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【第二部進行中】薬剤師の南 [沖縄×薬局薬剤師]  作者: 黒坂礁午
第二部・プロローグ
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第二部・プロローグ 2

 テーブルに座ったのは桂皮、釣藤鈎、芍薬、麦門冬――いつもの四人だ。

 そこに私が座り、見た目は一人きりだが実質五人、しかし傍からみれば滑稽な会議が始まる。

 桂皮が話し出す。


「で、あんた、本当に『あの人』の顔くらいしか覚えてないわけ?」


「うん、それ以外は、まるっきり……」


「ありえない。あれだけ遊んでもらったのに?」


「覚えてないものは覚えてないんだからしょうがないでしょ?」


「ハァー、薄情だねぇあんたも」


「二人とも落ち着いてください。覚えていないのならこれ以上言い合いをするのは無意味です」


 釣藤鈎が私達を静止する。


「釣藤鈎に同意です。桂皮は少し自重してください」


「ケッ」


 と麦門冬もなだめに入り、桂皮がふてくされてそっぽを向いた。


 次に口を開いたのは芍薬。


「そもそもどうして、お父さんとお母さんは『あの人』のことを隠してるんでしょうねー?」


「ムショにでもぶち込まれたんじゃない?」


 桂皮が投げやりに言う。


「……むしょ?」


 刑務所――刑事罰を受けた可能性、か。


「ヤバい調剤過誤とか、職場の薬の横流しとかさ。理由なんて色々あるじゃんこの仕事。で、恥さらしの存在になったからあんたのご両親は『あの人』の存在を抹消――だいたいこんな感じじゃない? あんたも他人事じゃないから気ぃつけなさいよ」


「う……」


 考え出されたこの可能性と、自分自身が将来負いかねない責任――薬を盗んで転売したりなんてもちろんしないけど、前者についてはいつでも起こり得ることだ。それに私は怯んだ。


「皆、そんなこと言わずに、もっと前向きに考えて見ませんかー?」


 芍薬が言った。

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