ゴブリン討伐
ゴブリンの耳➜魔石に変更しました。
アレンとグランは、クエストボードの前に来ていた。
「そういえば、師匠ってランクは何なんですか?」
「俺か?俺もお前と同じCランクだ。」
「あんなに強いのにどうしてですか?」
「そりゃあ、ほとんどクエストしてないからな。」
「それってやっぱり……魔王が関係あるんですか……?」
「それは、お前が気にすることじゃあない。」
「すみません。」
二人がそんな話をしていると、後ろから荒っぽい声が聞こえて来た。
「邪魔だ、邪魔だ!万年Cランク野郎が!」
現れたのは厳つい顔の禿げ頭の男だった。
「ザコがガキ連れて師匠面か?笑わせるぜハッハッハッハー!お前も大変だな、こんな奴に付き合わされて。ま、せいぜい死なねぇこったな。」
男は大笑いしながら、クエストを受注し、去って行った。
「何なんですか?あいつ。良いんですか?言われっぱなしで。」
「あんな名前も覚えてない奴に何を言われようが構やしないさ。大事なのは、他人からの評価では無く、自分がどうありたいかだ。さ、クエストを受けるぞ。」
そう言って、グランはCランク用のクエストを一つ受注した。
(かっこいい!僕もこれぐらいの余裕を持てるようになりたいな。)
二人はクエストを行うために街から少し離れた森に来ていた。
クエスト内容はゴブリンの討伐。
Cランク用のクエストの中でも特に簡単なものだった。
「お前、以前の世界やこの世界で人や、それに近いものを殺した事はあるか?」
「え?そ、そんなのあるわけないじゃないですか!」
「だろうな。今からするのはゴブリンの討伐だ。これを通してお前に身につけてもらいたい事は二つ。自分からの攻撃手段。それと、殺しに慣れることだ。」
「こ、殺しに慣れる⁉︎そんなの無理ですよ!なんて、この世界では言ってられないですよね……わかりました。やります。」
アレンは意を決して、自分自身に言い聞かせるようにそう答えた。
森を散策していると、ゴブリンのパーティーを発見した。
「いたぞ、あれがゴブリンのパーティーだ。ゴブリンソルジャーが四体にゴブリンリーダーか。今のお前にうってつけだな。よし、今から指示を出す。お前はその通りに動いてみろ。」
「そんな、いきなりですか⁉︎無理ですよ!」
「大丈夫だ。お前なら落ち着けば難なくできるだろう。それに、もしもの時は、俺が何とかしてやる。策戦はこうだ…………、」
グランの策を聞き、アレンは行動を開始した。
『いいか、先ずはゴブリンリーダーの首を切り裂き、一撃で仕留めろ。その時、剣は自分の正面に構えて、決して大振りにはなるなよ。剣術で重要なのは流れだ。直ぐに次の動きに繋げられるようにしておけ。そして、統率のなくなったゴブリン共を一体ずつ順に殺していくんだ。』
アレンは、グランに言われた事を頭の中で何度も繰り返す。
(そうは言ったものの、どうするかな。ゴブリンでも殺すのはやっぱり抵抗があるし、何より、僕が剣をそんなに上手く扱えるかだよな。でも、やるしかないよな。フゥーーー、よし、行くぞ。)
「フンッ!」
アレンの剣がゴブリンリーダーの首を切り裂いた。
続けて向かってくるゴブリンたちを冷静に対処し、一体ずつ殺していく。
全てのゴブリンを倒し終えて、振り返るとそこにはゴブリンたちの自体が無造作に転がっていた。
それを見たアレンは激しい吐き気に襲われる。
「ゔ、ゔおぉえぇ……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、これが……殺すってことか。これを僕がやったんだ。」
「そうだ。お前がやったんだ。今はまだ慣れないだろうが、段々と慣れていく。今日はこのくらいにしておこう。ゴブリンの体から魔石を剥ぎ取って、街へ帰るぞ。」
「は……はい。」
「火焔」
グランがゴブリンの死体を火魔法で燃やした。
アレンは燃えていくゴブリンたちを見て、殺すという行為の意味を改めて実感し、それに慣れなければいけないという事実と、慣れたくはないという感情が同時に押し寄せてきて、また、激しい吐き気に襲われるのだった。
更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。すみませんが、次も少し遅くなってしまうかもしれません。
誤字、脱字等ありましたら、お教えください。
感想お待ちしております。