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第二幕 俺とゲーセン

まだ…まだ濃い恋愛要素は入れへんで…!

序盤のうちはギャグや!

とにかくギャグなんや……!!

「────違う! 違うんだ!」


「幸希……てめぇ、何が違うってんだ」


一触即発。

それが俺と慎一の今の状態を表す最大の言葉だった。


「ど、どうしたの!?」


「こ、幸希?」


「ちょっと、二人とも止めなさい!」


フミが慌て、晶すらこの現状に呆然とし、早紀は止めようとする。

だが、俺たちは止まれない!


「俺が欲しかったのはウィンクバージョンなんだ! 両目開けてるやつはお呼びじゃねぇんだよ!」


ズザー!

それは俺たちを見ていた三人がずっこけた音だった。


「う、ウィンクバージョン…?」


「こー…なにさ、それ」


「これだ!」


黄門様の印籠の如く突き出した人形は兎。

両目を開けているタイプだ。


「はぁ、これが?」


「俺は最初からウィンクが欲しいと言ったのによおっ! このUFOキャッチャーの達人(笑)はあろうことか両目のを取りやがった! この偽達人が!」


「なにをぉ!」


再び慎一と火花を散らす俺!

白黒つけなきゃなんねぇんだッッ!!


「止めなさい!」


ごちんっ。

この世の修羅たる早紀様から有り難い拳骨を頂きました……。

早紀は手ぇ痛くないのかよ…すげー。


今俺たちがいるのはご名答、ゲーセンだ。

こういったメンバーが集まるとゲーセンは非常に楽しみやすい。

多人数でも、各々でも遊んだり出来る為、幅が利くのだ。

で、先ほどまで達人(笑)だと言う慎一に任せてUFOキャッチャーをやっていた、というわけだ。


「こー、ちょっとあれやってみない?」


「ん、なに……『鉄巻』? ○拳じゃないのか?」


「ひたすら鉄火巻を作るゲームだって」


「どんなゲームだ!?」


「気になるでしょ」


「すげぇ気になる!!」


「はぁ、小学生じゃないんだから…」


『鉄巻』に嬉々として向かう俺とフミに哀愁漂う雰囲気で着いてくる早紀。

早紀よ、子供心を忘れちゃあいかんぜよ!




「…………」


「…………」


「あの、二人とも…?」


「凄かったな…」


「凄かったね…」


鉄巻…甘く見てたぜ。

左ボタンを押してシャリ(飯)を取り、真ん中ボタンでマグロを置く。

そして直ぐ様レバーを倒し海苔を巻き────右ボタンを押して客に出す。

最後に響くおっちゃんヴォイス。

『ヘイッ! お待ち!』

それだけ。


「凄くつまんなかったな…」


「うん…」


あー、百円マジもったいねー。

何だか目頭が熱いぜ。

………くすん。


「よぉお前ら、随分暗ぇな」


「慎一……うわっ、お前なんだそれ」


現れた慎一はデカい箱を持っていた!

しかもなんか見覚えがあるぞ…?


「ん? Wii」


「うぃー…だと…? そ、そんな金はなかった筈だ…!」


俺の記憶では、今日の慎一の所持金は3506円だったはず。

ふ、俺に知らないことはないぜ……。


「ほら、良く置いてあるだろ、ランプが回って5ポイント取ったらどうたらってやつよ」


「な、にぃ…! アレは4ポイントまで取れてもそれ以上は取れないというゲーセン側の悪徳機械だった筈……!!」


故障…?

いや、たまーに貼られている「取れましたー☆」の写真の説明が付かない…!

だが、何となくこいつが強運の持ち主なんで認めることは出来ない!

何となく!

大事なことだから二回言ったのだ!


「んなこと言われてもよ……」


「慎一! お前に運の勝負を申し込む!」


「はぁ?」


ここで、やつの運を試すしかないな。

化けの皮を剥がしてくれる!


「ジャンケンをとにかく連続で10回やるぞ! 勝敗の回数をフミが集計!」


「えぇ…僕がやるの?」


「とにかく頼んだ…行くぜ!」


Koki Arashiyama VS Shinichi Miki


「ジャンケンポン!ポン!ポン!ポン!ポン!………………………」


「10対0で慎一の勝ち」


「orz」


惨敗だった。

後出しの様子もなし…。

くそったれぇぇぇ……。


「どうやら、慎一の運は本物みたいね」


「ま、運だけじゃアタシの幸希には全然及ばないけどねー」


「俺はお前の物になった覚えはないぞ、晶…」


「え? 言ってないもん」


「………」


もはや言われるまでもなく、俺は晶の所有物らしい。

……いやいやいやいや!


「うふふ…ね、幸希ぃ……。トイレ行こっか…」


「な、何の為に……?」


「もちろん……幸希とセッ、むぐー」


速攻で晶の口に手をあてがう。


「はいストォーップ! それ以上は言っちゃいけないよ、この小説はR15が限度なんだからぁ!」


「………ペロペロ」


「ウヒィー!! て、手の平舐めるんじゃねー!!!」


「んはぁ…幸希の味…美味しい……」


「もう嫌だこの子」


早紀明神様に託すしかねぇ。

この子に神託を与えてやって下せ。


「仕方ないわね……ほら早紀、しっかりする!」


「んにゃぁ………はっ」


ようやく正気に戻ったか。

好きでいてくれるのは嬉しいが、度の行き過ぎは駄目だ。

もはやただのセクハラだってーの。


「そろそろ出ようぜ。少し暗くなってきた」


晶がまた覚醒しない内に切り上げよう。

時計を見ても既に6時近い。

頃合いと言える。


「そうだね。じゃあ、解散しようか」


「そいや俺買いもんしなくちゃいけねぇんだった、やべーやべー」


「バスの時間見ないと…」


晶以外の三人も異論はないようだ。

で、晶はと言うと…。


「じゃあ今日は幸希の家に……」


「くんな」


「ひっどーい。アタシ、こんなに幸希のこと愛してるのにぃ!」


「間違いなく一方的な愛だよ! 俺の愛はお前には向かってねーよ!」


「向けろ!」


「命令!?」


「性的な意味で人食い妖怪になるよ! アタシはそう───おとめ妖怪!!」


「そんなかわいいもんじゃねーよ! 暗黒オーラ100%だよ!」


あぶねー、ちょっと気を抜いたらすぐ覚醒しやがる。

俺の貞操の為にも、全力で抵抗させてもらうぜ…!!


「ほらほら、こー。解散するんでしょ? 痴話喧嘩してないで行くよ」


「助けてくれたのを感謝するべきか痴話喧嘩と言われてるのを怒るべきか分からん! 複雑だけどとにかくありがとうフミ!」


「はいはい。じゃあ、いこ? 晶さんも、じゃあね」


「むー…フミくんが言うなら……」


流石フミ…!

晶ストッパーとしてフミと早紀の二人は外せねぇぜ!

俺には出来ないことをアッサリとやってのける!


「こーが今なにを考えてるのか良く分かるよ…」


そこに痺れる憧れるゥ!!


「別に大したことしてないと思うんだけどなぁ」


フーミ!

フーミ!


「なぁ、こいつら馬鹿か?」


「馬鹿だとは思うけど、慎一には言われたくないでしょうね」


「なんで!?」


フーミ!

フーミ!


何とも締まらない俺たちだった。

慎一くんはラッキーボーイです。

Fate的ステータスで言えば

幸運:A++

くらいです。

ギルさんと同じですね。

幸希くんは幸運Bくらいですが、黄金律Aを持ってます。

金には困りません。

うははは。

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