21話・改 胡桃、覚醒
「ココは…… 私は…… 戻ったの……?」
私は体を起こす
そして、両手の平を見つめた
一度首をかしげ、駆け寄る龍斗
「大丈夫か、泉! …… 加藤…… お前! 何をした!?」
「何もしてねぇよー…… ただ、解放しただけだってばぁー……」
そう言うと加藤は頭をポリポリと掻く
私は
私は……
「私は…… 戻ったんだね……」
そう言うと、自然と笑みが溢れる
今度は龍斗が怪訝そうな顔で覗き込みながら口を開いた
「……私? 今、自分を【私】と言ったのか? 【ウチ】では無く? お前…… 泉か……?」
フフフッと笑みが口をつく
「泉じゃ無いよ…… 私は胡桃……」
そう言うと、私は顔を上げ、龍斗を見る
「泉…… いや、胡桃……!? 泉じゃ無く!? いや、それより…… その両目は…… お前も双眼の…… ルビーアイ……!?」
「ん? そうだよ?」
「いや…… そうだよ?って……」
「ん?」
「…… いや、まぁ…… うん………」
軽く答えすぎたろうか?
龍斗はあっけにとられた表情を見せる
そんな彼に私は言葉を続けた
「この姿、見られたからには決着付けないとね♪」
顔が強張る龍斗
そして
「待て、いず…… いや、胡桃……」
言葉を詰まらせた
そこに割って入ったのは加藤だった
「なんだぁー? 龍斗ぉー? 言ってやれよぉ-! お前にゃ勝てないってぇー ハハハぁー」
「加藤、黙れ……」
加藤を龍斗が制する
「ねぇ、お2人さん? 双眼の私が貴方達程度にヤラレるとでも? フフフッ……」
加藤は目を丸くする
そして腹を抱え、大声で笑った
「くくくくく…… ウケるよぉお前ぇ…… それによぉ…… 勝てねぇよぉ…… お前程度にはなぁー? 何せ俺はー、突然変異だかんなぁー♪」
何を言ってる?
単純に、そう思った瞬間だった
え!?
居ない!?
目の前から……
消えた!?
そんなまさか!?
まばたきしか私はしていないのに!
キョロキョロと周りを見回す
どこ!?
考えを纏める余裕も無く、後ろから私の頬を触る手!?
背中にゾクリと汗が流れる
後ろに居る
解る
コレは、コノ手は、加藤だ……
動けない…… 終ワッタ………
そう思った……
「加藤! 驚かせんな! その辺で止めとけ!!!」
割って入る声は龍斗だ
「ああー、解ってんよぉー♪」
背後から視界に入った両手が退かれる
私は膝をついた
腰が抜けた
勝てない……
この人は……
次元が違う……