第13話 海水浴①
「海だぁ〜〜!」
「海ぐらいではしゃぎ過ぎだぞ広人」
「そう言う一樹くんも目が飛び込みたいって言ってるわよ?」
そう、俺達「日本国軍総合戦闘兵神奈川基地戦闘機兵隊K17部隊」通称茅山隊の隊員達は、夏休みの休暇を使って海水浴に来ていた。
「それにしてもただの海水浴にも申請が必要だなんて、不便だよね〜」
「仕方ないだろ、今はどこも海軍の軍艦がいて海水浴場だって本当は入れないんだから」
日本海側ではまだ緊張状態が続いているため、海水浴は太平洋側でしか出来ない。
しかも軍のお偉いさんに掛け合って貰って、特別に貸してもらった国営の海水浴場らしい。
今はどんなものでも国や軍が管理しているので、どこか堅苦しいのは我慢するしかないのだろう。
「それじゃあ着替えてきましょうか」
◇◆◇◆◇◆
「それにしても暑いな!」
「パラソルここに張るから手伝ってくれ」
「僕も手伝いましょうミスター茅山」
早く着替え終わった……というかただ脱いだだけの男子が着々と準備を整えてゆく。
軍でパイロットをしている以上それなりの給料を貰っているので、こういう時に使わない手はない。
基本的に学校と軍を行ったり来たりで、休暇と呼べるものはほとんどないから意外とお金が溜まっていたりする。
「あぁ〜終わった〜」
「お待たせ」
「あ、着替え終わった? 奈々美さん」
後ろを振り向いた、そこには真っ白なビキニがよく映える奈々美さんが、風で飛びそうになった麦わら帽子を手で抑えて立っていた。
色白できめ細かい肌に太陽の光が反射して、とても……
「綺麗だ……」
「ありがとう……けれどそんなにジロジロと見られると恥ずかしいわ」
「あ、あぁごめん」
そう言われて慌ててお互いに視線を逸らす。
「はいはーいリア充タイムは置いといてさっさと遊ぼーう!」
「水無さん!」
冗談よ、と誤魔化すのは水色のビキニを着た水無さん。水無さんにしては控えめな色だと思ったが、よく似合っている。
「ゆっきー待って〜」
すぐ後ろをヒラヒラがついた花柄の水着に、薄緑色のパレオを身にまとって桐島さんがついて行く。
相変わらず可愛くて、それでいて綺麗だ。
「水無に騙された……」
もじもじしながら来たのは、パーカーをできる限り下げようと必死な京子。
「何をやっているのかしら京子? 一人だけ隠すのは違うと思うわよ?」
「だ、だって〜」
恥ずかしそうにパーカーを脱いだ京子は、超派手な虹色のビキニを着ていた。
それはもう見ているこっちが恥ずかしいくらいに派手で、一瞬で騙されていると分かった。
「随分攻めるのね……」
「あはははは、京子ちゃんほんとに買ってきちゃうもんな〜」
「もう! 雪乃!」
「あはははは!」
楽しそうでなによりだ。
そういえば一人足りない気がするのだが。
「そういえば桃咲さんがいないわね」
「あ……あの……」
「まったく桃咲、どこに行って……ッ!」
思わず目を疑ってしまった。
なぜ……
「スク水なんだ!」
「これしか……なかった……から」
まさかここまでとは思わなかった。
どれだけ春奈の存在が大きかったかが分かる。
海にスク水で来る人なんて、桃咲か騙された京子くらいのものだろう。
「……かずくん今失礼な事考えたでしょ」
「よし、みんな揃ったし遊ぼうか!」
「一樹くんビーチバレーしましょう」
いつの間にか砂浜にネットが設置され、コートがつくってあった。
お金がありすぎるのも困りものだな。
「チーム分けしようか〜」
「あれ? 一樹くんなんでこんなところに?」
チーム分けをしようというところに現れたのは、涼平さんと白影さん、それに右目に眼帯を付けた男性。
何をしているかを聞かなくても、水着を着ているところを見ると海水浴に来ているのだろう。
「お久しぶりです。休暇をいただいたので、隊の皆で海水浴に来ていて、今からビーチバレーをしようかなと思っていたところです」
「若いねぇ〜、涼平も参加させてもらったらどうだ?」
眼帯の男性が、涼平さんの背中を軽く押す。
「いや、邪魔してしまうのは悪いからな」
「いえ、人が多い方が楽しいので大丈夫ですが、出来れば二人参加してほしいですね、一人だけだと奇数になってしまうので」
「じゃあ俺と涼平で参加させてもらおうかな。あ、そうだ俺の名前は三宅 龍也だ、よろしく」
準備運動をしながら、お互いに軽く自己紹介をした。
龍也さんの名前を軍で聞いたことはないが、右目が使えなくなったので現役を引退したらしく、今は司令官として働いているらしい。




