ダンジョン
遅くなってしまい本当に申し訳ございません。
サモットを出発して二日程で、ダンジョンの近くの街、ボスカに到着した。
ボスカは、近くにダンジョンがあるため、腕の立つ冒険者が多く集まっている。
「いよいよですか。」
「ああ。もう明日にはダンジョンの中だ。気を引き締めておけよ。」
その日は、ダンジョンに必要な食料などを買いそろえて早めに眠った。
そして、ついにその日がやってきた。
朝からダンジョンに向けて、宿を出発した。
街を出て、一時間ほど歩くと、洞窟が見えてきた。
そこには、多くの冒険者たちがいた。
「思ったより人が多いですね。」
「そりゃ、ダンジョンを専門にしている冒険者もいるくらいだからな。」
「そうなんですか?」
「ああ、ダンジョンは、下層に行くにつれて難易度が上がっていくため、自分たちの力量に見合った階層で魔獣を倒すことで、安定した収入を得ることができるという寸法だ。ま、お前には、踏破してもらう予定だから、関係ない話だがな。」
グランはそう言ってゲラゲラと笑った。
「いや、確かにそうですけど!じゃ、行ってきますよ。」
「ああ、気をつけろよ。」
そう会話を交わし、アレンはダンジョンへと入っていった。
ダンジョン内は、外から見た洞窟とは異なり、草原になっており、まるで太陽が照っているかのような明るさだった。
(うわあ、思ってたのと全然違うぞ。もっとじめじめしたところをイメージしてたのに。)
「お、早速出てきたな。」
現れたのは、犬ほども大きさのある二匹のネズミだ。
そのネズミは、アレンめがけて全速力で駆けてきて、その鋭い前歯で噛みつこうとしてきた。
アレンは先に来た一匹を蹴り飛ばし、もう一匹を抜き取った剣で防ぎそのまま地面に叩きつけ、とどめを刺した。
蹴り飛ばされたネズミが起き上がって、再びアレンめがけて突進してきた。
それを火魔法で燃やして初めてのダンジョンでの戦闘を勝利で飾ることができたのだった。
「ふぅ、さすがに第一階層は余裕だな。下に降りる階段はどこだろう。」
その後もアレンは順調に歩を進めていった。
しばらく階段を探しながら歩いていると、小さな木箱を見つけた。
「なんだろうこれ、宝箱みたいなものかな。」
そう思い、木箱を開けてみると、その中に入っていたのは、小さな宝石だった。
「すごい、宝石だ。やっぱりこれは宝箱だったんだ。」
見つけた宝石をカバンに入れ、また階段を探し始めた。
「あ、あったあった。これだな。」
そう言って階段を下りて行った。
下りるとすぐに、ホーンラビットが攻撃してきた。
「うぉっと、危ない危ない。炎矢。」
炎矢を受けたホーンラビットが燃え尽きる。
「やっぱり、ダンジョンでは少しも気が抜けないな。」
アレンがそうして、気を引き締めていると、近くから、男たちの下卑たが聞こえてきた。
「おい、いいだろ?ちょっと付き合ってくれるだけでいいんだ。な?ソロだったら俺たちと来た方が安全だろ?」
「そうそう、俺たちも君がいた方が都合がいいんだよ。」
男たちの言っていることは、確かに正論だが、その顔は下心を全く隠そうとしていない。
「いえ、結構です。私は先を急ぐので。」
「おいおい、人が好意で言ってやってんのにその態度は何なんだよ。」
「あんたも、俺らと行った方がいいと思うぜ?」
「だから結構だと言っているじゃないですか!そこをどいてください!」
(ん、なんだ?どうかしたのか?)
そう思って声のする方へ行ってみると、そこには、男たちに囲まれた少女がいた。
「どうかしたんですか?」
アレンがその会話に割って入ると、男たちが突っかかってきた。
「けっ、ガキは引っ込んでろ。俺たちは今大人の話をしてるんだ。」
「てか、ガキがこんなところで何してんだ。死にてぇのか?」
男たちが口々に絡んで来るのを無視して、少女と男たちの間に入る。
「おいガキ、なに無視してんだよ。あんまり調子に乗ってると痛い目見るぞ。」
そう言って男たちは殴り掛かってきた。
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