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第2話 実技演習場①

 

 体育館には既に大勢の新入生が集まっていた。

 

 新入生の人数は確か400人ぐらいだったと思う。上級生を合わせると900〜1000人くらいはいるのだろうか。


 学年が進むごとに力の差は歴然となる。それは毎年400人新入生が入るにも関わらず卒業するのは半数程度という事実から誰にでも簡単に予想出来てしまう。


「入学おめでとう──」


 あの舞台上に立っている明らかに他の教員とは違うオーラを(まと)っている背の高い女性がこの訓練校の校長なのだろう。噂では軍にも絡んでいるとかいないとか。


 噂に聞くほど怖そうではないな。


「──という訳で新入生の諸君にはクラス分けテストを行ってもらうことになる、話は以上だ頑張ってくれ」


 新入生への挨拶を済ませると、最後にそう付け足した。


 おいおいクラス分けテストなんて聞いてないぞ。


 一瞬俺の確認ミスかと思ったが他の生徒がざわめき出したことから抜き打ちだと分かった。


 クラス分けの仕組みは至ってシンプルだ。2人1組のベアになって出される課題を早くクリアすればいいらしい。クラスはA~Jまでの10クラスに分けられ、Aクラスから順に優秀な結果を収めたものが分けられていく。


 実力があるものが上がっていける、ここでは当然か。


「分かりやすくていいね!じゃあかずくんペアを──」


 京子の言葉が舞台上にいつの間にかいた声の主にに遮られる。


「ペアに関してはこちらで抽選させて貰ったので、事前にインストールしてもらったアプリケーションから確認してくれ」


 なるほど知らない奴と組ませることで個人の力だけでなく性格とかもハッキリ分かるってわけか。


 またしても体育館がざわめく。俺は入学にあたって配られていたプリントの手順通りに入れた、学校指定のアプリケーションを開き言われた通りの場所を見る。400ともなると流石に探すのに少し時間がかかった。


「あった……遠山(とおやま) 奈々美(ななみ)


 名前からして女子だろう。


 俺は彼女の生徒番号0107の席を探した。俺の席は0371なので少し遠い位置だ。


「ここら辺のはずだな」


 俺はあたりを見回した。


 そしてそれはまたしても突然俺の前に現れる。


 0107の席に座っていた遠山 奈々美なる人物はついさっき、ほんの2,3時間前に門のところで見とれてしまったあの子だった。

 しかもこの生徒番号0107はこの訓練校の中等部の出身。つまり中等部から英才教育を受けてきたエリートということになる。


「えーと、遠山さんはじめまして今回のクラス分けテストのペアを組むことになった茅山です、よろしくね」


「そう、あなたが茅山くん……」


 そう言いながら俺をジロジロと見ている。

 ペアが俺みたいな高等部からの生徒で不服なのだろう。


「それじゃあ行きましょうか」


「あ、あぁ」


 ついていけるか不安だがこれは案外ラッキーなのかもしれない。遠山さんと力を合わせれば上位クラスにも行けるはずだ。


 俺はそんな期待を抱き彼女の後を追った。


 真っ直ぐ目的地に向かっているのだろうが、まだこの訓練校の敷地の中をすべて把握している訳では無い俺にはどこを歩いているのか全く分からなかった。


 しばらく歩いた後、彼女はある施設の前で止まった。それはコンクリートで作られた予想していたよりも大きくない施設だった。

 もう多くの人がドアの前に集まっている。


「ここでテストをするのか?」


「ここから降りる」


 降りるという言葉に少し疑問を抱いたが、中に入ると少し大きめのエレベーターが4つあったのでその意味を理解した。


 俺たちの乗ったエレベーターが地下の空間に出るとそこにはとても広い空間があった。全部でジャングル、砂漠、海、洞窟、山岳、氷原の6つのエリアがあるようだ。敷地の下にこんな空間があるなんて誰も思わなかっただろう。


声には出さないものの俺も内心とても驚いているのだ。ここの中等部から来た人は知っていたのか、遠山さんを含めエレベーターに一緒に乗った中には落ち着いた表情で見ている人もいた。


 クラス分けテストの課題は全部で3つ。1つクリアすると次の課題を与えられるという形式らしい。


 新入生達は5つのエリアにグループ分けされ、グループごとに一斉にスタートする。

 俺達の最初の課題は洞窟エリア、洞窟の中にある課題クリアの証拠となる紙を取ってくるというもので、ペアに1つずつ懐中電灯と洞窟内の地図が配布された。


 スタートすると懐中電灯を持った遠山さんはズカズカと進んでいく。


「遠山さん地図を見ずに進んで大丈夫?」


「地図は頭に入ってるから大丈夫」


 彼女の後ろを地図を見ながら不安ながらも追っていく。奥に進むにつれて俺もだんだん余裕が出てきて、他のことを考えるくらいのことは出来るようになっていた。


「それにしても人が作ったにしては凄い完成度の洞窟だ」


「本当にある洞窟を気温や湿度まで再現してるから」


 この再現度だと予算は国家レベルまで行くのではないだろうか。


「あった、これね」


 完成度に感心していると彼女が課題の紙の入ったビンを見つけたようで、中身を確認すると来た道を戻り始める。本当に地図が全部頭に入っているのか。一切迷わなかったために真っ直ぐ1時間半で来れた。


「はい、確かに受け取りました、課題クリアです」


 地上に戻った俺達は担当の人に紙を渡し、この課題をエリア内40組中2番目という速さでクリアした。


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