人物紹介
※人物紹介に書かれている年齢は本編開始時のものです。
《 森 》
●ソニア・ファン・レグリース
赤い頭巾を被った女の子。六歳。
両親に魔の森に捨てられ、クロードに拾われた。彼を“おおかみさん”と呼んで慕っている。
“ソニア”はクロードが付けた名前で、作中に登場する赤い花が由来。花言葉は浄化・祝福・永遠・君に幸あれ。本人はその名前をとても気に入っている。
“ファン・レグリース”は教会の子の意味で、孤児や教会の関係者が名乗る。書類上、教会の孤児としてクロードに引き取られた形になっているが、クロードの養子というわけではない。それに加え、両親ともに家名を持っていなかったため、教会の名を名乗ることに。
幼いながらに整った容姿をしている。母親似。蜂蜜を溶かしたような金髪に新緑の瞳をもつ。
大人しく素直な性格。やや天然が入っており、たまにボケる。人見知りだが、最近友達が増えた。動物好きで動物とはわりと仲良くなりやすい。ネガティブで物事を悪い方向へ考えることがある。信じやすく騙されやすい面もあるが、常にひとを疑っているような側面も。とくに自分への好意に対しては懐疑的。他者には好意的だが自分は嫌い。
法力持ち。少し前まで自覚はなかったが、今はクロードやマルセルから説明されて知っている。王都へ引っ越してからセルジュに法術の使い方を教わるようになる。歌は上手いが、絵は下手でマルセル曰く画伯。
八歳になると森から王都へ引っ越し、王立魔法学校へ通うように。学校は初等部四年、中等部三年、高等部三年。中等部から寮に入る。学校に入るまではクロードやマルセル、シュテファンに簡単な勉強を教わっていた。
●クロード・ラージュ・ルーガルー
魔の森に住む変わり者の青年。十八歳。
冒険者ギルド・ヴァナディースに所属する剣士で、最年少でギルドランクSをとった実力者。二つ名は黒狼のクロード。
ソニアを拾うまでは厭世的な考え方をしていたが、最近ちょっと変わった。
名前は、正式にはクロード・ルーガルー。ラージュはクロードが生まれ育った村の名前。村は壊滅したので地図にはもう載っていない。冒険者として稼ぐようになってから土地を買い取り、村人たちの墓を建てた。たまに墓参りに行っている。
十歳のときに生まれ育った村が壊滅。その後、セルジュの所属する貧乏教会で暮らす。十二歳になると年齢をごまかしてギルドに加入。剣士として活躍し、十三歳で教会から出て独り立ち。ギルド史上最速で昇級していて、そのときすでにBランク。職業選択の理由には魔物嫌いが深く関わっている。十五歳のときに最年少でSランクに。
容姿自体は整っているが、いつも不機嫌そうな顔をしているためか他人からは怖がられることが多い。黒髪黒眼の男前。ちょっと老けている。感情を素直に表すときは年相応。
面倒臭がりだが、意外と世話焼き。苦労性タイプ。運が悪いが、能力が高いので大抵の面倒事は回避できる。直感で動く。考えるより行動。
魔剣・グラムの所有者。持ち主以外は軽く触れただけで斬れてしまうため、魔剣には鞘がない。最近になってやっと完全に扱えるようになり、新しく鞘を作った。特技はナイフ投げ。両利き。荒事以外には向かないように見えるが、実は家庭的。自炊歴が長いため料理が得意で掃除好き。
騎士になるため王都へ引っ越す。二年かかったのはギルドを辞めるのに他国の横やりがあったから。“副団長になってもらうつもりだから粗末な家はやめてね”と上司から言われているため、王都の自宅は家というより邸宅。一応、使用人もいる。騎士団長の無茶ぶりにより騎士になって三年で副団長にさせられ、かなり苦労するが、結局は誰も敵わないので認められる。ソニアのおかげで人当たりがよくなったせいか、部下からの支持は厚い。
●ルー
ソニアが拾ったルプスの仔。あまりにも適当すぎるその名前はクロードが付けた。オス。
群れに帰ることを選択し、一度はソニアと離れるが、翌年に何食わぬ顔で戻ってきた肝の太いペット。あの涙の別れは一体なんだったのか。一年で大型犬くらいの大きさにはなったようだ。
森では走って家族とソニアのもとを行き来していたが、ソニアが王都に引っ越す際に再び別れることに。ソニアが魔法学校に入学した後、使い魔としての契約を結んでようやくずっと一緒にいられることになる。とはいっても、普段は群れで生活しているため、呼び出されたときだけソニアといる形に落ち着く。使い魔だが、扱いはほぼペット。役に立つことは少ない(クロード談)。
※ルプスとは、狼の姿をした魔物。白銀色の毛並み。ランクはC以下。稀にB。
魔物にしては比較的ひとに懐きやすいため、使い魔として活躍することも多い。
群れで行動する。仔連れだと警戒心が強く危険だが、仔は懐きやすい。オスの成体は体長約三メートルくらい。大きい個体だとその数倍という報告も。
《 ギルド 》
●マルセル・シエル
クロードの友人で相棒の魔導師。二十三歳。Aランク。二つ名は青雷のマルセル。
とんがり帽子がトレードマーク。癖のある薄い茶色の髪に空色の瞳。顔はいいが、美形というほどではない。意外とモテる。
冒険者ギルド・ヴァナディースに所属している。元は最高峰の魔術機関である導の塔に所属する魔導師で魔術研究者だったが、派閥争いに嫌気がさして辞めた。ギルドには自己研鑽のために王立魔法学校時代から所属していたが、本職にするつもりはなかったらしい。冒険者の仕事も好きだが、一人で研究も続けていて、ギルドマスターの好意でギルドに用意された彼の実験室に入ると戻ってこれなくなるという噂がまことしやかに囁かれている。
実家は商家で、本人曰く金持ち商家でぬくぬく育てられた三男坊。五人兄弟のど真ん中で面倒見がいい。マメで細かいところによく気がつくため、年上年下問わず相談を受けることが多い。思慮深く、軽く見せているが実はよく考えているひと。
クロードと相棒になったのは四年前。それまでにもクロードと組むことが多かったが、年上ゆえか何だがヒネちゃってるクロードを放っておけず、マルセルから相棒になることを申し出た。クロードによく絡む。昔は激しく嫌がられていたが、最近は受け入れ気味なのでやっと慣れてきたかなとクロードのことを野生の獣か何かのように見ている節がある。
●シュテファン
マルセルの使い魔。妖精や魔物ではなくただのカラス。しかし、よくしゃべる。
契約したのは二十年前でマルセルが三歳のとき。マルセルの初めての使い魔にして遊び相手。怪我をして死にかけていたシュテファンに幼いマルセルが魔術書で見た契約魔法を試してみたくなったのがきっかけ。シュテファンという名前を付けたのはマルセルだが、契約名なので契約を破棄するまでの間だけ。今のところ両者に契約を破棄する意思はない。
一人称はなぜか某。賑やかな気遣い屋。小心で突発的な物事に弱いが、心優しいカラス。やたらと人間臭いのは使い魔歴が長いため。好物は魚の干物。
あと三十年くらいしたら人型をとれるようになると聞いて密かに楽しみにしている。人型になったらやりたいことは家事とマルセルの研究助手。
●アベル・ベルトラン
冒険者ギルド・ヴァナディースに所属するAランクの剣士。二つ名は銀弓の狩人。十九歳。
貴族出身なのに冒険者をしている変わり者。由緒正しきベルトラン伯爵家の三男で家族仲は良好。父親であるベルトラン伯爵が治める所領の領民たちから慕われており、実家を出てエトルタで生活している現在でも里帰りすると野菜だの魚だのを持たされる。
正義感の強い性格で熱血漢。教養はあるし頭は悪くないのだが、他人を信じやすくよく騙される。思い込みが激しい。猪突猛進。短慮でお節介。
容姿は優男然とした美形。琥珀色の瞳は伯爵家特有。周りの女性たちからは“黙っていればとびきりの美男”との評価を受ける。白銀の長い髪を三つ編みにしており、街の子どもによく引っ張られている。老若男女問わず、エトルタの街の人々から好かれているが、なぜかモテるという話は聞かない。
武器は世に十二振りしかない聖剣・ミスティルテイン。変幻自在の聖剣で、アベルは弓にして使うことが多い。聖剣は伯爵家に代々伝わるもので、聖剣に選ばれた者が所持することになっている。聖剣の所持者が当主になるといった決まりはないので、伯爵家を継ぐのはアベルの兄。そのため、アベルは気ままに趣味の人助けをして生活できている。
クロードの自称・好敵手だが、剣術の腕は足元にも及ばないのが密かな悩み。しかし、その悩みは彼を知るギルドメンバー全員が知っている。実は弓術の方が得意。剣にこだわるのは彼の尊敬する曽祖父が剣聖と謳われた剣士だったから。その曽祖父も聖剣に選ばれ、冒険者をしていた変わり者で、アベルは会ったことのない曽祖父に憧れて冒険者になった。
●オルガ・シャ・ソヴァージュ
冒険者ギルド・ヴァナディースのギルドマスター。年齢不詳。見た目は三十代後半。
獅子の鬣っぽい赤髪に血色の赤眼。大柄だがメリハリのある美女。あまり知られていないが実は結婚していて、夫は彼女曰くモヤシな魔術師兼法術師のサブマスター。ギルド内でも知っているのは数人。ちなみにクロードは知らない。
ギルドランクはSで二つ名は戦場の雌獅子。使用する武器は斧で、自分の背より大きい大斧をいつも振り回している。元は他国の軍人。
性格は豪放磊落。かなり脳筋で趣味が鍛錬。ギルド内をふらついているとギルドマスターの鍛錬に付き合わされると専らの噂。Sランク相手に倒れるまで相手をさせられるので彼女との鍛錬を嫌がる者は多い。それがわかっていて鍛錬場に引っ張っていくので少し意地が悪いかもしれない。いい歳をして悪戯好き。
武芸全般は得意だが、書類仕事や家事が大の苦手で、とくに部屋が汚いとよく夫に怒られている。しかし、家事含め細かいことは夫の仕事だと豪語していることから夫の説教の効果はあまりない模様。
●ヴィヴィアン
ギルドが管理している鳥。依頼に関する情報を運ぶのが仕事だが、森に住むクロードには特別に食料や生活必需品を届けている。
前々ギルドマスターの使い魔だったが、仕事を続けたいということで現在はサブマスターの使い魔に。年齢は六十歳を過ぎていて、ギルドメンバーを子どもや孫のように思っている。隠居は考えていないが、たまには温泉でゆっくりしたい今日この頃。実は人型になれるのだが、彼の人型を見たことがある者はほとんどいない。本人曰くもっとイケメンが良かったとのこと。
一人称がなぜか“わて”で、謎の方言を駆使してハイテンションに話しかける。マシンガントークが売りの一つ。好物は酒。
●ブラス・フリアス
第三章の“狼そのに”に登場する冒険者ギルド・ヴァナディースの冒険者。
茶色頭に巻かれた変な柄のバンダナが印象的。バンダナは最愛の妻からの贈り物。愛妻家でギルドではよくからかわれている。
●ギー
第三章の“狼そのよん”に登場する冒険者ギルド・ヴァナディースの冒険者で元暗殺者。
ギルドの登録には家名も必要なので、登録名はギー・ファン・レグリース。彼と同様に家名がなくファン・レグリースを名乗る者は多い。出身地がはっきりしている場合は地名を入れることもあるが、ギーは出身地不明。幼い頃から暗殺者ギルドにいたため本人にもわからないらしい。
●ハンス・アルトマン
第三章の“狼そのよん”に登場する冒険者ギルド・ヴァナディースの冒険者で亡国の元諜報員。
内戦で国を失い、クラルティ王国に流れ着いた。身も心もボロボロのところを拾ってくれたギルドマスターとサブマスターに恩義を感じている。ヴァナディースの冒険者にしては珍しく、魔物討伐にほとんど参加しない。
《 王城 》
●フェリクス・ヴァリエ・ロデ・クラルティ
クラルティ王国の第二王子で王立騎士団団長。二十五歳。
金髪碧眼の美形な王子様。細身でやや女顔。髪型は襟足長めで、王侯貴族にしては髪は短い。長髪だと女顔が際立つので伸ばしていない。にこやかで優しげなのは顔だけで、腹の中は真っ黒。本音と建前を使い分け、思っていることはほとんど口に出さない腹黒策士タイプ。自由気ままに見えるが、わざとマイペースを装っている。一番大切なものは家族(両親と同母・異母兄弟)で、ファザコンでマザコンでシスコンのうえにブラコンという残念なイケメン。
名前について、ヴァリエは王太子以外の王子、ロデは側室の子を意味する。母親は側室で、実家が侯爵家。実家の侯爵家が野心家過ぎて母子ともども辟易している。
王立騎士団の団長だが、王族であることと副団長の方が強いことからお飾りだと思われている。デスクワーク多め。剣術の腕に関してはとくに気にすることもなく、軍師・参謀ポジションだと自分で言っている。騎士団に入ったのはいずれ国王になる兄を支えるため。
左利きで左手の握力が異様に強いため、よくペンを折っている。
●レオナール・アルミュール
フェリクスの従者。二十五歳。
伯爵家の次男坊。王立騎士団に所属する騎士だが、帯剣しておらず、杖を装備している。氷系の攻撃魔法と操作系魔術を得意とする魔術師。フェリクスとは乳兄弟で学生時代は王立魔法学校に一緒に通っていた。
痩身でひょろっとしていて背は高い。実は魔術だけでなく体術も得意としている。強化魔法を使用した彼との戦いは、剣を折られるだけでなく素手の相手に負けることで心も折られると他の騎士たちから恐れられている。
無口無表情がデフォルト。フェリクス相手でも滅多に口を開かないが、フェリクスは長い付き合いなので彼が何を言いたいか何となくわかるらしい。
●ディオン・ヴァリエ・ロデ・クラルティ
クラルティ王国の第五王子。八歳。王立魔法学校初等部の生徒。
金髪碧眼。フェリクスによく似た容姿だが、活発な性格のせいか子どもの頃のフェリクスより男の子らしい。子どもらしい可愛さと愛嬌のある顔立ち。
ヤンチャで好奇心旺盛。正義感が強く、優しい。他愛ない悪戯を考えて実行するのが好き。相手は主に家族や護衛・教師などの周りの大人。お忍びと称してよく城下に出没する。お忍びのときの名前はテオ。
お忍び中に攫われ、そこで運命の出会いを果たす。簡単に言えばソニアに惚れる。初恋は実らないと聞き、実らせるために努力中。一番の壁はソニアの保護者だと思っているが、たぶん間違っていない。王子という自覚のもと魔術以外の勉強(魔術はジルベールに丸投げすればいいと思っていた)は真面目にしていたが、事件後はさらに勤勉に。クロードが騎士団に入ってからは、腕試しとしてたまに戦いを挑むようになるが、勝てるわけもなくいつも悔しがっている。想い人になかなか恋愛対象として見てもらえないのと恋敵に相手にされないのが、十年後の彼の悩み。
●ジルベール・シャテーニュ
ディオンの従者。八歳。王立魔法学校初等部の生徒。愛称はジル。
容姿は栗毛のおかっぱ。糸目で吊り目な狐顔。昔は乱暴な口調だったが、従者の自覚とともに改善。ボロが出ないように常に敬語で話すようになる。たまに地が出ることも。
子爵家の長男で五歳下の妹がいる。ディオンの母親の実家である侯爵家所縁の者。従者に選ばれたのは侯爵家のごり押しだが、侯爵家の言いなりになる気はない。妹は可愛がっているが、侯爵家とそれに追従する実家には反発している。
王立魔法学校に通う魔術師の卵で将来は宮廷魔術師としてディオンに仕えたいと考えている。騎士という選択肢もあったが、魔力持ちで才能があったので魔術の道に。
使い魔はネズミ型の魔物。成長すると炎を纏ったり魔法が使えるようになったりするが、現在は普通のネズミと大差ない。本編には二匹しか登場していないが、本当は彼の使い魔は三匹。一匹は王城にディオンが攫われたことを伝えにいったが、幻術に阻まれてジルベールのもとに戻れなくなっていた。白いネズミがスーリ、灰色のネズミがエリッソン、本編に出ていない黒色のネズミがエキュルイユ。
ディオンにも内緒にしているが、実は可愛いもの好き。リス型の魔物を使い魔にしようとしたが、間違えてネズミ型の魔物が三匹出た。それでも可愛かったので使い魔として契約したが、間違えたということはネズミたちに黙っていようと思っている。
慎重派だが、ヤンチャなディオンに付き合えるくらいには行動派。
●マティアス・カディオ・カヴェ・クラルティ
第三章の“狼そのさん”に声だけ登場する。クラルティ王国の第一王子で王太子。二十七歳。
フェリクスやディオンの異母兄。カディオは王太子、カヴェは正妃の子を意味する。
《 教会・その他 》
●セルジュ・ファン・レグリース
クロードの友人の司教で教会屈指の法術師。二十九歳。
教会の人間は家名を捨てるため、皆“ファン・レグリース”を名乗る。そのため、セルジュにも元の家名はあるが、教会入りした時期が早くあまりに幼かったため忘れたとのこと。攫われるようにして教会に入れられたらしい。クロードによく薬や聖具を融通している。
壊滅した村で幼いクロードと出会い、身寄りをなくした彼を自分が所属する教会に引き取った。そのため、クロードを弟のように思っている。
●ロザリー・フィリドール
ソニアの友達の少女。七歳。
王都でも有名な大商家の娘。ソニアとは攫われた先で出会い、仲良くなる。
意地っ張りでプライドが高いお嬢様。子ども扱いされることを嫌うが、お得意様の前では素直で可愛い子どもになりきる演技派。将来の夢は、立派な淑女になって貴族に嫁入りし、実家の商売をさらに盛り上げること。メリットのない結婚はしたくないと豪語する娘の将来を、父親はいつも心配している。
魔力が少なく魔術師の素質はないが、十三歳(中等部)から王立魔法学校に通うようになる。目的はコネ作りと箔付け。王立魔法学校は魔法のみに特化しているわけではなく、一般教養科や剣術科も存在し、貴族や平民の中でも優秀な者のみが通えると言われている。王立魔法学校の生徒というのが一種のステータス。
●ケヴィン・フィリドール
第三章の“赤頭巾と狼そのさん”に登場するロザリーの父親。フィリドール商会の現当主で娘婿。元々は前当主の秘書をしていた。
恋愛結婚だが、恐妻家で妻には頭が上がらない。それでも本人的には幸せらしい。子煩悩。
●ジョゼフ・フィリドール
第三章の“赤頭巾と狼そのさん”に登場するロザリーの祖父。フィリドール商会の前当主。遅くにできた娘とその夫に商会を任せ、現在は悠々自適の隠居生活。
愛妻家で恐妻家。コレクター気質で変わった物を集めるのが趣味。しかし、妻に理解してもらえず、変な物を買っては妻に家を追い出されている。追い出されたときは、王都をブラブラすることもあるが、知り合いの魔術師に転移魔法をかけてもらって別の場所に行き、帰っていいと妻から許しが出るまで気分転換することもある。実はそんなときに出会ったのがソニアで、殴って気絶させられたのは暴漢が出たからだと思っており、自分の話に付き合ってくれた幼い少女のことを心配していた。
●ロベール
ソニアの実父。二十七歳。顔はいいが中身は最悪。
実家に縁を切られる前はロベール・プールナールと名乗っていた。
簡単に子どもを捨て、借金で首が回らなくなったからといって子どもを売る最低男。彼の未来は明るくない。ギルドから騎士団に引き渡されたが、残念なことに罪自体はさほど重くなかったためにすぐに出てくる。しかし、噂が広まりエトルタにはいられなくなったので別の土地に行ったらしい。
賭け事が大好き。金がないと生きていけないが、働かなくても生きていけると思っている。
●ローズ・フルール
ソニアの実母。二十六歳。美人だが中身は最悪。
元娼婦。夫の金を持ち出して恋人と夜逃げした。
貧しい農村に生まれ、幼くして娼館に売られた。自分の家族を毛嫌いしているため、家名ではなく以前いた娼館の名前であるフルールを名乗っている。上昇志向が強い。
ロベールが娘を売らずに森に捨てたのは彼女が子どもを売ることを嫌悪しているから。でも捨てるのは別にいい。娘に対して愛情はなく、自分の弟妹を思い出して不快になるので子ども全般を嫌っている。
《 とある組織 》
●ノエ・リヤン
とある組織の参謀。暗黒街のボスの子飼いとして知られている。
見た目は十二、三歳くらいの少年だが、正確な年齢は本人にもわからない。茶髪茶眼の地味顔で目立たない。
頭の回転が速く、機転が利くところをツェーザルに買われて組織に入る。組織では主に金策と金の管理を担当。どんぶり勘定なボスと幹部に頭を痛める日々。貧民街で育ったせいか犯罪に対する嫌悪感や罪悪感はなく、息をするように他者を食い物にする。ひとを騙すのが得意。
ノエは組織のボスからもらった名前。口には出さないが気に入っており、やっぱり口には出さないが組織と仲間を大切に思っている。貧民街出身のため家名はなく、リヤンは自分で付けた名前。あんまり名乗らない。
性格はツンデレ。無駄に偉そう。プライドが高く、馬鹿にされるのが嫌い。素直になれない彼をボス含む九人の組織の幹部たちは温かい目で見守っている。
●カスト・リヤン
とある組織の構成員でノエの腹心。二十代半ば。
リヤンはノエ直属の部下になったときにもらった名前。元は敵対組織の下っ端だったが、その組織がノエの策略により潰されたときにノエに気に入られて引き抜かれた。スカウトの言葉は“土下座したらボクの下僕にしてあげる”で、カストは拒否したのになぜか組織に入ることに。
言ったら怒るので口には出さないが、ノエを上司というより弟のように思っている。しかし、それとは別に組織の一員として参謀であるノエを守ろうという気持ちもある。
●ツェーザル・ティラン
ほぼ名前しか登場していない暗黒街のボス。ちなみに、その暗黒街があるのはクラルティ王国ではなく他国。治安が悪く、国家としてほぼ機能していない国。そこを拠点にしている犯罪組織は多く、犯罪の温床になっている。自国だけならいいが、他の国でも組織的な犯罪行為を行うため近隣の国から迷惑がられているが、自国・他国貴族との癒着や内政干渉などの問題から大規模な摘発には及ばない。
その国で一番の勢力を誇るのがハイドラという組織で、そこのボスがツェーザル。身内には甘く、それ以外には非情。
※表記を魔導士→魔導師に変更しました。




