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転生者の弟子の転生者  作者: 桑野堅夫
16/23

ショッピング

 サモットの街は、多くの露店と人で盛り上がっている。


「アレン君、何か買いたいもの決まってる?」


「そうですね……あ!僕、靴がほしいです。この靴、結構くたびれちゃってるんですよね。」


「靴のことなら、スージーさんのお店がいいわよ。品ぞろえも充実してるし。」


「そうね、東区内にあるからそれ程時間もかからないしね。よし、そうと決まれば早速行きましょ!」


 そう言って、ミラとユラは、グイグイとアレンの手を引いて、目的の靴屋へと向かった。

 向かう途中に、興味を惹かれる店がいくつか見かけたが、お構い無しだ。


 そして、着いた店は周りの建物よりも遥かに年季の入った老舗の風貌だった。

 

「スージーさーん、いるー?」


「はいはい、いらっしゃい。」


 店の奥から返事をしながら、人の良さそうな老人が出てきた。

 

「今日は、この子に合った靴を買いたいんだけど。」


「はいはい、ちょっと足を見せてもらえるかい?」


 スージーは、そう言ってアレンの靴と足を触りながら、ぶつぶつとつぶやいている。


「今回は、あるのを買うのかい?それとも、作るのかい?」


「明日出なくちゃいけないので今回は、あるやつを買わせていただきます。」


「そうかい、靴を見る限り、かなり歩いてきたみたいだね。それなら……」


 そう言って、店の奥から3足靴を持ってきた。

 二足は似たような茶色の革のブーツで、残りの一足が黒革のブーツだ。


「値段的には、茶色のが安いけど、おすすめは黒革のブーツだね。軽さ、動きやすさ、耐久性どれをとっても他のものより段違いだよ。良ければ試着してみるかい?」


 そう促されて、黒革のブーツを履いてみると、想像以上に軽く、動きやすかったので、即購入を決めた。


「この靴いいですね。履きやすいですし。これに決めました。おいくらですか?」


「大丈夫かい?金貨8枚もするけど。」


 アレンが子供であることと、高額商品のため心配したのか、スージーがそう聞いてきた。


「スージーさん大丈夫だよ、アレンはこう見えても冒険者なんだよ?」


「まぁ、それはすごい!若いのに立派だねぇ。頑張ってね。」


「はい。ありがとうございました。」


 こうして、良い買い物ができたと非常に満足した様子で、靴屋を後にした。



「まだ少し時間がありますし、あそこの店でご飯でも食べますか?宿代とかいろいろサービスしてもらったんで、ご馳走しますよ。」


 アレンが赤い屋根でレンガ造りの雰囲気の良い店を指さしてそう言った。


「いいの⁉あの店おいしいって人気のお店らしいのよ。」


「私、あそこのお店言ってみたかったの!」


 ユラの話によると、その店は、最近できた肉がメインのレストランで、その料理というのが、塊肉を焼いて、客の目の前で切り分けてくれるというのだ。

 アレン自身もそれを聞いて、興味がわいてきた。


「じゃ、行ってみましょう!」



 入ってみると、夕飯にはまだ早い時間にもかかわらず席はほとんど埋まっていた。


「うわー、すごいなー。」


 アレンが客の多さと店の雰囲気に驚いていると、店員から声をかけられた。


「お客様方、ずいぶんとお若いようですが、お金は持っていらっしゃいますか?」


「はい。一応冒険者をやっているので。」


 アレンはそう答え、腰から下げた巾着から金貨を数枚出して見せた。

 それを見た店員は、少し驚き、すぐさま謝罪をするのだった。

 店員の質問も当然だ。

 こんな子供が、三人分の食事代を持っているとは誰も思わないだろう。

 そんなこんなで席まで案内されたのだった。


「ご注文はどうなさいますか?」


「うーん、おすすめって何ですか?」


「本日のおすすめはホワイトバイソンでございます。」


「じゃあ、それをお願いします。」


「かしこまりました。」



 肉が焼けるまでの間、ミラ、ユラと他愛もない会話をして過ごした。


「お待たせいたしました。こちら、ホワイトバイソンでございます。」


 目の前に肉塊が運ばれてくる様は、迫力満点だ。

 それを三人の前で切り分けていく。

 配られた肉を一口食べると、程よい噛みごたえで、噛めば噛むほど口の中に肉汁が広がり、肉のうまみで満たされる。


「うまい!!今まで食べたどの肉よりも!」


「おいしー!お肉の味がどんどんあふれてくる!」


「想像以上ね。まさかここまでおいしいなんて。」


 はじめは、口々に感想を述べるが、その後は三人とも黙々と食べ進めた。


「ふぅ、食べた食べた。ごちそうさまでした。お勘定お願いします。」


「金貨1枚と銀貨5枚です。」


 こうして、お勘定を済ませ、三人は店を出た。


「ごちそうさま。本当においしかったわ。」


「ええ、ほんとに。ごちそうさま。ありがとうね。」


「いえいえ。こちらこそ色々とありがとうございました。」


 帰り際にグランとハンナへのお土産を購入して宿へと帰っていった。

 三人が宿に着くと、グランが一人で酒をあおっていた。


「おう、楽しんできたようじゃないか。」


「はい、とっても楽しかったです。これ、お土産です。ハンナさんにも。」


 そう言って渡したのは、グランへは新しいマント、ハンナへは、髪飾りをプレゼントした。


「あらまぁ、きれいな髪飾りね。どうもありがとう。」


「ありがとうな。」


「いえいえ。」




 そして、出発の日がやってきた。


「ほんと、何から何までありがとうございました。」


「二人とも気をつけてくださいね。アレン、私、もっと魔法うまくなって見せるからね。」


「皆さんお世話になりました。それじゃ、また。」


「世話になった。感謝します。」


 別れの挨拶を済ませ、二人はサモットを後にした。

サモットを出て、順調にダンジョンに近づいていますので、楽しみにお待ちください。

誤字脱字等ありましたら、教えてください。

感想お待ちしております。

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