表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者の弟子の転生者  作者: 桑野堅夫
14/23

キラーウルフ

「よし、そろそろ実戦に移りましょうか。」


 毎日のように朝からアレンに魔法を教えてもらう生活が五日経ち、少しずつだが、有効な魔法を使えるようになってきて、威力も上がりつつある。

 そこで、アレンは実戦に移ろうと提案した。


「え⁉︎もう?大丈夫なの?」


 ユラは少し不安げにそう尋ねた。


「大丈夫ですよ。少しは自信持って下さい。」


 アレンの言葉を信用して、二人は森へと向かった。



「いた、ホーンラビットだ。ほら、あそこ。」


 アレンの指差した方を見ると、ホーンラビットが休んでいた。

 ラビットという名前だが、そんなに可愛らしいものではない。

 その特徴とも言える角で獲物を突き刺し、弱ったところを鋭い歯で捕食する肉食性の魔獣だ。


 ふぅ、と一呼吸置くと、意を決してユラは魔法を唱えた。


「火よ、矢となりて敵を撃て。火矢(ファイアアロー)


 放たれた魔法はホーンラビット目掛け一直線に飛んで行き、直撃した。


「や、やった!当たった!倒した!」


 ユラが初めて魔獣を倒したことに興奮して喜んでいると……


「危ない!」


 突然アレンがユラを突き飛ばした。

 すると、ユラが元いた場所にザシュッと亀裂が入った。


「え、何?何なの?」


 あまりに急な出来事にユラが状況を掴めていないので、アレンが簡潔に答える。


「キラーウルフです。」


「あ、あいつはお母さんを襲った魔獣。」


 ユラの表情が怒りに満ちたものに変わった。

 そこにいたのは3メートルもの大型の狼だった。

 そう、このキラーウルフこそハンナを襲った魔獣なのだ。


「火よ、矢となりて敵を撃て。火矢(ファイアアロー)!」


 ユラが怒りに身を任せて最大の魔力を込め、キラーウルフに火矢を放った。

 しかし、その攻撃は当たることはなく、再びキラーウルフからの攻撃を受けた。

 アレンが間一髪でユラを抱えて回避する。


「ちょ、何やってるんですか!正直言ってあれはユラさんには無理です。」


「でも、あいつはお母さんを襲ったのよ⁉︎」


「わかってます。だから、僕がやります。」


 そう言ってユラを岩陰に避難させると、アレンが剣を抜き、キラーウルフに相対したのだった。

 先に動いたのはキラーウルフだ。

 その鋭い爪をその場で振り下ろす。

 その時、先程と同じように、目に見えない斬撃が飛んできた。

 アレンはそれを剣で受け止め、グッと堪えた。

 続けて爪で攻撃を仕掛けるが、それもアレンは全て受け止める。

 すると、キラーウルフが雄叫びを上げ、毛を逆立てた。

 爪から黒い靄が滲み出て、キラーウルフが魔力を最大にし、本気を出したことが窺える。

 キラーウルフがアレンの周りを持ち前の素早さでぐるぐると回り始めた。

 更に、速度を保ったまま全方位から斬撃を飛ばしてきたのだ。

 流石のアレンも、四方八方からの斬撃に何発か食らってしまう。


(くっ、このままこれをずっと続けられたらやばいな。)


 アレンは何とか出来ないものかと一先ず防御に専念しながら考え始めた。


(うーん、何とかして攻撃の手を止めなきゃな。)


石飛礫(ストーンバレット)!」


 アレンが地魔法で攻撃を試みるも、キラーウルフのスピードが速すぎて外してしまう。

 キラーウルフの攻撃は、普通の人ならば、呪いの効果も相まって擦り傷でも、何度も受けると致命傷になりかねないが、アレンの場合、状態異常無効化の効果がある事で、多少食らう分には問題にならない。

 その為、今、最も厄介なのがこのスピードだ。

 攻撃が当たらなければどうすることもできない。


(何とかして、こいつの動きを止めたいんだけどなぁ……どうすれば……)


 と、その時、アレンに一つの案が浮かんだ。


水球(ウォーターボール)。」


 バシャ、バシャ、バシャ、と、水球をキラーウルフに撃ち始めた。

 もちろんそれが命中することはない。

 辺りを見渡すと、地面が濡れてキラーウルフが回っているあたりに沢山の水溜りが出来ていた。


(よし、こんなもんだろう。)


 アレンは、一人納得すると、


吹雪(ブリザード)!」


 比較的簡単な氷魔法を地面にかけ始め、 みるみる地面の水溜りが凍っていく。

 そして、キラーウルフが凍った水溜りに足を踏み入れた瞬間、攻撃に気を取られすぎていたこともあった為か、ツルン!と滑って倒れた。


「今だ!」


 アレンがその隙に仕留めにかかる。

            ーーグサッ

 剣がキラーウルフの喉元に突き刺さる。

 キラーウルフが最後の足掻きを見せ、必死にアレンに噛み付こうとする。

 しかし、アレンがそれを許すはずもなく、ついに、生き絶えた。


「ふぅーーー、何とか勝った。」


 身体のあちこちに切り傷をつけたアレンがその場で寝転がりながらそう言った。

 ユラは、呆気にとられ、何も言葉が出てこない。

 10秒ほどして、ようやく口にした言葉が、


「こんなのアリ?」


 の一言。


「取り敢えず、この魔獣を持って帰りますか。師匠にも報告したいですし。」


 回復魔法で既に傷を塞いだアレンが、平然とそう言ってくるので、


「え、ええ。」


 と、内心突っ込みたいところが多々あったが、取り敢えず賛同して、街へと帰ることになった。

キラーウルフの倒し方を、何にしようか散々迷った挙句、えー、それで倒せるの?みたいな感じになっちゃいました。(笑)

誤字脱字等ありましたら教えて下さい。

感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ