転生と怒りと苦しみと……
はじめての投稿ですので細かい事は大目に見ていただけたら、幸いです。
すでにこすられまくってハードルの上がっている異世界転生ものですが頑張ります‼︎
よろしくお願いいたします。
―――(どこだ?ここは?確か僕は……)
「おーい稜斗一緒に帰ろうぜ」
「ん?おお、大輝か。いいよ、帰ろう。」
稜斗とクラスメイトの大輝がいつものように一緒に帰り、たわいもない話をしていた。
変わらない日常だ。
二人が別れた後、近所に住む小学六年生の女の子が前から歩いて来た。
その女の子、綾とは家族ぐるみの付き合いで稜斗にとっては、妹のような存在だ。
「お兄ちゃんおかえんなさーい。」
「綾ちゃん、ただいま。これから遊びに行くの?」
「うん。友達と公園で遊ぶ約束してるの。」
「そっか。最近不審者が出たって話だから、あんまり、遅くなっちゃダメだよ。」
「わかってるよー。」
と、そんな事を話して、綾とすれ違った後、背後からキャーーと声がして、綾が稜斗に向かって駆けてきた。
「助けて!お兄ちゃん!」
「どうしたの⁉︎綾ちゃん?」
綾が駆けてきた方を見ると、男がナイフを片手に、こちらに向かって来ていた。
「おい、そこのガキをこっちによこせ。」
男はそう言いつのる。
しかし、そう言われてはいそうですか、と差し出す者はいないだろう。
案の定、稜斗もそうであった。
「綾ちゃん、ここは僕に任せて、逃げるんだ。」
稜斗はそう言ったが、綾は、
「駄目だよ、お兄ちゃんも早く逃げないと。」
そうこうしている間に男がすぐ近くまで来ていた。
そして、まず稜斗に斬りかかった。それを、間一髪で躱し、うぉりゃーーーー!と、雄叫びを上げながら手に持った鞄で男に殴りかかった。
すると、男が少し怯んだ。
その隙に、稜斗は綾の不安を少しでも和らげようと、綾の方を向いて落ち着いた様子で指示を出した。
「綾ちゃん、僕もいつまで時間を稼げるかわからないから、早く逃げ……て……」
それを、男が見過ごす訳も無く、稜斗が指示を言い切る前にその背中にナイフを突き刺した。
そのまま男は綾に向かって歩を進める。
稜斗は必死に力を振り絞って、男の足にしがみつき、声を上げる。
「綾ちゃん!こいつは僕が抑えておく!全力で逃げろ!」
その叫びで綾はふと我を取り戻し、走り出した。
男も、無我夢中で、蹴り、刺し、足を抜いた時、稜斗の息は無かった。
―――そして、今に至る。
稜斗は何もない真っ暗な空間にいた。
(どこだ?ここは?確か僕は、男に刺されて……そうだ綾ちゃんは無事なのか⁉︎)
その時、目の前がパッと光に包まれた。
思わず目を瞑ってしまい、再び開けたとき、目の前に美しい女性が立っていた。
「谷川稜斗さんですね?」
女性の問いかけに稜斗は、まさか、と思い、問いかけに問いかけで返していた。
「あなたは神かなんかですか?ここは何処ですか?僕は死んだんですか?」
そして、最も気になっていたことを問う。
「綾ちゃんは……綾ちゃんは無事なんですか?」
女性は次々に飛んでくる問いに一つずつ答えていく。
「まず私についてですが、仰る通り私は神です。私の名は神"エリシア"。ですが、貴方の世界の神ではありません。要するにここは、異世界です。貴方は元の世界で死亡し、この世界に転生してきたのです。そして、貴方と一緒にいた山下綾さんですが……死亡しました。」
その言葉を聞いて稜斗は呆然となった。
それもそのはず、稜斗はここを死後の世界だと思っていたのだから。
つまり、ここに綾がいないということは、綾は無事だったのだろうと思っていたのだから。
同時に、自分に対する激しい怒りがこみ上げてきた。
自分はこんなにも非力なのかと、妹同然の少女一人救えないのか、と。
そして、一つ疑問に思う。
「じゃ、じゃあ、どうして綾ちゃんはここにいないんですか?」
「それは、異世界転生をする確率がとても低いからです。それと、転生者には"転生者特典"が付与されますので、今から決めてください。」
「ちょ……ちょっと待ってください。最後にもう一つだけ聞かせて下さい。あ、綾ちゃんはどうなったんですか?」
「綾さんは天国で安らかに過ごしていますよ。」
「そうですか……安らかに……ですか。」
「ええ。」
稜斗はそれを聞いて、泪が止まらなかった。
そして、苦しいような、けれども、少し救われたような、そんな気持ちになった。
なにぶん、見切り発車なものですから、暫くは不定期更新になると思いますが、暖かい目で見守っていただけたらと思います。