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【第二部進行中】薬剤師の南 [沖縄×薬局薬剤師]  作者: 黒坂礁午
第10話 早雪 前編
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早雪 前編 6

 薬剤師法第二十一条、「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」。これは例えば、災害などで必要な医薬品の調達が不可能な場合などの状況でなければ患者からの処方箋を応需し、調剤しなければならないという条文である。

 つまり、薬局で処方箋を出して調剤薬を要求する――この行為で、薬局側の私達がシロを薬局の外まで追い出す口実はなくなってしまったわけだ。


 怪訝な様子の新垣さんが処方箋を受け取ってレセコンに入力を始めた。その間シロは待合室で薬局内をつぶさにを観察するかのように視線をあちこちに動かしていた。


 間もなくして、私と入れ替わりで監査に入っていた當真さんからシロの薬が回ってきた。


(精神科の処方で……一日の処方量は、ゾルピデム10mgが1錠、それにエスタゾラム2mgが1錠……)


 不眠症の処方のようだが、単剤での処方が多い不眠症で二剤の処方、それに服用量が多い――直感的にそのような印象を受けた。


 待合室から呼び出したシロは、足を組み投薬台に片肘をついて話を始めた。


「当然知ってのとおり、私は薬剤師の資格持ちだから指導なんていらないけど、一応何か訊いておく?」


 その態度は何だ、と思いながら私は、


「……不眠なの?」


 デリケートな疾患である精神疾患の患者へのヒアリング方法としては失格な訊き方だったが、相手が薬剤師で、私の友人、それに一応質問には積極的に答える意志がある様子だったので、直球で疾患名を訊くことにした。


「十代のころからこれだよ。誰かさんのお陰でね!」


 私ではなく、調剤室のずっと奥の方に向かって怒りがこもった声を発した。どうやら社長に聞かせるように言ったようだった。


「あいつは?」


「誰のこと?」


「ここのクソ社長の謝花宗徳」


「今はいない」


「なんだ、わざわざこっちの病状を処方箋持って教えに来てやったのに」

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