのだ。
「ほんと、なんなの…断りたいんだけど?」
はぁ…とため息をつきながら、お茶を飲んでいると、カレンが声をかけてくる。
「お嬢様、それって王太子からの招待状ですよね。行かれるんですか?」
「できるなら行きたくないわよ…。」
また大きなため息をついた時、部屋のドアがノックされた。
「お嬢様、王太子殿下がお越しになりました。応接間にお通しいたしました。」
それを聞いたカレンが、さっと立ち上がって着替えの準備を始めた。
「お嬢様、王太子殿下のお茶会のお誘い断ってきたらいかがです?」
「そうね、そうしましょう。」
着替えと言っても今着ているワンピースの上からもう一枚ドレスを羽織るだけだから、すぐに支度を終えて応接間に。
「お待たせしてしまってごめんなさいね。」
応接間に行くと、王太子が座ってお茶を飲んでいた。王太子は、再度パーティーのエスコートをしなかったことを謝罪してきたから、私はもういいよと言った。
「ベル、お茶会の招待は受けてくれるだろう?ベルは俺のこと好きだもんな。パーティーの時は少し機嫌が良くなかったんだろ?」
王太子は私がお茶会を断るとは思ってもいないらしい。
「お茶会ですが。私、行きたくないんですけど。」
「な、なぜだ?」
王太子は大層驚く。
元々ベルリディアと王太子の婚約は、王家から提案されたことだった。ゲームではベルリディアが王太子を好きになったから婚約は円満に進んだ。
でも、私は正直王太子が好きなわけではない。ゲーム情報だけど、公爵家のメリットはベルリディアが王太子妃になり将来王妃になることしかない。ルトルバーク家は政治に関わりたくない家風だからずっと、公爵家は王太子派と第2王子派どちらにも属さない中立派だった。だから、デメリットも大きいんだよね。
「何故って、楽しくないからよ。」
「楽しくないって、前は楽しいって言ってただろう!」
「パーティーの時にあなたに失望してから考えたんだけど、私別にあなたのこと好きじゃないかも。」
王太子は私の話を聞いてポカン。
「まぁ取りあえすお茶会はお断りするわ。」
そこまで話をしたところで、公爵さんがやってきた。私はすかさず公爵さんにこう言った。
「お父様!殿下から明日お茶会を開くから来いと言われたのだけど、明日はお母様も一緒にショッピングするって言ってたじゃない。お父様からもお茶会断って欲しいんだけど…。」
公爵さんは一瞬“え?”って顔をしたけど、すぐに話を合わせてくれた。
「そうだったね、ベル。仕事が忙しくて忘れていたよ。…と言うわけで殿下、お茶会はまた今度にしてくれませんかね?」
公爵さんも加勢してくれたおかげで王太子とのお茶会は回避。
王太子はその後少し話をした後帰っていった。
明日は急遽家族みんなでお買い物。私のわがままで夫人や忙しいはずの公爵さんを巻き込んで申し訳ないけど、お買い物すっごく楽しみ!