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【第二部進行中】薬剤師の南 [沖縄×薬局薬剤師]  作者: 黒坂礁午
第6話 青い宇宙 Ⅰ
30/72

3

 高江洲さんの家はアパートの一階部分にあった。どの部屋もドアの間隔が広々として、もう一回り建物が大きければマンションというくらいの規模だ。おそらくはファミリー層をメインターゲットとしている物件なのだろう。

 當真さんはチャイムを鳴らして名乗ると、


「入ってー」


 間延びした女の子の声がインターホンから返ってきた。

 そのまま私達はリビングまで入る。


「こんにちはー、薬局でーす」


「朋夜ちゃーん! 元気だった?」


 数学の教材を机に広げた女の子――高江洲美海さんが、當真さんの姿を見て表情がぱっと明るくなる。


(……と、朋夜ちゃん?)


 想定をはるかに超えたフレンドリーなやり取りに、私はいきなり面食らった。

 美海さん、いや、美海ちゃんの外見で目に付くのは、やはり在宅酸素療法の要で、酸素を吸入するための管――鼻カニューラを付けていること。だがさっきの様子を見る限りは、不登校ながらも、自宅での生活は健康的に行えているようだ。


「お母さんはお仕事?」


「うん、そろそろ帰ってくると思う。で、そっちの人、誰?」


 私は當真さんの後ろから前に進み、


「初めまして。新しく入った薬剤師の南依吹って言います」


 形式ばった挨拶にならないよう、やや言葉を崩すことを意識した。だが突然、


「東京?」


 美海ちゃんがあからさまに不機嫌になる。


(――え、よくわからないけど、いきなり地雷踏んだ?)


 耳のあたりに冷や汗が一筋流れて白衣に落ちた。


「ねー朋夜ちゃん、わざわざウチに東京の人連れてきてさ、朋夜ちゃんも私に東京に行けって言いに来たの?」


 當真さんのほうを覗うと、戸惑っているのか、無表情の中にもやや怪訝な様子が感じられた。


「ごめん、もうすこし詳しく聞かせてくれるかな?」


 當真さんはきわめて冷静に訊き返した。

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