Rally
創の言っていたとおり、セサは傷のせいか数週間全く行動を起こさなかった。そして俺にはあるイベントが待っていた、そう剣道の公式大会だ。
5月中旬自分にとって初めての公式大会だ。セサのことなど忘れて、剣道のことにのみ集中していた。今は大会に向かう途中・・・
隣にいるわざわざ俺の試合を応援するというモモが言った。
「友貴!頑張ってね!」
「さんきゅ。でもほんとにいいのか?お前だって部活といろいろ・・・」
「もうっいいの!応援しに行くって決めたんだから!」
「はいはい。わかったわかった」
こんな言い合いをしながら大会に臨んだ。
成績は初めてにしてはすごくいいと思う。今日はいつもより調子がいいのか、次は準決勝だ、これを勝てば決勝戦へと進める。ただここで引っかかるものがあった、対戦相手の名前が瀬佐拓磨という人物なのだ。セサとはほんの数週間前に創と殺り合った相手じゃないか。創に連絡するか?いや時間がない。まぁしょうがない、そん時はそん時だ。と割り切り、瀬佐拓磨との試合に行った。
対戦相手の瀬佐拓磨がやってきた。相手も俺を見て、驚いたようだ。
やっぱりか・・・
と心の中で納得した。しかし試合は棄権する気はない。
「始め!」
そして試合が始まった。
瀬佐は一瞬で間合いを詰め、面を狙ってきた!先ほどのことで動揺していた俺はなにもできなかった。
「メェェェェン!!」
「一本!」
やられた・・・。この動揺を見抜いて一瞬で勝負を決めるとは。こいつ強い!でも大丈夫だ、切り換えろ二本先に取ればいいだけだ。
「始め!」
今度は先ほどと違い瀬佐は動かずに待つ方法をとった。
俺は踏み出し、先ほどと同じ形の面を打つ。瀬佐は俺の面に合わせカウンターで小手を狙いにくる!その流れを読んでいた俺はそれをきれいに避け、胴を打つ!
「ドォォォォ!!!」
「一本!」
どうだ、これで五分だぞ。
「始め!」
三度目が始まった。今回は2人とも同時に打ちかかり、つばぜり合いに持ち込んだ!
「やあ。まさかこの前端っこで怯えていた君とこんなところで会えるとはね」
「俺も驚いたよ。傷は治ったか?」
「ご心配ありがとう。じゃあこの勝負も終わらせようか」
つばぜり合いが終わり、打ち合いが再開された。
俺は得意とする小手面で攻撃した。が瀬佐は手を引き、頭をひねり、うまく避ける。瀬佐も胴を狙って打ってくるが、そこで小手を合わせ、
「コテェェ!」
「一本!勝負あり!勝者増森友貴!礼っ」
よし勝った!戻ったらすぐに創に連絡しようと思いながらその場をあとにした。
おかしいいつもなら「友貴おめでと〜」などと言ってくれるモモがいるはずなのにいない。用事なのか?と思ったが俺は一つのメモを見つけた。
『第2回戦を始めようじゃないか。ここに居た女の子も一緒にね。もちろんあの男は呼ぶなよ。会場の裏で待ってる』
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