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世界最強の冒険者は動かない!  作者: あくあまふぃん
本編1 最強なのかもしれないけど私はそうは思わない
6/6

Chapter 5 ホームレス脱出!

前話でタイトル詐欺になっておりました。

申し訳ございません。。

 特訓か。

 昨日だいぶやった気がするんだが。

「昨日は緑力を扱う練習だったからねー。今日はその影響力を強くするよ!」

 影響力?

「厳密には、『現実世界に存在するあらゆるものへの干渉の度合いを大きくする』かな。方法は大きく分けて二つ。

 一つは、『緑力を”存在させたあとも周囲に干渉し続けるもの”に顕現する』。例えば昨日羽水がつくった桜の花びらは、周囲の空気の組成も変化させなければ、この星にかかる引力を大きく変化させるわけでもない。緑力を顕現させるとき、顕現させたあとの影響力が大きければ大きいほど難易度は上昇して、必要な緑力も増えるよ。例えばめっちゃでかくてめっちゃ重いものとか、あとは、予め眷属として設定してから顕現させると生命が宿るから、ものにもよるけど質量やら体積がでかいやつより難しいかもねー。

 二つ目は、『籠める緑力の濃度を高める』。必要のない緑力は水蒸気と同じで発散されるからね。何が緑力を大量に発散してるのかを紛らすのに便利だよ」



 なるほど。

 一口に「緑力顕現」といっても、奥深いんだね。

 陽キャとは思えない説得力&わかりやすさだ。

「ちょっと羽水! まーた失礼なこと考えてるでしょ!」

「えー? 知ーらない」

「言動に責任を持てー! この世界は言霊もちゃんとあるんだからね!」


 え!?

 突如知らされる新情報。

 いや虚言癖の人終わるやんけそれ。

 ん?

 私は虚言癖じゃないからどーぞご心配なく。



「んじゃ、まずはでっかいもの創りますか! ⋯そうね、羽水のマイホームでも建てちゃう?」

 自分で建てたマイホーム⋯憧れる⋯。

 だがフェルマノートよ。そんな簡単に言うけどさ⋯。

「⋯そんなの私の緑力でできるの?」

「できないに決まってるでしょ! 他の植物から緑力を取り入れるの! 羽水からしたら食事なんて基本そのためなんだから! っていうか意図的に緑力を消費しないんだったら食事も必要ないんだよ?」

 え、そうなの!?

 よし、引きこもろう!

「ごるぁ羽水!! んなことしたらこの世界滅亡するでしょーが!」

「忘れてましたっ! ごめんなさい! 許してください!」

 ということで立派なマイホーム、作るぞー。



「えーと、まずは緑力を視る⋯」

 そばに立つ黒い木をじっと見つめる。

 やがて、葉脈の一本一本から緑力の粒が―。

「羽水ー!伝え忘れてたー!」

「ちょっとフェルマノートぉ! せっかく私集中できてたのにー!」

 私は反省する素振りも見せないフェルマノートに一発お見舞いしてやった。

「しばらくそこで反省してろ」

 ふっ、神を手中に収めるってなんと気分がいいのでしょう!

「え、あの羽水さん⋯詠唱、すればいいんだよ⋯」

 こわごわと話しかけてくるフェルマノート。おい、反省してないだろ絶対。

「⋯って、え、詠唱?」

「うん。習得した魔術は魔術概覧に表記されている魔術名と、効果を増幅させる呪文みたいなのを唱えれば即座に発動できるんだよ!」

 えっ、魔術概覧超有能~。

「で、呪文ってどうすればいいの?」

 極めると頭に浮かぶみたいな?

 効果増幅って、緑力視認は何が変化するんだ⋯?

「どうするんだっけ⋯」

「ふっざけんなこの物忘れピンク神が!」

「はいはい、なんでもないよ、なーんーでーもーなーいー!」

「黙れ質問に答えろやピンク」

「純粋な心が感じ取る、その状況に最も適した文言を発するだけだよ。ま、汎用性ある呪文も存在するけど、オリジナルのほうが効果は高いねー。

 ⋯⋯あと羽水。舐め過ぎじゃない? あたしのこと。まさか調子に乗ってる? 神やぞこちとら」

 いつもどおり顔は微笑んでいる。だが、目が笑っていない。本気で言っているようだった。

 お、怒らせちゃった⋯?

 確かにふざけすぎたかも。



 フェルマノートは神様、だもんね。

 本来は人間ごときには到底及ばない領域にいるんだから⋯。

「ごめん、なさい、フェルマノート⋯」

「ま、そんな堅苦しくなくていいから、軽蔑とかはやめてね? ってだけよ。ってことで詠唱するバージョンで緑力視認、やってみてー」

「う、うん⋯」

 さっきの威圧感が抜けず、フェルマノートみたいにすぐに明るくなれるわけがなかった。



「ううっ」

 突然心臓をつままれたような不快感が私を襲った。



「羽水?」

 精神を捻られるような、強烈な苦痛の波が次々に押し寄せてくる。

 私の顔をフェルマノートが覗き込む。

 怖い、よ⋯フェルマノート⋯。

 これも、あんたの仕業⋯⋯なんでしょ?

「あ、やりすぎちゃったかも⋯ごめんって羽水!」

 逆らえない。

 《危険、交流を放棄しますか?》

「てか、それ、あたしじゃなくてジ―」

 私の主は⋯。

 ジャーデ様⋯⋯だから⋯。

 指示を⋯待つ⋯⋯。

 こんな怪しくて危険な神にすがる必要など⋯⋯さらさらない⋯。

「羽水⋯?なんかおかしい、よ?どこか調―」



「何をぼさっとしている、原生生物」

 主⋯様⋯⋯のお声⋯⋯⋯。

「主様⋯お待ちしておりました⋯」

「羽水っ!?ちょっと、何変なこと言ってんの!」

「おや、フェルマノート殿。申し訳ないが、お取引願えますか?」

「お前、羽水に何をした⋯!」

「契約だが」

「羽水の同意なくそんなことするな!お前⋯」

「君に居場所はないんだ。それは人間界に逃げたって同じ」

「何勝手なことを⋯」

 フェルマノートは俯いた。

 そんな契約、打ち消してやる。

 そう、低い声で呟いた。

お読みいただきありがとうございます。

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