「新人魔法少女は素直じゃない」
季節は春。全国津々浦々、草木萠ゆる頃合い。
この町でも例に漏れず、植物の緑は、夏の絶頂期に向けての成長期だった。その若々しい輝きに、少しだけ自分を重ね合わせる……重ね合わせられるかどうかを悩む、その最中。
運転中にもかかわらず、道路外で自生する、並々と立つ木々に優しくされた目を、思わずこする。
ひび割れた道路の真ん中で、筋骨隆々の男がドカリと座り込んでいた。
川北玲奈は「なんなの〜」と、文句を言いながら車を止める。
多少イラつきつつ、障害物を睨みつけた。シルエットがおかしいな。
もう一度目をこする。
「あれは……新手のファッションなのかな?」
その禍々しさに、玲奈は若干気圧される。しかし、コスプレイヤーだろうがなんだろうが、道路に足を組んで座すなど迷惑行為以外の何物でもない。デモじゃああるまいし。
デモであってもここまですれば、警察に補導され、一先ず歩道に連れ去られるだろう。
注意せねばならない。常識的な判断で以って、彼女は車を降りる。
「ちょっとそこの人。ここは座禅を組む場所ではありませんよ。曹洞宗かどこかのお寺に……」
かまされるのは、どこかズレた説教。
彼女と三日以上かかわった人なら皆知っているが、その性格には天然と癒し成分が多分に含まれている。
「……鱗?」
目を咎めた異物、通常の人間ならついているわけないものに、玲奈はキョトンとした声を出す。特殊メイクの類だろうか。
ガサガサと、鱗が動いた。
彼女はビクリと後退る。あまりに生物的な動きだった。
震えて音を出す機能に特化している鱗。まるで楽器のように。
背筋を這い伝う音。
どこか嫌悪感を催す。
「っ……!?」
鱗の持ち主はクルリと振り向いた。
唇のない口。瞼のない目。縦に裂けた瞳孔。
「蛇」
人間ではない。
人間のように手足が生えているが、人間ではない。
化け物。
グッと腹筋に力を込め、立ち上がったと思えば、二メートル半はある。低身長な玲奈と比べても倍はない。が、彼女には自分三人分の背丈があるように感じられた。
鎧を纏っているのかと、錯視するほどの強靭な足を一歩踏み出す。ズシンと地面がかすかに揺れた。
「い、いや……来ないで……」
ガクガクと、生まれたての小鹿みたいに、小刻みに揺れる足。入学式仕様で慣れないハイヒールを履いてきたため、足元はひどく覚束ない。
「あっ」
バランスを崩してコケる。それが幸運だった。
頭の上を巨体が通り過ぎる。目で捉えきれないほどのスピードで。ブワリと髪の毛がかき乱された。
後方で破壊音。
振り返ると、玲奈を溺愛する父親が買ってくれた軽自動車が弾かれ。
ガードレールに車体を掬われ、宙で回転しつつ道路から飛び出て。
木々をへし折りながら地面に激突し、爆発した。
「なんなの」
心臓がキュッと締まる。一歩間違えればミンチ確定。
茫然自失となることなく、動きにくいハイヒールを脱ぎ捨て走り出す。携帯電話で助けを請う時間はなかった。大声を出しても、この人気のない場所で誰かに届くかは分の悪い賭けでしかない。彼女にとっての最善を選んだ。
道路脇の、身を隠しやすい林に逃げ込む。
足の裏に石や細かい木の枝が突き刺さるが、気にならない。
「シュー……」
舌をチロチロ、また蛇独特の空気音を出して、怪人は玲奈を追いかけてくる。彼女の蛇に関する知識は拙いものではあったが、ピット器官というもので動物の体温を精確に察知する、ということは知っていた。
身体能力もサーチ能力も優れた相手。逃げ場など、あるのか。
「近くに、沼があったはず……」
彼女はこの町の出身で、幼い頃から「探検」と評しては、色々なところを練り歩いていた。町の地理のことなら、知らないものはないとでも言うかの土地勘があった。
体温に反応するなら、冷たい泥を纏えば探せなくなるのでは。
一筋の、薄く細い光明に縋り付き、彼女はひたすらに走る。
ジグザグに、デタラメに。
化け物に比べて遅過ぎる速さは、予測の困難さで補う。
しかし悲しいかな。川北玲奈にスポーツの経験は乏しい。それこそ小学生の時にやっていた鬼ごっこ以来だ。
どうしても走る経路に意図せぬ傾向が出てきてしまう。
動物的本能の鋭い化け物にとって、彼女の癖を見抜くなどいとも容易いことであった。
「! 沼っ!」
顔を綻ばせる玲奈。
再び撹乱の進路変更のため、後ろを振り向き化け物を確認しようとして。
「いない」
それでもと、フッと進路を、右に振れさせたのと同時に。
「シャアアアァァ!!」
「キャア!?」
接近されていた。化け物の息遣いが肌を撫でる。
自分でもどうやったか分からない。
蛇の牙を躱しつつ、その股下をゴロゴロと潜る。
たまたま出来た。もうこんな神業じみた回避は不可能だ。
沼は目と鼻の先。
手を伸ばして、自分なら跳べると信じて、足に力を込める。
フッと体が浮いた時。
「ぎあっ」
大量の土が、体に覆いかぶさった。後ろ目に映るのは、下投げ直後の姿勢でニヤつく化け物。土はなけなしの跳躍力を全て殺し、彼女を半分生き埋めにする。
目にも入ったのか、凄まじく痛い。涙が止まらない。
涙が止まらないのは、果たして痛みのせいだけだろうか。
これからの壮絶な死を予感して、悲しみとやるせなさが決壊したのもあるのではないか。
「町の平和を守ってましたの!」
不意に下校間際の、遅刻した生徒の言い訳を思い出す。自分が初めて受け持つ、可愛い生徒たちの一人。嘘と決めつけ、叱ろうとしたけれども。
こんなのがいる町は、絶対に平和ではない。
ひょっとして。
あの子は本当に。
「橘、さん」
「呼びましたの?」
女の子の声がした。
激痛と涙で溢れる目を必死に開いて、声の主を探す。
捉えたのはヒラヒラで紫色の衣装を着込む、少女の輪郭。
「嘘偽りなく、ワタクシが平和を守っていたことが理解出来たことでしょう!」
勝ち気な喋り方で、少女は姦しく宣う。
「嘘つき呼ばわりしたこと、あとで泣いて感謝しつつ跪いて。もう這いつくばって謝りなさいな」
◇◇◇
助けなくったって、別に良かったのだ。
橘和美はそう思う。
「『遺禍』が現れたリン。襲われているのはあなたの新しい先生リン。どうするリン?」
だけれど、気づけば体は走り出していた。
おかしな言い訳と断じられた時、心の中で「怪人に襲われても助けてヤンないですわ」と息巻いていたのに。実際に助ける気なんてまるでなかったのに。
橘和美は、目的地に向けて駆けていた。
「近かったから。きっと近かったからですわ」
なんて一貫性のなさ。自分で無性に恥ずかしくなって、後付けの理由を考え始める和美。事実として、帰り道をスタスタ歩いていた彼女と襲撃現場は、五百メートルも離れていなかったけれど。
自宅の近所を荒らされる。阻止せねばなるまい。心中で繰り広げられる、後付けの理由のオンパレード。
地面を蹴る力が強まる。
「それに、あの女のムカつく無表情も忘れられますし」
自分主催のショーを止めるにとどまらず、上から目線で忠告してきたあいつ。
魔法少女としての技術はかなり高そうだった。教室でのあの動きを、変身もせずに。
魔力なるものを相当以上に使いこなしている。
自分以上に。
でも臆病そうだった。精神的にはひどく脆そうだった。特に人間関係に対して。
つまらない奴。
イライラする奴ですの。
「戦えば、きっと忘れられますわ」
自分にそう言い聞かせる、強く、強く。それによって、「あの女のムカつく無表情」とやらをもっと、もっと意識してしまっていることなど、気づきもせず。
「リーン、この辺りでしょうか……っ!?」
ハッと、目を疑う。木々を無残に折らしめた軽自動車が、周囲を轟々と燃やしていた。
ここまで届く炎の熱が生々しい。もしや先生はすでに、なんてことも考えてしまう。
「燃えている方とは逆の林に逃げ込んだんだリン! 今追いかけっこ中リンよ!」
まだ生きてはいるようだ、と和美は心でホッとする。だが一刻を争う事態。一般人が化け物から逃げられる時間など、そう長くはない。
タイムリミットは無慈悲に迫る。
「ちっ! ですの!」
焦る。冷や汗が邪魔くさい。その気持ちを舌打ちで表して、怪人のいるという方角へ向かう。
「今のうちに変身しておいた方がいいリン!」
「走ってる間に変えといて、ですわ!」
衣装を変えながらキラキラくるくるというのも嫌いではないが、今はとてもそんな気分になれない。彼女はマスコットに頼み込む。
スゥッと制服が宙に溶け込んだ。一瞬だけほぼ半裸の状態になるが、気にせず足を動かす。ヒラヒラで彼女の綺麗な肢体が覆われるとともに、魔力が体に馴染む。
魔力に体が馴染むとともに、力が湧いてくる。
「っ! 先生!」
何本もの木々の隙間に、川北玲奈の小柄な体を見た。沼のほとりに彼女はいる。髪や衣服に落ち葉と土を絡ませて。恐怖に歪んだ表情で。
すぐ側には、鎧のような筋肉をした、怪人。
柔らかな土の上では、魔法少女の脚力を十全に生かした動きは出来ない。ごめんなさいですのと念じつつ、彼女は太めの木の幹に跳躍する。
その姿が消えた途端、衝撃波に木は折れた。
続けざまに五本の木が折れていく。沼の方に向かって折れていく。
投げつけられた土に押し倒される川北先生。橘さんと、懺悔するように動く口。優れた動体視力でそれらを捉えた和美は、玲奈の心情と思考を全て察する。
勢いのつき過ぎた体を、小さく丸めて十回転宙返りしいなしたのち、埋もれる先生の前に華麗に降り立つ。
「呼びましたの?」
土壇場の瀬戸際になってやっと反省されたことに、かなり苛立つ橘和美。
なぜ多くの人間は、もっと柔軟で、かつアグレッシブな考え方が出来ないのですわ?
この先生然り。
あの金髪ハーフの女然り。
「嘘偽りなく、ワタクシが平和を守っていたことが理解出来たことでしょう! 嘘つき呼ばわりしたこと、あとで泣いて感謝しつつ跪いて。もう這いつくばって謝りなさいな」
長い口上を並べてはみたが、橘和美とてそこまで余裕があるわけではない。
魔法少女になったばかりの彼女にとって、目の前の怪人は強敵だった。
至近距離で対面して感じる、強烈なプレッシャー。
無造作に振るわれる裏拳を辛うじて躱したのち、右手の甲に魔法でクロスボウを練り上げる。
「ミニシャイニングアロー!」
ヒュッと発射された光の矢は、蛇の頭の眉間へ一直線。危険と重圧の中で慌てず騒がず、的確に急所を狙う胆力はさすがと言える。
マニアックな父親から、幼い頃よりクロスボウの使い方を学び、反射的に扱えるほどに慣れ親しんだ武器というのもあった。
が、肝心の魔力操作はまだまだ稚拙だった。眉間に当たるも、弾かれる。怪人の骨を貫き通すほどに、魔力を緻密に練り上げられなかった。
ギョッと怯み奥歯を噛み締めつつ、バッと距離を取る。「想定内ですの」と強がって。
怪我は負ってなくともそれなりに痛かったのだろうか、シュルルル……と憤怒の呼吸音を鳴らしつつ、怪人は注意を和美に向けた。
ここで暴れたら先生が危ない。
魔法の矢を心臓や肝臓部分に射かけつつ、和美はジリジリと下がる姿勢を見せる。
「シャアアアアッ!」
思惑通り、怪人は巨体を和美に向けて、ズンズンと追いかけてくる。
「よしっですわ」
後退のスピードを速める。相手も吊られる。それほど時間をかけずに、沼から距離を取ることに成功した。
もう暴れても大丈夫、ですわ。
土を蹴り、体を浮かせる。こうも立体的な動きにまだあまり慣れていないからか、下に置き去りになる木の根に、なんとなくの夢想感。
枝に飛び乗り、怪人を見下ろして、魔法の矢を何本も射る。枝から枝へ飛び移り、撹乱も行う。重力のおかげか、多少のかすり傷を負わせられるようになった。
だが致命傷とは、程遠い。
それでもこうやって、安全地帯から攻撃を加え続けられるならまだいい。しかし世の中はそう上手くはいかない。
フンッと怪人は力んで、屈みつつタメを作る。
「まさか」
和美は目を見開く。轟音とともに、すり鉢状にめり込む地面。
怪人の周囲の木々が、すり鉢の中心へと勢いよく倒れこむ。
彼女は咄嗟に、自分のいる枝から飛び降りた。同時にタックルが今いた場所で炸裂する。枝どころでない、木が上下真っ二つに折れ、上半分は空に飛んだ。
大技の後の隙。
ここを見逃すわけにはいかない。
落ちる途中、二本の矢を放つ。一つは筋肉で守られない、怪人の関節の裏目掛けて。見事に突き刺さる。苦悶の表情を浮かべる敵。
もう一つは。
怪人の落下地点に突き刺さり、未だ形を保つ矢。同一地点に、追加で矢を放つ。
怪人が着地した瞬間。
「シャアアアアアアアァァァッッ!??」
土に刺さる矢に込められた魔法が暴走し、爆発した。衝撃を受けつつ、なくなる足場に落下する怪人。
グシャリという音がする。あの筋肉ダルマでも、自重は相当負荷となっているはず。
大怪我はしたに違いないですけれど。
でもこれで倒せるとは思ってませんの。
「トドメですのっっ!!!」
切り札を発動させる。
上空に、銀に煌めく巨大なクロスボウ。こめられた魔力による荘厳なプレッシャーが、大気を歪め、木々を大きくざわつかせる。
番えられるのは、やはり巨大な、力強い矢。
「いっっけええええええぇぇぇええええっっっっ!!」
お嬢様然とした喋り方も忘れ、上げた腕を振り下ろす。
弦が緩み、大きく揺れ。
矢がフッと、穴の底の怪人に放たれる。
地震かと錯覚するほどの揺れが和美の足を襲い、立ってられずに尻餅をつく。
「やった、ですわ」
確実に当てたはず。
つい緊張が緩み、喜びの呟きを漏らす。
もう魔力もほとんど残っていない。変身しているのが精一杯だ。
あの魔法を、生き残れるわけがないと。
揺れが収まり、心を鎮め、変身を解こうとした。
が。
「シャオアアアアァァアアアァッ!!!!」
「なっ」
耳を劈くような鳴き声が、林一帯に響き渡った。
サラサラと崩れる大きな魔法の矢の根元から、右腕をなくした怪人が、凄まじい形相とともに這い出てくる。
敵の高度なセンサーは、座り込む和美の姿を把捉して。火事場の馬鹿力を発揮する。
和美に見えたのは、舞い上がる土だけだった。
「あぐっ!?」
いつの間にか目の前にいた怪人が、無事な手で彼女の首を掴み、強烈な力で地面へと叩きつける。なんとか掴まれる前に、自らの掌を首元へと滑り込ませ、即死は免れたものの。
「ガッ、ヒュッ」
気道の圧迫は免れない。顔色はどんどん悪くなる。口元が、泡でベタベタする。
「!?」
唯一の戦果である、なくなった怪人の右腕が、付け根から再生していく。筋繊維が次から次へと生えて、右腕を構成していく。
絶望に彩られそうになる心。こいつの右手は元通りになっていくけれど、それでも逆転の手はないかと、頻りに辺りを見回せば。相棒マスコットのリーンが、今にもこちらに飛んできそうで。
来ちゃダメですわ、と睨みつける。
「カッ……」
完全に再生した敵の右腕が、左腕に加勢した。
それがトリガーになったのか。突然体に力が入らなくなり、ザリザリともがいていた足が動かなくなる。腕による反発が難しくなる。
意識がだんだん薄くなっていく。
死ぬのでしょうか。
怖い。怖い。怖い。
嫌だ。
「魔法少女には、危険が付き物リン。本当にやるリン?」
二週間前。
契約の直前に。ある事情で沈んでいた和美を再び元気付けたマスコット、リーンは、最後の最後で躊躇いがちに意思を確認してきた。
「魔法少女」への憧れ。その言葉の持つ、輝き、キラキラ、特別感。
そんな存在に、ワタクシがなれるなんて。
幼い心がキュンキュン踊った。
同世代で一番になれると思った。
それを考えれば、危険なんて大したことなく感じた。
結果が、これ。
首絞め窒息死。
後悔する。死ぬほど後悔する。今まさしく、死に迎えられようとしているわけだが。
魔法少女になんて、ならなければ良かった。
呼吸が出来なくなり、酸素が脳に回らなくなり、いよいよ思考は鈍化していく。
彼女はぼんやり、父のことを思い出した。
半年前に事故で死んだ、父のことを思い出した。
「一番を、目指しなさい」
一番になれではなく、一番を目指せと優しく微笑む父のことが、和美は大好きだった。
これでお父様に、会えるのかしら……。
こんな状況でも、こんな状況だからこそ、彼の生気溢れる笑顔が、鮮明に浮かぶ上がる。
もうこの苦しみから抜け出したいと。
早く死にたいと。
諦念に支配され、「もういいや」と、閉じ行く和美の両目。
「諦めちゃダメ」
ふと、体が軽くなる。苦しみから解放される。
自分は死んだのだろうか。
思ったよりも楽に死ねたような心地。
目を開けたら、天国が迎えてくれるだろうか。
「……木?」
景色は何も、変わっていなかった。ただ、怪物がいなくなっていた。
「お目覚めでしょうか。お嬢様」
淡々とした少女の声。ただしギョッとするほどの圧力を秘めた。
上体を起き上がらせて、反射的に後ろへ下がる。
強張る全身。ヒラヒラの衣装は、萎縮するように制服へと戻る。
「あ、あなたは……」
「新人は、下がってて」
シッシと手を払われる。ムカつくが、魔力ももうほとんどない。そうした方がいいのは事実。
「シャ、シャア……」
怪人の鳴き声がした。ビクリと和美はそちらを見る。グググと、頭を押さえつつ立ち上がろうとしていた。
ファイティングポーズをとる。突然現れた、別の魔法少女に対して。
だが本能的に恐れているのか、ほんの少し及び腰だ。
「何をしたのです?」
「殴った」
拳を見せつける、自分に説教をかました少女。
殴った? ただそれだけ?
本当にそれだけで、ああもダメージを受けますの?
ああもたかが中学生の少女を、恐れますの?
おずおずと、もう一人の魔法少女に視線を向ける。
何者、なのでしょう。
そう言えば遅刻してしまって、そもそも名前すら聞いていませんわ。和美は回らない頭で考えた。
魔法少女は、一歩踏み出す。
気圧されたように半歩下がる怪人へ、「さて」と彼女は話しかけた。
「魔法少女、もう一度見る?」
一発目の変身シーンを仮◯ラ◯ダーのごとく行ってしまう魔法少女。