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世界最強の冒険者は動かない!  作者: あくあまふぃん
本編1 最強なのかもしれないけど私はそうは思わない
7/7

Chapter 6 新しい仲間

お久しぶりです。

めっちゃ期間が空いてしまいました。

本当にごめんなさいm(_ _)m

表記ゆれなどにお気付きの場合は誤字報告をお願いします。


※字下げ、サブタイトル完全に忘れてました。すみませんm(_ _)mm(_ _)m

 カッ!!


「思い知らせろ、神の力の一端を――」


 そう低く呟いたフェルマノートの身体から黒と紫の螺旋状の光が溢れ始めた。

 まぶしい、たすけて、じゃーでさま


 じゃーでさまはわたしからめをそらしました。

 きっとしんえんなるおかんがえがあるのでしょう。

 こわい、こわいよ


永遠の檻(エターナルケージ)


 じゃーでさま

 まもって


「羽水っ」


 このままだとじゃしんがわたしをやつざきにしてしまいます


「目、覚まして!」


 どうか


初期化(リセット)




 その朗々とした声が、私の全身を揺らした。

 今まで見えていた幻想的で輪郭の曖昧な視界はぱっと消え去り、それに取って代わるかのように緑の鮮やかな風景、そして私の顔を覗き込むフェルマノートの姿が目に映る。

「羽水、大丈夫?」

 心配そうな声色。

「⋯⋯いまの、フェルマノートがやったの?」

「まあ、ね」

 私の瞳は恐怖の色を滲ませた。

「⋯⋯ジャーデは、どうなったの」

 視線を伏せつつ、私は問うた。

 腐ってもフェルマノートは神だ、あの檻を私を狙って打って失敗したはずがない。となると、ジャーデが狙われていた可能性が睨まれる。

 しかし、フェルマノートの返答は予想していたものとは異なっていた。

「死から切り離したよ」

 ⋯⋯殺してないどころか、不死身にしたっていうこと?

「そうだよ。

 永遠に命を捨てられないっていう鎖に縛って、八つ裂きにして」

 誰にも知られないままずっと切り刻まれるんだよ。

 その淡々とした口調で紡がれた言葉が、私の胸をきゅっと締め付けた。

「⋯⋯ねえ」

 私は震える声でフェルマノートに尋ねた。

「他に、なかったの⋯? グリーンくんは、そんな極悪人なの⋯⋯?」

 その残酷な仕打ちに、思わず私はグリーンくん―ジャーデに同情した。

「そうだよ。だって、他ならない羽水を傷つけたんだから」

 神の持ち物に手を出したんだよ、天誅くだされて当然でしょ、と彼女は平然と続けた。

「ほんとは、もうちょっと痛めつけようと思ってたんだけどね、羽水が催眠状態だから精神的ショックは避けたくって」

「⋯⋯催眠状態云々じゃないよ」

 私はフェルマノートに反論した。

 こんな話聞いたら、誰だって苦しくなるよ。

「フェルマノート、お願い」


 ジャーデを解放して。


 私の悲痛な願いに、フェルマノートは一瞬だけ理解できないという顔をしたが、すぐに明るい笑顔に戻り、頷いた。

「しょうがないな、もったいないけど返すかー」

 フェルマノートは薄紫色の魔法陣を展開した。

「召喚―ジャーデ・エクシェンティモ」

 フェルマノートがそう言って魔法陣に手をかざすと、周囲の草が旋風(つむじかぜ)に巻き込まれたかのように螺旋を描き、やがてグリーンくんが空から降ってきた。

 あれ? ちょっと窶れてる?

「⋯⋯どういうことだ」

 そう低く呟き、グリーンくんは私を睨んだ。

「俺が⋯⋯原生生物ごときに負けるなどありえない⋯」

「ジャーデ、それは間違ってる」

 フェルマノートはきっぱりと言った。

「フェルマノート⋯⋯」

 なんとなく嫌な予感がして、思わず私は呟いた。

 もし、フェルマノートが原生生物じゃなくて神様だってわかったら、私たちは――。



「私がジャーデを封印して、そのあと羽水が君を助けたんだよ」



 ⋯⋯はい?

 いや、間違ってはないよ? たしかに私はジャーデを救ってほしいってお願いしたけど実際動いたのはフェルマノートじゃん!

 見え透いた悪意に私は苦笑する以外できなかった。


「ウミ、と言ったな」

 グリーンくんは静かに言った。

「⋯はい⋯⋯」

「⋯⋯先の無礼な発言。すまなかった」

 純粋な謝罪。

 その言葉に、私は驚いた。

 いつもプライド高そうな感じしてるのに、こんな素直な言葉を発するなんて。

「大丈夫、です⋯お気になさらず⋯⋯」

 か細い声での拒絶。もちろんそれがグリーンくんに通用するわけがなく―。

「ウミ」

 突然ジャーデの大きな手が私の両肩を掴んだ。

「な、なんですか⋯⋯?」

「今日退職届を出す」

「え⋯⋯!?」

 急な話に私はもちろん驚いた。私なにか悪いことしましたか⋯⋯?

「ご、ごめんな―」


「だから、仲間に入れてくれないか」


 その言葉に、私は言いかけていた言葉を引っ込めた。

「やだね」

 フェルマノートは条件反射並の速度でグリーンくんを拒絶した。

「⋯⋯そうか」

 そうだよな。

 グリーンくんは一瞬暗い笑みを浮かべたが、すぐに真顔に戻った。

「では俺は実家にでも帰るか。ウミ、幸運を祈る」

 グリーンくんは少し弱々しい足取りで背中を向け、歩き出そうとした。

「グリーンくん」

「ジャーデだ」

「ジャーデ」

 私はジャーデの目をまっすぐに見つめた。



「一緒に、行こう」



 フェルマノートはあんぐりと口を開け、ジャーデは目を見開いた。

「いいのか、⋯フェルマノート、殿」

「うーん。

 ま、羽水がそうしたいなら、いっか!」

 フェルマノートはいつもの明るい声に戻って、にっこりと笑った。


「ようこそ、世界最強奪還の集いへ」

余談


羽水「何その名前!?」

フェ「今決めたんだよー」

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