24話 ルビーの涙
加藤が救ってくれた
パパの能力、記憶改ざん
ソレを解いてくれた
でも、でも……
「ありがとうとは、言わせて貰うけど…… でも、パパはヤラせない! 生かせて貰った恩もある! それに、それに……」
罪……
罪なのは解っている……
それでも……
「私は桜子を消したケド…… 修を消した龍斗に言える義理も無いケド…… でも、私のは【仕事】! 龍斗のは【私事】! 同じ穴のムジナでも…… 貴方を…… 貴方を……」
躊躇した
言ってもいいのか……
わからないケド……
でも……
「龍斗を好きでも…… 私は…… 貴方達を止める!」
決意した!
私は戦う!
私は身構えた
不意に……
ポケットに鉛を詰め込んだ様な重さを感じた
これは、本?
桜子が貸してくれた本……
この小さな、コレから感じる重み
背負う十字架にしては軽すぎる
でも私はこの罪と向き合う
向き合い……
背負い……
忘れない……
この気持ちのまま、私は戦う!
そんな決意をすぐに崩される言葉を
加藤が発するまでは……
「胡桃ぃー? 修もぉ桜子もぉー、逝って無ぇぞー?」
え?
何を言っているの、この男は!?
私が目の前で
桜子を……
血の海に【消した】というのに!!
「なぁー? 胡桃ぃー? お前は知っているかぁー?」
な……
何を!?
言葉が出ない
「【覚醒】の方法だぁー……」
「……し…… 知るわけ無いでしょ……」
「んー…… だろうなぁー…… 【覚醒】はなぁー、くぐすんだぁー」
「く…… くぐす……?」
「そうだぁー…… 通らせるんだぁー…… 呪の穴をなぁー……」
何を言ってるんだ!?
この男は?
「そーだろーなぁー…… 解りやすく言えばぁー【消す】んだわぁー この座標じゃ無いどこかに【消す】ぅー…… つまりワープだぁー」
そう言った加藤はウンウンと頷き言葉を更に綴る
「ココじゃねぇーどこかに【この力】をもって跳ばすんだぁー♪ 俺達の呪に触れさせるんだわぁー だから日本じゃー無ぇーかも知れねぇなぁー でもぉ何処かには居るぅー 生きてるぅー 100%保証するぞぉー!」
適当な事を言いやがって……
ふざけんな……
「信じられるか!! アノ血は何!? アノ肉片は! 冗談もたいがいにして!」
私は怒りを露わにする
そんな子供騙しに乗ってたまるか!
「嘘じゃねぇよぉー! アレはぁルビーの涙とぉ俺は言ってるけどなぁー…… この世界には無いぃー変な紅い液体だぁー それに肉片はぁー そう見えるだけのぉー 呪の穴の先から出たぁーよぉーくわからない残りカスだぁー!」
はぁ?
ルビーの涙!?
変な液体!?
残りカス!?
笑えるよ、まったく……
「信じてねぇなぁー? その顔はぁー…… なぁー、よぉーーく考えてみろぉー? 警察がどんなに動いてもぉー解明出来てないだろぉー?」
そう言えば……
殺された女子生徒の噂話にそんな言葉が在った……
加藤は続けた
「そんなわけあると思うかぁー? DNAを採取出来無いとでもぉー? 血ならソコにあるのにぃー? 肉片だったならぁー少し位はソコにあるのにぃー?」
……確かに
まざまざとソコに物的証拠もDNA採取検体も在るのに……
2週間立って尚、警察は全く今回の件を立証出来ていない……
まさか本当か?
本当なのか!?
取り返しのつかない事をしてしまった
そう、思っていた……
生きているの?
修も!?
桜子も!!!
私の制服のポケットにある、ソノ……
桜子から借りた本が
少し
軽くなった感じがした……