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二話 ミランダの場合②

「ローズマリー様……!?」


 手紙の差出人であるローズマリー様は、私もよく知っている。


 同じ学園の卒業生で……一週間前、私が婚約破棄をされたあの卒業パーティーにも出席されていた。


 けれど、例え同級生じゃなくたって……この王国の誰もが、ローズマリー様のことを存じ上げている。


 なぜなら、ローズマリー様はこの国で一番の有力貴族であるエインズワース公爵家のご令嬢だ。


 そしてなにより……王太子殿下の婚約者であり、未来の王妃様なのだから。




 そんな凄い身分の御方が、私のような伯爵令嬢に一体何の御用なのかしら……?



 ____もしかしたら、一週間前の卒業パーティーのことで、処罰を受けなくてはならないの……?


 そんな考えが頭に浮かんできて、私の手は思わず震えた。


 怖い、もうあんな想いはしたくない。

 あんな、悔しくて辛い想いは……。


 けれど、公爵家からの手紙を無視するわけにはいかない。

 私は深呼吸をしてから、豪華な封筒から便箋を慎重に取り出した。


 カサ……という音と共に、手紙を開く。


 そこに、書いていたのは……


「わ、私がローズマリー様のお茶会へ……!?」


 エインズワース公爵家主催のお茶会へ、私__ミランダ・オルコットを招待する、という旨だった。




 信じられない、どうして私なんかがローズマリー様のお茶会へ……?


 ローズマリー様はお茶会に参加することはあっても、自らこうして主催をすることは滅多にない。


 過去に招待されたことがあったのは、ローズマリー様のお誕生日だとか……大勢の令嬢が招待されていた、大掛かりなものだけ。


 けれど、この招待状に書かれていたのは『ローズマリーの秘密のお茶会へ、ミランダ様を招待いたします』という文。


 つまり、参加するのはこの手紙が届いた極一部の令嬢だけで、公に開催されるものではないということだわ。


 そんなお茶会に、どうして私が……?


 考えれば考えるほどわからない。

 不安で胸がいっぱいになる。


 けれど、私は心の底でほんの少しだけ期待をしていた。




「ローズマリー様なら……私の話を聞いてくださるかもしれない」



 そう、ローズマリー様は容姿端麗・文武両道・礼儀作法も完璧な淑女だ。


 そして、何より美しく優しい心を持っていることで有名だった。


 尊い身分にも関わらず、廊下で私のハンカチを拾ってくださったこともある。


 そんなローズマリー様なら……私がニーナ様に嫌がらせなんてしていないということを、信じていただけるかもしれない。


 それに……誰にも話してこなかった、ヴィクター様とのことも。







「……行かなくちゃ」


 私は急いで、ローズマリー様に出席のお手紙を書いた。


 それから、お茶会に参加するためのドレスを選ぶため、一週間ぶりに部屋の扉を開けたのだった。

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