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仕事を全て終え玄関まで移動すると、見送りに来たお母様に、
「すいません、お聞きしたいことがあって、先ほど高江洲さんがお帰りになる前に美海ちゃんが――」
と當真さんが切り出す。美海ちゃんとの揉め事についての事情を知る機会をうかがっていたのだろう。
お母様の話はこうだ――美海ちゃんの言うように県内で彼女を受け入れることができる高校がないわけではないが、どの学校もこの自宅からは遠く、本人の通学の負担を考えれば高校の近所に引っ越さなければならない。しかし、
「小さいころから今まで、ずいぶん長い時間をこの家の中で過ごしてるので、家の外にも居場所がうまく作れていないんです。本人が一番辛いというのはわかっているつもりですが、私ももう相当参ってしまっていて、これから先も一人で面倒を見きれる自信がないんです。親戚もあちこちに散らばって住んでいるので頼るに頼れなくて……」
それゆえお母様が考えている最善の策は、東京に単身赴任をしている美海ちゃんの父親のもとで三人で暮らすというもの。東京であれば美海ちゃんの受け入れが可能な高校の数も増え、電車での通学も学校までの距離次第ではできなくはないという。そのためお母様は最初からこの提案を通すために美海ちゃんに「県内で受け入れができる学校はない」と言ってしまったということだ。
「――今日は美海のせいで、お二人に失礼があって申し訳ありませんでした」
力なく頭を下げるお母様は、本当に痛々しかった。




