33話 2人
奴ですら目一杯なのに……
ココで加勢は完全に不利だ……
そう思った時だった
「ククク……」
加藤が笑った
加藤……
この状況で笑えるとは……
貴方はまだ何か布石を?!
そう思ったのと同時に加藤は彼に話し掛けた
「…… なぁ、ディアブロさん…… アンタの負けだ! 仲間は来ねぇ!!」
彼は首を傾げる、そして
「…… 加藤君、どういう事だね?」
「もう居ないんだよ、あんたの嫁さんはなぁ!!」
「…… 何!?」
「コレも識っていた、だからココに来る前に、な!」
「…… 貴っ様ぁぁぁ!!! ディアブロなどとは甚だしい!! お前らこそがディアブロそのものではないか!!」
間違いでは無い
加藤がした事は許されない
でも、私達を守ろうとしたからこその判断
ソレを理解しているからこそ、私は叫んだ
「アンタが言うな!!!!」
「貴様ら!! いや…… まぁ、いいだろう……」
荒げようとした声を、静かに落とし、彼は言った
「ならば、お前達に最高の苦痛を差し上げようじゃないか……」
そう言うと、彼はその指をパチンと鳴らす
嫌な気配がする
段々近づいて来る
階下から足音が聞こえた
……
…………
……………タン
多分
………タン、タン……
2人、だ
タン、タン、タン、タン……
この状況で2人の加勢は無理だ
タン、タン、タン、タン、タン、タン、タン、タン……
ドアの先の暗闇に誰かが来る
それらは一歩、一歩
近付き……
室内照明に照らされた
言葉を失う
こんな所でなぜ
なぜ
貴方達がいるの?
修…… 桜子……!!!
貴方達がなぜソコに!?
言葉が出ない
2人の、その右目は紅く
そして
その眼は、死んでいる様に、光が無い
操られている……
最高の苦痛とは、この事か……
もう、戦えない……
「喜んで貰えるかな……? フフフッ……」
「アンタって人は…… どこまで…… どこまで…… それになんで2人が!!!??」
彼はフフフと笑い
「消される、飛ばされる…… その先は、私の研究室に座標を合わせていてのだよ!」
「アンタは…… どこまで人をバカにするの!!!??」
「さあて、ね…… 何はともあれ、形勢逆転と言った所か……?」
もう、終わりだ
2人を傷つけたく無い
もう、傷つけたく無い
ソレだけは、ダメだ
2人を傷つけるなら、負けても良い……
修と桜子の手が上がる
その手を私達に向ける
力がこもる感じが、解る
終ワリダ
モウ、終ワリナンダ……
そう覚悟し
私は
構えを解いた
そして、終わりを待つ
あっけない物だ
でも、少し……
清々しい……
私は、私のままで居られた
自分の為に
命令の為に
人に害をなしていたのに……
私は、私の意志でソレを止め
受け入れた
私の罪
ソレを清算してくれるのが
彼らで良かった……
そう、心から、思う
隣に居る加藤に、少し
淋しげな顔を見せてしまったかも知れないが
視線を交わした加藤は
和やかに、コクンと、頷いてくれた
そして私達は
ソノ時のために、目を閉じた




