〜第1章〜 32話
しばらくして、馬車は王宮に着いた。
今回は早めに来たから待ち時間もほぼなかった。
リカルドと一緒に馬車を降り、後ろにカレンとメロが続く形で王宮内に入ると、ドレスの色が変わった。
「お嬢…いえ、ベル様、ドレスの色が変わるというのは本当だったのですね。なんだか不思議な感じがします。」
「ええ、いい感じにマーブル模様になっていて幻想的でもありますよね。」
シャンデリアの明かりが揺れているから、色にもばらつきがあるみたい。一番見やすい所にあるブレスレットを見てみたら、角度によって紫色になったり青色になったりした。
パーティーでは、高位貴族は会場に入る場所が決まっていて、入場と共に名前を呼ばれるの。私たちも呼ばれた。
「ルトルバーク公爵家当主クロード様、公爵夫人メイレア様、ご令嬢ベルリディア様。」
ほら、呼ばれた。軽くお辞儀をして、広間に入っていく。
リカルド達は護衛騎士と侍女だから、呼ばれないよ。後ろに控えるか待っとくか選べるけど、3人は待っとくことにしたらしい。人数が多くなるからね。シャナもいるし。広間に入ってすぐに3人のいるところに向かった。
「コーデリア伯爵家ご令息ベイル様、ジェイラン様、ご令嬢エリス様、ヒリス様。」
入口から少し離れたところでしゃべっていると、エリス達が入ってきた。コーデリア伯爵家…エリスとヒリスの家は4人兄妹だから、エリス達は兄にエスコートしてもらうらしい。
「ベル様!ごきげんよう。」
エリス達は早速私に駆け寄ってきた。
「あ、あなたがベルリディア嬢ですね。エリスとヒリスからお話は伺っております。兄のベイルと、ジェイランと申します。」
「エリス、ヒリスと仲良くさせてもらっているベルリディア・ルトルバークですわ。…とまあ社交辞令はこれくらいにしときましょうか。堅苦しいのは苦手よ。」
私はドレスの裾をつまんでお辞儀した…が、形式通りにしたのはそれだけ。すぐにいつもの“私”に戻った。
「これはこれは。噂とは違って破天荒気味なご令嬢だね。」
「お兄様、そこがベル様の良さよ!私たちに対してもフランクに接してくださるの!」
エリス達が口々にベイルとジェイランに向かってそう言った。
私は、別のことが気になった。噂ってなんだろう?最近って言うか前からずっと貴族同士の付き合いの輪に参加してこなかったからそういった噂話って仕入れにくいのよね。
「噂って?」
「簡単に言うと“ベルリディア嬢が男爵令嬢相手に偉ぶって嫌がらせをしている”って感じかな。ただ、社交界には“ベルリディア嬢は理由のないことはしない”という噂もありますしそちらを信じている方が多いから前者の噂はあまり信用されてないよ。最近やたらとベルリディア嬢の悪い噂を聞くんだよね」
ふーん…と思いながらベイルの話を聞いていた。
多分噂を流したのはビオラかな。




