ヒーローの南 4
窓口での薫の応対は終わったようで、薫が立ち上がる。
「お姉、仕事は六時までだっけ? それくらいの時間にお姉の家に行くね」
私は頷いて、
「それまではバスでノーズタウンにでも行ってきな。来た時に見えたでしょう? あと、残業があったらもっと遅くなるからね」
「わかってるって!」
ノーズタウンは全国展開をしている大型ショッピングモールで、その一つが銘里市内にある。数時間の暇つぶしには十分な場所だ。
会計を終えた薫は、
「皆さん、今後もうちの姉をよろしくお願いします!」
と一礼して薬局を後にした。
當真さんが口元に手を当て私のほうを見ながら笑う。
「『お姉』だって。ああ、可愛いなあ! 家庭感がある会話を聞くのって私大好きなの!」
「もう、やめて下さい!」
可愛いとは、薫のことか、それともお姉呼ばわりされた私を指すのか、はたまた両方か。
「とてもしっかりした妹さんだね」
横から社長が言う。
「いきなり職場に押しかけられて、とても迷惑でしたが」
「でも嫌ってるようではなさそうだったけど?」
「ええ、まあ」
「そうか。これからも妹さんと仲良くね……ちょっとお節介みたいになっちゃったかな?」
そう言い残して社長は社長室に戻っていった。




