苦しくて苦い、人生の話
僕は聖女を裏切った
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この話は、町の診療所で働いていた少女が、癒しの力を持つ聖女候補として魔王の討伐に参加することになることから始まる。
これは、聖女候補として討伐に参加した幼馴染みの帰還を待ち続けた、ポーションしか作れない落ちこぼれの錬金術師の青年が主人公である。
[魔王の討伐]という苦しい状況のなかで、互いに互いを想い合い、日々を生きる糧としていた二人。しかし少女は周囲を取り巻く環境や人々に翻弄され、ついには青年と袂を分かつことを決める。
しかしその少女による決断は、青年を想うが故のものであった。
『"貴方のため"という言葉はいついかなるときも美しくない』、という言葉がある。私はこの作品を読んで、この言葉を本当の意味で理解した気がした。
"誰かのため"が本当にその人のためになるのか、本当にその人の望むものなのか。それを勝手に決め付け、『貴方のため』だと押し付けるのはエゴであり自己満足に過ぎないばかりか、傷付けてしまうこともあると気付かされた。
たった八話ではあったが、されど八話でもあった。この八話という短い中には、いろんな人生があった。どの人も何かを犠牲にし、別の何かを得ようとしていた。
それは愛する人の平穏な生活であったかもしれない。
それは愛する人との人生であったかもしれない。
それは愛する人を守ることであったかもしれない。
そのとき最適解だと思っていたものは今思い返してみると、とても滑稽であるかもしれない。
誰かを、何かを、心の底から信じることは難しい。所詮は違う人間であり、違う感情を持っている。
よかれと思ってしたことがその人を傷付けてしまうこともある。
そんな、当たり前だけどとても大切なことに気づかせてくれる作品だった。
拙い言葉でしか語ることができませんでしたが、めちゃめちゃ面白い作品だったので是非読んでみてください!
読んでて苦しくなる作品だったけど、苦しいだけじゃないのがとても良かったです!おすすめ!