〜第1章〜 1話
転生してから3日経った。
暇すぎた私は街に行くことにした。
でも、1人では外出できないことになっている。だから、メイドを連れて行かないといけない。まぁ買い物するなら荷物を持ってくれる人がいる方がいいから助かるけど。
メイドの名前はカレン。ベルリディアが幼い頃から仕えているメイドだったはず。
◆
「お嬢様〜!私こんな服貰えませんって!」
今、私はカレンにお出かけ用のワンピースを1着買おうとしていた。カレンは孤児院から来た住み込みで働くメイド。住み込みであるため給料が少なく、服をあまり持っていない。
「遠慮しないでいいのよ?今日は散財する目的で来たし、あなたあまり服持ってないでしょ。」
でも〜…と遠慮するカレンを半ば無理矢理説得して、セーラーカラーの紺色のワンピースを買って、そのお店を出た。私は服有り余ってるからね。
「お嬢様!このお菓子美味しいですっ!」
30分も買い物を続けていると、カレンもすっかり買い物を楽しんでいた。お菓子を買ったり、宝石を買ったり。
昼間に出かけて、帰ってきたのは夕方だった。
帰ってからやることは室内用のドレスに着替えて夕食を待つのみ。
着替え終わるとすぐ、執事が夕食の時間ですと部屋をノックしてきた。
夕食はとっても豪華で、さすが公爵家だなぁと思ったよ。
絶対食べきれないだろうって量の品。おそらく、残った分は賄いか何かになるんだろう。
「ベル、今日はずっと買い物をしていたそうだね。いいものは買えたかい?」
「ええ。凄く綺麗なサファイアのブローチがあって、衝動買いしちゃった。ほら。」
私は、そのブローチを指差す。ブローチは透かしパーツが効果的に使われていて、ドレスにもワンピースにも似合う。
「似合うじゃないか。」
公爵…ベルリディアのお父さんがそう言った後、3回目の品追加が始まった。私、もう食べれないんだけど。
食事を開始してから30分ほど経った頃、やっとデザートが出てきた。
デザートは、小さめサイズのモンブランとプリン。
「おいひ〜…」
と言ってしまってからハッとした。ベルリディアってこんなこと言う性格じゃないし、淑女教育で徹底されてきたから絶対変に思われるはず…。
ビクビクしながら食べすすめていると、予想外の声が聞こえてきました。
「か、かわいい…!」
「えっ。」
かわいいって言った?今。ポカンとしていると、メイド達が慌てて謝ってきた。
「も、申し訳ございませんっ!」
すると、公爵さんが満足そうにこう言う。
「そうだろうそうだろう!ベルは可愛いんだ。ようやく気づいたか!」
隣では公爵夫人もニコニコ笑っている。
なんと、お咎め無し。
と言うか、ずっとこのゲームやってたはずなのにまさかの新情報『公爵は親バカ』をゲット。
でも、これで公爵は私に味方してくれるって確信できた。
結構大きな収獲だよ。