表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『優しき鬼灯(ほおずき)』  作者: 赤虎鉄馬
5/39

第3話:灯り、目覚め



第3話:灯り、目覚め


 ――山あいの小さな里に、ひとりの少女が住んでいた。


 名は、あかり

 黒髪に、どこか影を帯びた瞳。

 右目だけが、金色に輝いていた。


 それは、彼女の父・宵から受け継いだ“鬼の血”の証。

 左目は人間。右目は鬼――

 人と鬼、その狭間で生きる少女だった。


 幼い頃から、彼女は「化け物」と呼ばれ、村の外で母とひっそりと暮らしていた。

 けれど、灯は笑っていた。母がそばにいれば、それでいいと。


 ……だが、世界はそんな優しさを許しはしなかった。



--


 村に放たれた火の手。

 母を追い詰める人々の怒号。

 「鬼の血が災いを呼ぶ」「滅せよ、忌み子を!」


 ――その時だった。


 「やめて……これ以上、母さんを……っ!」


 怒りが、限界を超えた。

 視界が赤く染まり、耳鳴りのように血が叫ぶ。


 灯の背に激痛が走り、右目の金が燃え上がる――


 「……ッ、あああああああっ!!」


 爪が裂けるように伸び、鋭く煌めいた。

 そして、額に――


 一本の角が現れた。


 それは父・宵が持っていた、誇り高き鬼の証。

 灯の中で、父の魂が応える。


 ――守れ。愛する者を。


 村人がたじろいだ。灯の姿は、人ではなかった。

 だが、彼女の叫びは人のものだった。


 「……これ以上、私の大切なものを壊させない!!」


 風がうねり、周囲の木々が折れる。

 ――灯は、“鬼としての力”をその身に解放したのだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ