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共生世界  作者: 舞平 旭
逃避行
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プロローグ II

 彼は重油のようなどす黒く重い眠りから眼を覚ました。

 これで何回目の覚醒であるのか、はっきりは覚えていなかった。


「おはようございます。今日は2036年7月7日です。それではネットから収集した一年間のニュースをお伝えします。まず東日本国からのトピックスです。暫定元首は西日本国の度重なる領土侵犯に対して武力行使を決定し、2035年10月2日より事実上戦争状態に入りました。これに対し西日本国総督府は・・・」


 MASAMIの声が聞こえたが、彼の耳を素通りしていく。


 彼は眠かった。


 彼はすぐに通常の睡眠に入った。

 一年に一回、一時間だけの心地よい眠りが彼を包み始めた。

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