Chapter 6 新しい仲間
お久しぶりです。
めっちゃ期間が空いてしまいました。
本当にごめんなさいm(_ _)m
表記ゆれなどにお気付きの場合は誤字報告をお願いします。
※字下げ、サブタイトル完全に忘れてました。すみませんm(_ _)mm(_ _)m
カッ!!
「思い知らせろ、神の力の一端を――」
そう低く呟いたフェルマノートの身体から黒と紫の螺旋状の光が溢れ始めた。
まぶしい、たすけて、じゃーでさま
じゃーでさまはわたしからめをそらしました。
きっとしんえんなるおかんがえがあるのでしょう。
こわい、こわいよ
「永遠の檻」
じゃーでさま
まもって
「羽水っ」
このままだとじゃしんがわたしをやつざきにしてしまいます
「目、覚まして!」
どうか
「初期化」
その朗々とした声が、私の全身を揺らした。
今まで見えていた幻想的で輪郭の曖昧な視界はぱっと消え去り、それに取って代わるかのように緑の鮮やかな風景、そして私の顔を覗き込むフェルマノートの姿が目に映る。
「羽水、大丈夫?」
心配そうな声色。
「⋯⋯いまの、フェルマノートがやったの?」
「まあ、ね」
私の瞳は恐怖の色を滲ませた。
「⋯⋯ジャーデは、どうなったの」
視線を伏せつつ、私は問うた。
腐ってもフェルマノートは神だ、あの檻を私を狙って打って失敗したはずがない。となると、ジャーデが狙われていた可能性が睨まれる。
しかし、フェルマノートの返答は予想していたものとは異なっていた。
「死から切り離したよ」
⋯⋯殺してないどころか、不死身にしたっていうこと?
「そうだよ。
永遠に命を捨てられないっていう鎖に縛って、八つ裂きにして」
誰にも知られないままずっと切り刻まれるんだよ。
その淡々とした口調で紡がれた言葉が、私の胸をきゅっと締め付けた。
「⋯⋯ねえ」
私は震える声でフェルマノートに尋ねた。
「他に、なかったの⋯? グリーンくんは、そんな極悪人なの⋯⋯?」
その残酷な仕打ちに、思わず私はグリーンくん―ジャーデに同情した。
「そうだよ。だって、他ならない羽水を傷つけたんだから」
神の持ち物に手を出したんだよ、天誅くだされて当然でしょ、と彼女は平然と続けた。
「ほんとは、もうちょっと痛めつけようと思ってたんだけどね、羽水が催眠状態だから精神的ショックは避けたくって」
「⋯⋯催眠状態云々じゃないよ」
私はフェルマノートに反論した。
こんな話聞いたら、誰だって苦しくなるよ。
「フェルマノート、お願い」
ジャーデを解放して。
私の悲痛な願いに、フェルマノートは一瞬だけ理解できないという顔をしたが、すぐに明るい笑顔に戻り、頷いた。
「しょうがないな、もったいないけど返すかー」
フェルマノートは薄紫色の魔法陣を展開した。
「召喚―ジャーデ・エクシェンティモ」
フェルマノートがそう言って魔法陣に手をかざすと、周囲の草が旋風に巻き込まれたかのように螺旋を描き、やがてグリーンくんが空から降ってきた。
あれ? ちょっと窶れてる?
「⋯⋯どういうことだ」
そう低く呟き、グリーンくんは私を睨んだ。
「俺が⋯⋯原生生物ごときに負けるなどありえない⋯」
「ジャーデ、それは間違ってる」
フェルマノートはきっぱりと言った。
「フェルマノート⋯⋯」
なんとなく嫌な予感がして、思わず私は呟いた。
もし、フェルマノートが原生生物じゃなくて神様だってわかったら、私たちは――。
「私がジャーデを封印して、そのあと羽水が君を助けたんだよ」
⋯⋯はい?
いや、間違ってはないよ? たしかに私はジャーデを救ってほしいってお願いしたけど実際動いたのはフェルマノートじゃん!
見え透いた悪意に私は苦笑する以外できなかった。
「ウミ、と言ったな」
グリーンくんは静かに言った。
「⋯はい⋯⋯」
「⋯⋯先の無礼な発言。すまなかった」
純粋な謝罪。
その言葉に、私は驚いた。
いつもプライド高そうな感じしてるのに、こんな素直な言葉を発するなんて。
「大丈夫、です⋯お気になさらず⋯⋯」
か細い声での拒絶。もちろんそれがグリーンくんに通用するわけがなく―。
「ウミ」
突然ジャーデの大きな手が私の両肩を掴んだ。
「な、なんですか⋯⋯?」
「今日退職届を出す」
「え⋯⋯!?」
急な話に私はもちろん驚いた。私なにか悪いことしましたか⋯⋯?
「ご、ごめんな―」
「だから、仲間に入れてくれないか」
その言葉に、私は言いかけていた言葉を引っ込めた。
「やだね」
フェルマノートは条件反射並の速度でグリーンくんを拒絶した。
「⋯⋯そうか」
そうだよな。
グリーンくんは一瞬暗い笑みを浮かべたが、すぐに真顔に戻った。
「では俺は実家にでも帰るか。ウミ、幸運を祈る」
グリーンくんは少し弱々しい足取りで背中を向け、歩き出そうとした。
「グリーンくん」
「ジャーデだ」
「ジャーデ」
私はジャーデの目をまっすぐに見つめた。
「一緒に、行こう」
フェルマノートはあんぐりと口を開け、ジャーデは目を見開いた。
「いいのか、⋯フェルマノート、殿」
「うーん。
ま、羽水がそうしたいなら、いっか!」
フェルマノートはいつもの明るい声に戻って、にっこりと笑った。
「ようこそ、世界最強奪還の集いへ」
余談
羽水「何その名前!?」
フェ「今決めたんだよー」




