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共生世界  作者: 舞平 旭
レイヨとの別れ
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作戦開始

作戦の開始を告げる虫呼が鳴らされた。


「平文?」


虫呼を聞いたテルネは勢い良く起き上がると、岩から飛び降りた。

作戦開始である。



トヒセとスモニは、舟小屋の扉を開けた。酒を酌み交わしていた勢子達が一斉に彼女達を見た。


「それでは、仕事の時間です。外に集まって下さい」


彼女は適応者達に命令を下した。しかし酔っ払っていて、スモニが尻を蹴らないと動き出さない者も少なからずいた。


「おら!立て!しっかり給料分は働けよ!森主を追い込んだ者には更に賞金を出すぞ!」


勢子達は3〜4人一組、6班に分かれ持ち場に散って行った。各班は40〜50メートル間隔で横一列に並び、その長さは200メートル以上になる。トヒセ達はその後方、20メートル程開けて待機した。底辺200メートル、高さ20メートルの三角形、つまり面積2000平方メートル(20アール)が彼ら右翼の索敵範囲となる。


彼らのうち、何人生きて帰ることができるのか。


トヒセは楽しそうに談笑しながら歩き去っていく男達を見送っていた。



準備が整った頃、北の方から『竹ぼら』の音が低く唸りを上げた。中央の部隊が鳴らしたものだ。

竹ぼらは長さ30~40センチ程の竹の笛で、太めの竹を片方に節を残して切り、節のそばに親指ぐらいの穴を開ければできる簡単な笛である。音は法螺貝ほらがいのそれと似ている。地を這うような響きは、遠距離まで届いていく。適応者は虫呼を聞くことができないために、彼らのための合図として使われる。今後、ペース確認のために一定間隔で吹き鳴らされる。


「おら!行くぞ!」


「おー!」


勢子達は、一斉にときの声を上げながら前進を開始した。

今回の索敵範囲は約2キロ四方の森である。この広大なエリアをカバーするために、勢子達は班ごとに徐々に扇形に広がりながら進んでいく。広がるにつれ、状況把握が困難になっていくだろう。湖畔は暫く平地が続くからいいが、あと100メートルほどで森に入る。そうなると視界が利かなくなり、音だけが頼りとなるのだ。


獲物が餌に食いついた音だけが。

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