表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sing!!  作者: 綴明 楓  原案者 武頼庵
3/9

初めての、友達?

唐突な喧嘩に、詩は、どうするのか?

 「このスティックさえ無ければ!」 

 「これは、ダメだ!大切な物なんだ!」


あいつら、何を取り合ってるんだ?スティック?何のことだ?


 「ちょっと、天野君?だよね?何してるの?」


3人の動きが止まった。マズイ、怒らせたかも。


 「えーっと、、、佐藤君?ちょっと、助けてくれる?」


この状況で助けを求めるなんて、、、何て奴だ、、、


 「ど、どう助けたらいいの?」

 「まあいいや、ぼくのスティックは、返してもらうよ!」


なんなんだ?僕が来た途端、強気になった、、、?

天野君が口を開いた。


 「助けてくれて、ありがとう。僕、天野怜。れいって書いて、りょうって読むんだ。クラス、一緒だよね 。佐藤詩クン。」


一息で言い切った。

そうだ。天野は、僕みたいに地味でおとなしいけど、天野と話した人が口をそろえて言うことは、

  「変人」

普段話さない人には分からない、独特の口調と、相手のペースに持ち込ませない雰囲気。噂通りだ。


 「へ、へぇ。りょうっていうんだね。てっきり、れい、かと、、、」

 「うん。よく間違えられるんだ。君、確か、誕生日、6月19日だよね。それから、親子丼が好きだって、4月の始めに言ってた。」

 「なんでそんなこと覚えてるの?」

 「実は、キミと友達になりたいんだ。」


どうしたらいいんだろう。確かに僕には、友達がいない。友達が欲しいという気持ちも、確かにある。だけど、、、


僕は、小さいときから一人だった。一人っ子で、両親は共働きで。保育園も小学校も、中学校も、人数がとても多くて、逆に、一人でいても気づかれなかった。道徳や学活で、「友だちのいいところを書こう」みたいな欄があるときには、とりあえず、隣の席の子のことを無理やり書いていた。

小学校も、中学校も、卒業アルバムの自由スペースは真っ白で、見かねた担任の先生がたくさん書いてくれた。だけど、その黒々とした字で書かれたメッセージは、周りの白さと淋しさをより際立たせていた。中2の時の担任は、僕の状況を見抜いて周りに呼び掛けたりしてくれた。だけど、それは僕にとっては迷惑以外の何物でもなかった。きっと、とても良い先生で、感謝すべきなのだろうけど。

僕と友達になりたがる奴はいなかった。僕が友達になりたかった奴もいなかった。

その僕に、「友だちになろう」と、手が差し伸べられている。動揺しているのが、自分でもわかる。


 「まぁいい。とりあえず、ウチに来なよ。どうせ、暇なんでしょ。」


失礼な!どうして僕が暇だって言いきれるんだ!(まぁ、あながち間違っちゃあいないけれど)

どうしよう。行ってみるしかない。断って、険悪な雰囲気になるのは避けたい。


 「じゃ、じゃあいくよ。」

 「あ、でも5時にはかえってね、親が帰ってくるから。」

 「う、うん、わかった、、、。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ