第6話:鬼狩りの影
第6話:鬼狩りの影
鬼の墓標で力を制御する術を学び終えた灯りは、再び山を下る。
胸に抱くのは、父・宵の記憶と、母の涙。そして鬼と人のはざまに生きる者としての覚悟。
だが、彼女を待ち受けていたのは、予想を超える脅威だった。
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村に忍び寄るもの
灯りの育った山里の村では、異変が起きていた。
家畜が次々と姿を消し、夜には奇妙なうめき声が響く。
人々の間で噂される――「鬼が戻ってきたのではないか」と。
しかし、それは誤解だった。
村に現れたのは、“鬼を狩る者たち”。
そのリーダーと名乗った男の名は、《烏丸。
――宵を滅した男であった。
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再会
「……おまえが、宵の娘か」
村の広場で、灯りはついに烏丸と相対する。
「見ればわかる。片目に金、鬼の爪。……醜い混ざり者だ」
静かに怒りを燃やす灯り。その手の爪がきらりと光る。
「……父を殺したのは、あなただったのね」
「鬼は害だ。いくら人と交わろうと、その血に争いは起こる。
わたしは正義を行ったまでだ」
正義――
その言葉に、灯りは唇を噛んだ。
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灯る金の瞳
烏丸の隊が村人を脅し、鬼の血が混じった存在をあぶり出そうとしていた。
「おまえがこの村に災いを招く前に――我々が裁く」
そう言って剣を抜く烏丸。
――灯りの感情が沸点に達する。
「なら、私はあなたを裁く。
私の中の鬼が、そう言っている……!」
金の瞳が輝きを増し、背に黒き影のような力が沸き上がる。
宵の角が、一本、額に浮かび上がった。
村を包む空気が変わる。
戦いの幕が、切って落とされた――。