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繰り返しの元聖女は聖騎士改め暗黒騎士を守りたいのに溺愛される  作者: 氷雨そら
第1章 聖女は聖騎士を救いたい
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闇の聖女はメイドに打ち明ける

ご覧いただきありがとうございます。

 

 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「いやぁ、とんだ貧乏くじ引かされたと思ったけど、一流の仕入れ先に繋がるなんて、アルフリートに感謝だな。あれの実用化も目処が立ちそうだし。まぁ、リディアーヌ様を無事送り届けたら別途成功報酬は頂くけど。フハハ」


(バルトルトさまが、黒い笑顔になっている)


 バルトルトとルッツは、あの後も何やら取引の話をしていた。宿屋に入った今は何やらブツブツいいながらも集中して、図面や帳簿と睨めっこしている。


「お嬢様」

「はいっ」


(いけない、思わず現実逃避してしまったようだわ)


 先ほどまで剣の形をしていた魔道具は、今は再び黒いブレスレットに戻って、リディアーヌの左手首を飾っている。


「聞きたいことが増え続ける一方なのですが、何か話していただけることはあるのでしょうか」


(エリーゼが、珍しく満面の笑顔だ……。これ本気ギレのやつだ)


 リディアーヌの背中を、冷たい汗が伝った。気のせいか、部屋の温度まで下がってきている気がする。


「実は、この剣に殺されたんです」

「……は?」


 その瞬間、部屋の温度が急激に下がり、湯気を立てていた紅茶も凍ってしまった。


(ひぃっ、動揺していきなり変なこと言っちゃったよ。本当のことだけど!)


「……はぁ、本当のことなんですか。まったく、私のお嬢様は秘密が多い」


 エリーゼがため息をつくと、部屋の冷気が幾分か和らぐ。リディアーヌがホッとしたのも束の間、紅茶が入っていたカップが、パキンッと音を立てて割れた。


「それで今日こそ、洗いざらい話していただけるのですよね。お嬢様?」


 笑顔で詰め寄られこれ以上隠すことはできないと、リディアーヌはエリーゼに死ぬ度にあの時点に戻っていることを説明した。


 もちろん、惨たらしい死の代償やアルフリートのことは伏せたが、それでもエリーゼの怒りは凄まじく。


「6回もお嬢様をそのような目に合わせるとは、自分の不甲斐なさと、あの男の使えなさ加減に世界を滅ぼしてしまいたいほどの憤りを感じます」

「あの、今はなんともないから落ち着いて……」


(全てを話したら本当にやりそうで恐ろしいわ)


 次の瞬間、リディアーヌは、エリーゼに抱きしめられた。


「お嬢様。今度こそお守りいたします」

「……ありがとうエリーゼ、貴女がいたから頑張ってこれたのよ」


「その言葉をいただけただけで、十分です。全てをお話いただけないのは許して差し上げます。お嬢様。それにしても、なぜ駄犬はお嬢様を殺したという魔道具を持っていたのでしょうね。ふふ、ふふふふ」


(まだ、満面の笑顔だった!アルフリートさま、逃げてぇ!)


 ヒュッと息を呑み込んで、宿屋の部屋の中、しばし極寒に耐えるリディアーヌだった。

最後までご覧いただきありがとうございました。


バルトルト「あれ?なんか部屋が寒くないですか?」


リディアーヌ(あの怒りのオーラの中で集中できるなんてバルトルトさまって実は大物ですよね。)


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