その男、グラン・ドレイク
更新遅くなってしまい、申し訳ございません。
現れた男は、皮鎧に剣といういかにも冒険者という風貌であった。
「おおー、これはこれは、随分懐かしい顔だと思えば、グラン・ドレイクではないですか。あまりにも見窄らしい風貌だったので気付きませんでしたよ。」
男は嘲るようにそう言った。
それに対して、グラン・ドレイクと呼ばれた男は、
「うるさい、俺の趣味だ。」
と、一蹴した。
そして、男の突きを受けていた剣を振るった。
男は後ろへ軽やかに跳躍し、それを躱し、腰から細身の剣を抜いた。
「さてと、そろそろ無駄話はやめにしますか。」
男はそう言って、半身になり、剣を突き出した。
グランもまた、身構える。
始まったのは怒濤の攻防戦。
―――キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、キンッ……、、
男は次々と突きを放ち、グランもそれをうまく受け流す。
(な……なんて闘いだ)
アレンが、あまりにも高度な二人の攻防に呆気にとられていた。
その時、
「火焔」
男の放った火魔法がアレンに迫った。
(しまった!避けられない!)
「土壁、おい、坊主まだいたのか?邪魔だ、さっさと行ってしまえ。」
「す、すみません。」
グランは土魔法で壁を作り、炎を防いだ。
「余所見は禁物ですよ?」
さらに、男は攻撃を仕掛けた。
―――キィィーン……
しかし、グランは男の攻撃を弾いていた。
「っ、、なっ、、」
「余所見だって?見えてないのはお前の方じゃないのか?実力差ってやつをな。次は俺の番だ。 聖光砲!」
その瞬間辺りが光に包まれた。
(おっと、これは……ふむ、ここは一旦引くことにしましょう。)
そして、男は闇の中に姿を消した。
「や……やったんですか?」
「いや、こんなもんじゃ、あいつは殺れない。それより、お前は何者だ?ただの子どもが、魔族相手にこんなところまで逃げられる訳がない。」
「え……いや……あの……そ、それは……」
それは、当然の質問だった。
しかし、アレンには、上手い言い訳が浮かばず、かなりテンパっていた。
それを見たグランはアッハッハッハッ、と笑い出した。
「答えなくたって、お前の正体くらい簡単に想像できるさ。なんせ俺も同類だからな。」
「え?てことは……貴方も転生者ってことですかーー⁉︎」
アレンは興奮気味にそう言い放った。
「ま、そういう事だ。それより、そこの嬢ちゃんは大丈夫なのか?」
「ええ、気を失っているだけです。それで、これからこのサシャの親戚のいる村に向かおうと思っていたんです。せめて、サシャだけでもと思いまして。」
「なるほどな。で?お前はどうすんだ?」
「その事なんですが……」
そう言うとアレンは姿勢を正し、真剣な面持ちでこう言った。
「僕を弟子にしてください!」
それに対しての答えはすぐに返ってきた。
「無理だ。」
「理、理由を聞いてもいいですか?」
「何だっていいだろ、そんなもん。じゃあ逆に聞くが、お前は何故俺の弟子になりたい?」
「そ……それは、強くなって大切な人を護りたいからです。」
「お前、何か勘違いしていないか?最初に言っておくが、強くなったからといって大切な人を護れるというわけではない。いくら強くても……いや、何でもない。」
そう言ったグランの表情は、苦しみであふれていた。
「わかっています。それでも僕は強くなりたいんです。僕は、前の世界で、自分の弱さ故に、大切な人を亡くしています。この世界に来てからもそうです。自分は転生者特典を持っているからと自分自身を過信していました。それがこのザマです。だから……だから僕は……」
「わかった。なら、一度だけチャンスをやろう。」
「チャンス……ですか?」
「ああ、一撃でもいいから、俺に攻撃を入れてみろ。それが出来れば、弟子にしてやってもいい。」
「わ……わかりました。」
こうして、アレンは弟子になるための試練を受けるのだった。
(そうは言ったもののどうしようか。僕にできることといったら、いくつかの魔法とあとは、素人の喧嘩みたいな攻撃だけじゃないか。となると、最初の一発が勝負になってくる。これに賭けるしかないな。)
アレンはそう決めて弟子になるために全力を尽くすのだった。
アレンの考えた策とは、どのようなものなのでしょうか?そして、それはグランに通用するのでしょうか?
次回も楽しみにしていて下さい。
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