運命の輪は止まることなく廻り続ける
ご覧いただきありがとうございます。第二章スタートします。いつもより早いですが、本日2回目の投稿です。
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あの日からアルフリートは、前のように片時もリディアーヌから離れなくなった。今も与えられた部屋にいるリディアーヌを護るべく、扉の前に控えているようだ。
「はっ。駄犬はあいも変わらずですね。まぁ、お嬢様の番犬としてだけは有能ですけれど。鬱陶しいこと」
エリーゼもいつのまにか魔王城の少し大人びたお仕着せに着替えて、何食わぬ顔でリディアーヌの身の回りの世話をしている。
「アルフリート様は、本当におねえさ……あっ違った。お嬢様がお好きなのですー」
「アルフリート様。いつもお嬢様のそば、離れない」
そして何故か、ハイドの里にいた双子、リルルとメルルまでがお揃いのメイドのお仕着せを着てエリーゼとともにいる。
―――里の決まりに従うと言った以上、断れませんでした。お許しください、お嬢様。
(エリーゼは言っていたけれど、2人ともよく働くし可愛いから大歓迎だわ)
最近リディアーヌは、銀の髪のリルルと黒髪のメルルを愛でるのが何よりも楽しみだった。
2人がエリーゼの後を追って、クルクルと働いている姿はとても愛らしい。
(それから、そろそろここにも、もう少し馴染みたいものね)
リディアーヌは部屋から出る時も、アルフリートがぴったりくっついてくるので周りからは遠巻きにされているようだ。
それから、やたらとドレスを贈ってくるのでリディアーヌは、少し困惑している。俺だってずっと贈りたかったのに。と呟いていたので魔王に先を越されたのがよほど悔しかったらしい。
ハッキリ言って、アルフリートのセンスは良い。このドレスも、自然なボディライン、ハイウエストに繊細なレースがあしらわれて膝下あたりからふんわりとした裾と着心地が良い上に可愛らしい。
(でもこの色は……)
「はぁ、お嬢様は何を着ても女神のようにお美しいですが、この色合いには犬の執念を感じてなんだか嫌です。他のを手に入れて差し上げますので捨ててしまいませんか?」
今のドレスは、深海の色。淡いクリーム色の花模様のレースが彩っている。所々には、細かい金色のビーズが上品に施されていた。
(とても高価なものだわ)
それでもやはり、アルフリートの色をしたドレスはとても嬉しいのだった。
詳しいことはわからないが、アルフリートはリディアーヌと離れていたあの短期間に、魔王軍の序列一位、魔王の右腕的存在になっていた。今は序列一位暗黒騎士アルフリートと呼ばれている。
(聖騎士から魔王の右腕の暗黒騎士って……。理解が追いつかないのだけれど)
そういうリディアーヌも闇の聖女という肩書きになってしまっているのだが。
ちなみにキースは、序列争奪の戦いに自分も参加すると息巻いていた。
しかし直後に長老に呼び出しがかかり、リルルとメルルと入れ替わりに渋々里へ帰っていった。
そんなふうに思いを巡らせていると、にわかに扉前が騒がしくなった。
「まぁ、良いではないかアルフリート殿。俺も闇の聖女様にお会いしたいのだ」
―――ばぁんっと扉を開けて赤茶色の髭を生やした大柄な男が入ってきた。その後ろで、すでにアルフリートは抜剣し、リディアーヌの前に立ったエリーゼも氷の刃を生成している。
(うん。私がなんとかしないと紅の雨が降りそう。それにこの人は、私もよく知っている)
「お許しください。リディアーヌ様は、お会いしたくない相手にも関わらず。今、始末します」
「ん?闇の聖女様に何か嫌がられるようなことしたか?初対面だと思ったが?」
今現在のあまりに失礼な行動は棚に上げて、本当にわからないというように顎に手を当て男が首を傾げている。
(あわわ、アルフリートさまの瞳がっ。それ以上煽ってはダメ―――っ)
「あ、あの。私もアルフリートさまの魔王城でのご様子、伺いたいですわ」
(それに、皆さんと仲良くなれる好機かも)
火傷したような灼熱の感覚が脳裏によぎるのを振り切るように、リディアーヌはよそ行きの笑顔で慌てて二人の間に割って入った。
最後までご覧いただきありがとうございました。




