〜第1章〜 3話(1)
王宮はとにかく絢爛豪華。
「あら、ルトルバーク夫人じゃない。」
夫人は早速知り合いの伯爵夫人に捕まって、離れて行った。
私はと言うと、私に気づいた取り巻きの子たちのうち2人が近づいてくる。
「ベル様、お久しぶりですわ!」
「今日もお綺麗で…!」
「お久しぶりね、ルーシャさん、ナンナさん。」
彼女達はベルリディアの取り巻きとして、ゲームでもよく出てくる6人のうち2人。
ゲームに出てくるベルリディアの取り巻きは、ルーシャ、ナンナ、サラ、マーヤ、エリス、ヒリス。このうち、ルーシャとナンナは侯爵令嬢で、他4人は伯爵令嬢。エリスとヒリスは双子だ。6人ともベルリディアが大好き。ベルリディアの言いたいことは言う性格のお陰で窮地を救われたことがある、とゲームでは言われていた。
「お二人のドレスも素敵ね!魅力が良く引き立てられているわ。」
入口が混んでいるらしく、ほかの4人はまだ来ないなと思っていると、エリスとヒリスが来た。
「ベル様!お久しぶりです!ものすごく混んでいたわ…。」
「そうなんですよ。もう少し早く家を出ればよかったわ…。」
その後はすぐにサラとマーヤも来たし、他の令嬢達も次々と来て私のところにも挨拶をしに来た。
やっぱり公爵家の恩恵にあずかりたいんだよ。身分高いって最高。ちょっと高圧的でも人が寄ってくるんだもん。
「ベル。そろそろ陛下に挨拶をしに行こうか。」
公爵さんの声に王様の方を見ると、ほとんどの人が挨拶を終えたらしく結構空いていた。
「そうね。お父様が言ってるしちょっと行ってくるね。」
公爵さんと一緒に王様の前に行き、お辞儀をする。
「国王陛下に挨拶申し上げます。ご無沙汰しております。」
「よく来た。存分に楽しんでいってくれ。」
私はすぐ解放されたけど、公爵さんは引き留められて色々と話している。
もう一回ルーシャ達のいるところに戻ると、ルーシャ達はこんな話をしていた。
「あの貧乏令嬢、まだパーティーに来てるわ。」
「あら、本当だ。恥ずかしくないのかしら。でも、いつもよりドレスが豪華ね。」
「男捕まえてねだったとか〜?」
確かに、貧乏令嬢ことヒロインのビオラは豪華なドレスを着ていた。
見覚えあるなと思ったら、あのドレス、ヒロインが王太子ルートに入る場合のミッションアバターと同じデザインだ。
私が普段パーティーで着ているドレスともデザインが似てる。
その理由は今回私がセレスティでドレスをオーダーした理由にもつながるんだけど、今までベルリディアが贔屓にしていたブティックでビオラがドレスを作ったから。前までオーダーしてたブティック、“スカイアー”から大量の注文が入ってしまったからオーダーが間に合わないかもしれないと連絡を受けたと公爵さんに言ったら、じゃあセレスティでオーダーしよう、と言われたから私のドレスはセレスティで作った。その大量の注文はおそらく王太子がビオラを哀れに思ってドレスやら普段着やらを大量に購入したからだと思う。