第22話 死闘②
『全員準備はいいですね? 今回の任務は日本の未来がかかっている大切な任務です。各々肝に銘じて任務に励んでください』
隊内無線から息を飲む音が聞こえる。
恐らく広人が緊張して肩に力でも入れているのだろう。
それから、と榊原さんは続ける。
『絶対に生きて帰ってね……!』
その言葉は裏表のない、心の底からの願いである事が声からでもわかった。
「定刻だ……始めようか」
超遠距離の狙撃でも正確な射撃が出来る広人は、本土のビルの屋上から敵の動きを把握する役目をしてもらう。
二ノ宮、京子には瀬戸内海から潜り東側からの奇襲。
水無さん、桃咲には潜水状態で命令があるまで待機。
桐島さんは航行中の巡洋艦の上から確実な狙撃。
そして俺は日本海側から回り、西側から港に奇襲をかける。
「二ノ宮、京子、始めろ!」
『了解ですミスター茅山』
『分かったよかずくん……!』
二人の戦闘機兵、マーキュリーの背中に背負われているジェット噴射機構の電源がオンになり、一気に推進力を得る。
訓練通り手足の小型噴射機によってバランスを取る。
数分で目標地点へと到着する。
『敵を小型偵察機にて確認……こっち側は少ないようですね。二人で一気に片付けてしまいましょう』
『そ、そうだね……』
三つ数えた後同時に浮上する。
敵はたった二機。
それも海中から確認していたため、二ノ宮も京子も敵の背後に出る。
サバイバルナイフ型の武器を右腕で持ち、発見される前に首に突き立て信号の送信を止め、機能を停止させる。
動かなくなった敵機を音を立てないようにその場に寝かせ、すぐ近くのコンテナに隠れる。
『こちらK17小隊マーキュリー7真宮京子港への侵入完了しました!』
『同じくマーキュリー6二ノ宮羽月侵入完了』
操縦席の耳元に設置されているスピーカーから、吉報が流れる。
次は俺の番だ。
「ふぅ〜……」
一つ大きなため息を吐いて機体をゆっくりと動かし始める。
徐々にスピードが上がり、女の悲鳴のような風切り音を鳴り響かせる。
雲を切り視界に港の全てを視界に捉えた。
システムのアシストを使って視覚を強化する。
俺の役割は空からの奇襲攻撃。
「ポイントアルファ東側から三番目の青い屋根の裏……ポイントデルタ赤レンガの建物の屋上……ポイントシータタンカーの周りに二体。周辺にはこいつらだけだな。桐島さん、広人頼むぞ」
『俺はアルファを』
『じゃあ私がデルタを』
標的をマークし、照準を合わせる。
激しい向かい風によって銃口が揺れ動く。
システムのアシストがあるとはいえども、最後に狙ったところに銃弾を当てるのは自分の目と勘に頼る他ない。
同調率が無意識に上がってゆく。
200%を超えた同調率メーターから危険信号を知らせるアラームが鳴るが、かなり集中しているためか全く気にならない。
風力風向敵の行動予測。
引き金に指をかけ、一呼吸。
右手に力を込める。
サイレンサーが射撃音を消し、腕には反動がくる。
素早く銃口を調節し、二発目を発射する。
「着弾を確認。オーディーンファースト任務完了。全体セカンド任務に移行する。各自任務を遂行せよ」
『了解』
セカンド任務。
次に俺達に与えられた任務は、港近郊に作っていると思われる敵基地の占拠。
この任務は隠密ではない。
その代わりではあるが、四国側からの攻撃開始を待ってからこちらも攻撃を開始することが任務発動条件になる。
それまでの俺達の任務は待機、だ。




