表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

第12話 修行場にて

 私は、何のことをいわれているのかわからなかった。

 ギルドに下級なんて、ものがあるの?


「リティラシー出身だな?」


「どうして、ギルドの名前を?」


「無名なギルドだけど、あのアコーソと集団が壊滅させたギルドだからさ。


おいらは、ニュースになった時に初めて知ったんだがな。


メンバーの教育もせず、魔力を磨かず、ひたすら武器だけの修行をさせる。


これで、セリオがこの世界のことを知らないということにも合点がいくな」


 私は、異世界に来て、すぐにリティラシーに入団した。

 だけど、そこでは本当に武器以外の修行をしたことがないし、魔力とか、この世界の常識とか言われても、何のことだかわからなかった。


「セリオよ、ギルド選びを間違えたな。


これからは、お師匠様に常識をたたき込んでもらうのだ」


 ここで、扉を開く音がした。


「外が騒がしいんだが、何を話しているのですじゃ?」


 道場の扉を開けたのは、老人だった。

 声は低く、縁なしの眼鏡をかけていた。


「おー、お主はペングウィーではないか?」


「お師匠様、久しぶりですね。


そして、今回は修行で鍛えなくてはならない人がおります」


「またか。


今度は、どんなのだ?」


「おいらの隣にいる彼女は、魔力を一切持たない幼女です。


クライム地方での戦闘ができるようになるために、鍛えてほしいのです」


「初めまして」


 老人は、私の顔をまじまじと見た。

 あんまり、真剣に見られるのはやだな。


「わしは、マイスターと言いますのじゃ。


お主は?」


「私は、セリオと言います」

 

 なんか、わからないけど、厳しそうな人だな。

 私は緊張と恐怖のあまり、怖気づいてしまう。


「セリオか。


クライム地方に行くことを、希望しているのか?」


「はい」


「魔力を感じないのだが、そんな状態で本当に行こうとか思っているのか?」


「え?」


「クライム地方は、世界で一番治安が悪いところだ。


素人が、修行のためとか言って、行くところじゃない。


そこは、内乱とかも普通に起きるところだ」


「私も内乱に巻き込まれる危険があるということですか?」


「まともに戦える状態ならな。


クライム地方は、爆発事故も多いから、巻き込まれたら、そこで人生が終了したものとなる。


」わしの弟子も何人か、クライム地方に行ったものの、連絡がつかなくなった人も少なくはない。


そして、魔法精霊は、各地方にいるのだが、クライム地方だけは一匹しかいない。


その名も、サルヴァトーレ。


彼だけがクライム地方に向かうことができて、有名な魔法精霊だ。


だが、今となっては音信不通だがな」


「警察とかは頼りにならないんですか?」


「警察はいるみたいだが、何人か事件に巻き込まれて、

警察も被害者になってしまうか、

犯罪者の仲間入りになってしまって、

誰を信用していいのかわからなくなる。


また、警察は異動願いを出して、クライム地方を出てしまうことがあるくらいだ。


セリオは、その地方のことを何もわかっていないな」


「はい・・・・」


 まさか、こんな危険な場所にいるなんて知らなかった。


「セリオは、今まで何をしてきたんだ?


どんな生活を送ってきた?」


「私は3年前にギルドについて、槍での修行をひたすらしていて、外の交流を持ってなくて・・・・」


「お師匠様、彼女はリティラシー出身みたいです」


「リティラシー?


リティラシー地方か?」


「はい。


ギルド名が、リティラシーということは、その地方で間違いないと思われます」


 そこで、マイスターさんはため息をつく。


「リティラシーとは、そこに下級ギルドがあり、落ちこぼれだけが通う学校があり、宗教はあるが、魔法学園はない」


「お師匠様、魔法学園がない地方なんてあるんですか?」


「そんな地方はたくさんある。


実際、クライム地方にもないしな。


リティラシーは、わし達の住む隣の地方だ。


そこに住んでいる者は、教育が受けられず、世界で二番目に治安が悪いが、魔法を使えない者も少なくはない」


「私がいた地方が、世界で二番目に悪いんですか?」


 まさか、私がそんなところにいたなんて。


「クライム地方が魔力で支配をする場所なら、リティラシーは暴力で支配する所だ。


そこは、食料困難や、家がない人が多く、ギルドや施設、宗教内で生活する人が多い。


または、わざと犯罪を犯し、警察に捕まり、牢獄での生活を選ぶなんてこともある。


教育を受けられないために、知識もない」


 私は、どんな反応をすればいいのかわからなかった。

 だけど、これだけはわかった。


 この人を師匠として迎えてしまえば、自分が壊れてしまいそうだ。


「ペングウィー、私は帰るわ」


「急にどうしたんだい?」


「とにかく、帰るものは帰る」


「ほう?」

 

 マイスターさんは、顔をしかめていた。


「マイスターさん、ありがとうございます。


ですが、私は君の弟子になれません」


「これでよい」


「え?


いいの?」


 ペングウィーは驚いていた。


「弟子と師匠は、ウィンウィンでなくてはならないかな。


誰かに強制されての教育は、何も進歩しないですじゃ。


魔法を鍛えることが、正しいわけじゃないからな」


「ペングウィー、私はクライム地方へ行くわ」


「そんな、無謀な!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ