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その鑑定士、聖剣を握る。  作者: ラハズ みゝ
第2章 Information are intertwine
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22.ショッピング

 「さて、作戦だが···」


 国王の言葉に、全員が固唾を飲み込む·····。


 「僕そういうの苦手だから、上級冒険者パーティーの偉大なるリーダー諸君、よろしく頼むよ!」


 「「考えてないんですか!?」」





 ―それから作戦会議が始まった。国王とギルドマスターはただ見守っている。ファスタさんいわく、事前の作戦については、クレバさんが最も適任だと言う。それに異論がなかったため、そのままクレバさんが作戦会議の軸となった。·····はずだった。


 「えーと、半年先の話なので後日伝えます。以上」


 こうして会議終了。誰も、文句一つもらすことなくそこから離れていく。どうかと思ったが、クレバさんは信頼されているのだろう。そして、あっという間にその空間は僕と国王とギルドマスターだけになった。


 「まったく、本当にクレバらしいね···」


 国王は苦笑を添えて呟く。僕は、どうするべきなのだろう。帰って···良いのかな。


 「塑通無君」


 ギルドマスターが僕の名を呼んだ。僕は「はい?」と返事する。


 「君には、伝えなければならないことが山程ある」


 ―前々から、国王やギルドマスターには幾度か呼ばれていた。その内容は、結局よく理解できなかったのだが、今なら察しがつく。


 「···聖剣ラプラスのことですか」


 空気が少し暗い。僕の言葉に、少し驚いたような、それでいて落ち着いた表情で、ギルドマスターは一つうなずく。


 「君には少し―いや、かなり重たいことだろう。いずれ話さなければならないが、せめてタイミングは君に委ねたい」


 ギルドマスターの堅い表情からは、何か優しさに近いものを感じた。ギルドマスターのその言葉は、絶対的な事項の中での、最大の気遣いだった。


 僕は視線をゆっくり下に落としていく。どうするべきだろう。ギルドマスターの気遣いはつまり、ことがそれだけ大きいということ。今、聖剣の秘密を知って、僕はまともにいられるだろうか。今、僕の中にある謎は、聖剣の秘密を知ることで解決するかもしれない。しかし、それ以上に重い責任を背負うことになるかもしれない。僕は·····。


 「それなら、少し待ってもらっても、良いですか?多分、聞いたら後戻りできないと思うので」


 僕は、そう伝えた。ギルドマスターは、否定することなく静かにうなずく。


 「···分かった。その時だと感じたら、私に言ってくれ」


 「はい」


 それだけ返事をし、僕もそこを後にした。





 ギルドを出ると、何やら賑やかだった。


 「あっ!!はるが出てきたよ!!」


 ―それは、クラスメイトらだった。今日はクエストには行かず、のんびりしようということになっていた。一体どうしたのだろう。クラスメイトらのところへ行く。


 「何をしてるの?」


 夏希が楽しそうに答える。


 「みんなでショッピングに行くんだよ!!」


 加えて型蔵君が言った。


 「クティが防具の話題を出してな、強化しておこうぜってことになったんだ」


 それで、ここに来ていたと。···確かに防具や武器は初期装備のままだったから、強化しておけばかなり良いだろう。


 「よっしゃ、塑通無も揃ったし行こうぜ!」


 最上君が商店街の方を指差して言う。そして、僕ら冒険者パーティー、アドベータは、商店街に赴いた。





 ―商店街は、ギルドから少し西に進んだところに位置している。一見するだけでも鍛冶屋、防具屋、八百屋、小物店、食事処···などなどのレパートリー豊かな店が分かった。そこに入った瞬間から、人気が一気に増えた。右往左往と人が集り、四方八方から声がする。


 「急に人が増えたわね···」


 フェミアが商店街の様子を見回し、呟いた。


 「フェミアたちは、こういうところは初めて?」


 僕が尋ねると、フェミアとミクは同時に首を縦に振った。すると、宮田さんが二人の頭に両手をポンと乗せて言った。


 「それじゃあ存分に楽しまないとね!」





 ―それから春たちは、各々の目的とする屋台に向かっていった。その中で、ダンス部である西本杏里、出水有佐、楽尾由紀は小物店を見ていた。西本は彩り豊かな首飾りを手に取る。


 「ね!これ三人でお揃にしようよ!」


 「いねいね!やろやろ!」


 出水と楽尾もそれを首にかけてみる。


 「私はこの色にしようかな!」


 「はい、この三つね。毎度あり!」




 ムードメーカーの背戸岱地、背戸と仲の良い長谷顎徒、運動神経の良い速見悠斗、頭脳首位の冴霧多久は防具屋を見ていた。


 「ジョブに合った防具か···。慎重に選ばないとね」


 顎に手を当て、呟く冴霧。それに対し背戸は言う。


 「店の人に聞いたが早くね?」


 「まぁ、自分らで選ぶのも新鮮ってもんだろ」


 長谷はある防具を手に取り言った。それに対し速見。


 「それ、錬金術士アルケミスト用って書いてあるよ?」


 「アッ···」





 学級委員である相澤仁志、クラス一チャラいといわれる最上勇樹、どこか男勝りな女子である夜八実ややざねみことは食材を調達していた。


 「あぁ···どうしてこの面子なんだ?ハーレムはぁ?」


 ため息混じりに最上はボソッと呟いた。それに相澤は反応する。


 「どうしたんだい?最上君」


 「·····いーや、別に·········」


 最上はさらに、もう一つため息をこぼした。そこに···


 「食材は一通り買ってきた。次はどうすればいい?」


 両手に大量の野菜を抱えた夜八実がやってきた。


 「ありがとう。それじゃああとは·····」


 「はぁ·····」


 また、ため息をこぼす最上だった―。





 大人しめの性格である古賀蛙朱佳は、幼なじみである杉立すぎたち康生こうせい日比野ひびや花戀かれんとともに、商店街を歩いて回っていた。杉立は、それまでよく話していた古賀が大人しく、あまり喋らなくなったことに心配をしていた。一方で日比野は、強気の性格で古賀と杉立をここに連れていた。


 「さ!どっか行きたいとこは?」


 二人の少し先を行く日比野は後ろを振り返って訊いた。古賀は呟くように答える。


 「私は特に···」


 杉立は古賀の反応を見てから言う。


 「········俺も、とりあえずない」


 それから、三人にしばらくの沈黙が訪れた。古賀は下に向く目線を上げずに歩いている。杉立は、何かを気にしているように、ちらと古賀の方を見ては景色を見て、歩いている。その様子をしばらく見ていた日比野だったが、耐え兼ねたらしく、口を開いた。


 「あのさぁ···、二人とももっと元気出してよ!あの時みたく和気あいあいとしようよ!!」


 その、日比野の言葉をもってしても、三人の空気が変わる気配は全くなかった··········。





 悪ガキ三人組と謳われる型蔵昌児、即峰辰起、病月駱蛇は鍛冶屋を見ていた。そこに並ぶのは、剣や杖、弓、苦無くないなどなど。一言に剣と言っても、大剣や短剣、双剣と種類が豊富である。型蔵たちはみな剣士フェンサー。それぞれに合う剣を探していた。


 「やっぱ、俺は大剣一筋だな!俺のパワーと相性抜群だ!!」


 型蔵は鍛冶屋にあった大剣を手に持ってみる。すると鍛冶師が反応した。


 「あんちゃん、お目が高ぇなぁ!!そりゃあ、ウチで一番の大剣よぉ!そいつを軽々持ち上げるたぁ、驚ぇた!どうだい、三割まけてやるよ!」


 腕をバチンと叩く鍛冶師。その勢いに、即峰と病月は少し後方に引いてしまう。しかし型蔵は剣を二、三度縦に振ってみる。そして、笑みを見せる。


 「よっしゃ、おっちゃん!こいつを買うぜ!!」


 「まいど!!そこの二人は、他にお目当てのもんでも?」


 突然のそれに一瞬戸惑いを隠せない二人。ようやく即峰が言う。


 「えっと···オイラたちも剣を探してて···」


 続ける病月。


 「どう選べば良いのか···」


 鍛冶師は少し考えると、「ちょっと来い」と両手を手前に振り、二人を寄せる。それから鍛冶師は身体を見た。それで判断をしているのだ。


 「ようし、お前らにゃ···」




 即峰と病月が武器を選んでもらっている間、外で待つ型蔵は向こうに居る春たちに気づいた。こちらにやってくる春たちも、型蔵に気づき、手を振る。春たちは駆けてきた。春は夏希、宮田、フェミア、ミク、クリスティアと行動をともにしていた―。






 ―春たちが居たのは、服屋。それを提案したのはクリスティアだった。


 「私服を一種類しか持っていないなんてあり得ないのじゃ。ここで揃えておくのじゃ!」


 クリスティアの言う通り、春らの私服は、彼らがこの世界に来たときの制服だけだった。戦闘服に比べればまだ動きやすいため、春らは気にしていなかった。その上、ほぼ毎日クエストを受注していたので、制服で過ごす時間は少なかった。今も、戦闘服から重たい防具を外しただけの状態。


 春は販売される服を見てみる。値段を気にし、鑑定を行った。


 [セーター:13000G]


 破格であった。


 「え···と、僕はそんなに気にすることじゃな―」


 「「ある!!!」」


 春の言葉を遮り、そう叫んだのはクリスティアのみならず、春を除く全員だった。そのさまに呆然としてしまう春。宮田は語り出す。


 「春君にはどうでもいいかも知れんけどね?私らは結構気にしてるんよ。統一された何の魅力もない制服と一生を共になんてごめんなんだから」


 「うんうん」と首を縦に振る夏希、フェミア、ミク、クリスティア。しかし、直後にミクは言う。


 「そうだったんだねー」


 ミクは、まるで初めて知ったようだった。全員の視線はミクに集まる。フェミアは訊いた。


 「さっき一緒に"ある"って言ってたじゃない!」


 「へへ、弱い人がどんな反応するか気になったから」


 全員は呆れてしまった―。





 ―そうして現在に至る。春は、大量の衣服が入った袋を両手、背中とあらゆるところに背負わされていた。型蔵がその春の様子をしばらく眺める。春は袋を地に置き、訊いた。


 「型蔵君たちは、何を?」


 型蔵は鍛冶屋の方を親指で差して言った。


 「武器を新調してんだよ。この先、生活の中で戦いは最重要だろうからな!」


 春は「なるほど」と相づちを打つ。すると春はしばらく考えた。自分も武器を持っておこうか、ということである。


 「僕も剣か何か持っておこうかな···」


 その呟きに、ミクは首を傾げた。


 「どうして!?弱い人には強い剣があるじゃん!!!」


 それに春は答える。


 「聖剣あれは、謎がまだ多いからね···。頻繁には使いたくないんだ」


 それを理解したのか否か、ミクは「ふうん」と一つ呟いた。宮田は並ぶ剣の内の一つを取る。それは、長剣で、形や大きさは聖剣に近いものだった。一気に春との距離を詰め、春の右側から剣を春の右手に持たせる。春の右腕には宮田の胸部が当たり、それを感じた春は赤面する。


 「宮田さん·····!!近いって!!」


 春は言うが、宮田に気にする様子はない。


 「ほら、これならあの剣と大きさ似てるし、使いやすいんじゃない?」


 フェミアとクリスティアにもやや赤らめた様子がうかがえる。夏希は、どうやら少し不機嫌そうだった。春は夏希のそれに気づかない。それどころか、早く宮田から離れようとする。


 「じゃ、じゃあこれ一つください!!!」


 ちょうど即峰と病月の武器を選び終わった鍛冶師がやってくる。


 「毎度あり!」


 そうして、春らは帰宅したのであった。

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