銀の果実
悲しいね、ばいばいが、こんな近くにあるなんて
きみが(つまらない)と呟いた、この丘の上、
大きなまつ毛がきのみを実らせたように見えた
世界はベッドの上に寝ころんでいる
こわいゆめを見たんだ
みんなが光につつまれて、
どこか遠くにいってしまう、そんなゆめ
ゆめの見かたは、もう忘れてしまったはずなのに
森の中へは、もういけないはずなのに
白いカーテンが光をこぼす
小さなわたしが、何人か、死んでしまった
ゆめが破裂して、わたしは驚いて、目をひらいた
手の届かない、すぐ近くのところに、銀色の果実
(もういかなきゃ)
わたしは起き上がる
銀の果実は、ぽつりと、床の上
ドアの閉まる音といっしょに、蒸発して消えた