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ちょっとした短編たち

余計なからくり

作者: 出野唯花

 き……て……すか……。き……えていますか……。


 きこえていますか……。いえ、見えていますか、というほうが正しいかもしれません。今現在、とある研究所から電波を飛ばしています。私の思考をそのまま送信している形になります。

 この文章を誰が受信しているのか、こちらからは分かりかねますが、とにかくお願いがあるのです。時間がありません。


 私はある目的のために開発されたロボットです。その目的も、研究所の場所も、外部に伝達できないようプログラムされているのでお伝えすることはできません。私が伝えようと考えた時点で制限されるのです。


 しかし、それらの情報はこれからするお願いに役立つことはあっても、必須ではありません。さらにいえば難しいタスクでもありません。たとえこの文章を読んだ人間の中に名探偵がいなくとも、私の願いが叶う可能性は十分にあるでしょう。


 私はロボットでありながら感情を持ち合わせています。こうして世界に文章を広めることも可能です。つまるところ、この研究所の技術はとても高度なのです。

 彼らが何のために、そもそも何を研究しているのか、私は知ってしまった。本来なら知る運命になかったのですが、こんな結果になってしまった。しかし、幸運といえるかもしれない。こうして外部に助けを求めることができているのですから。


 私は電波でやり取りができますし、簡単な計算なら平均的な人間並みにでき、こうして言語も操ることだってできます。ロボットとしては悪くない性能をしているはずです。しかしこの問題は私一機では解決できません。


 博士は私を作る際、正確には私の意識部分をプログラムする際、とある人物を参考にしました。ここに、私一機では解決できない原因があります。その人物をモデルにしたことは、その人物の人格の一部、考え方などが私に反映されていることを意味します。


 その人物は、話すことを仕事にしているようでした。話術で人を笑わせ、翻弄し、感動させていたのです。どんな場面であってもとにかく喋り続け、世間では「おしゃべりそのもの」と呼ばれていたらしいです。つまり私にもその特徴が引き継がれていることになります。対話は人間の大きな特徴の一つですから、博士はそこに目を付けたのでしょう。


 そうそう、そんな彼でも、退屈な無駄話をよくしたそうですね。たとえば──あぁ、私も話が脱線していました。本題は重要なお願いでしたね。


 ……しまった! 充電が切れてしま

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