1話 出会い 60032250
今日もめんどくさい学校生活が始まる。
やっぱいつになっても月曜日は好きになれないな。
キーンコーンカーンコーンと朝礼のチャイムがなると騒がしかった教室も静まり、全員着席した。
「はい、おはようございます。 今日も一日頑張っていきましょう。」
先生の少し長い話を聞きながらも俺は来週のテストに向けて勉強をしていた。
俺はこれといった趣味がない。
だから、別に勉強をすることは苦ではない。
ゲーム、恋愛、友情.....何も興味がない。
◇◇◇
午前の授業が終わり、優心は昼食を摂るために食堂に向かっていた。
「おい、あれ見ろよ。」
「あぁ...いつ見ても美人だよなぁ...まじで付き合いてぇ...」
廊下に何人もの生徒が立ち止まり、ある1人の生徒を眺めていた。
俺も後ろを振り返り、少し覗いた。
「やっぱり、綺麗だよな...黒金月奈。」
「まじでそれな、めっちゃ美人だよなぁ!」
あぁ、黒金さんか。
黒金月奈、この学校一の美女である。
ルビーのように輝いた赤い目に清楚を漂わせるような黒髪ロングヘアに少し金色の髪が混ざっている。おそらく染めているのだろう。
この学校の生徒なら誰でも知っている超有名人だ。 学校一の陰キャである俺ですら知っているレベルで知らない人なんているのか?っていうぐらいだ。
これはいつも通りの光景だ。
黒金月奈が昼食を摂るために別の教室に移動する時、いつも黒金月奈の教室には人が集まる。
みんな、何かしら関わりを持ちたいと思うのだろう。
さて、俺ももうそろそろ、昼食を食べに行くか。
俺は1階にある食堂に向かった。
◇◇◇
キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、今日の授業はここまでだ。
テストが近いからお前らちゃんと勉強しろよ。」
生徒達はダルそうな声で「はぁい〜」と言い下校した。
今日もやっとめんどくさい学校が終わった。
最近、だんだん学校に行く意味を感じられなくなってきた。
家に帰っても誰もいない。
どんな遅い時間にお風呂やご飯を食べても怒られることはない。
今日は家に帰ったらすぐ寝るか...その後に飯でも食うか。
俺は家に到着したら何をするか考えながらゆっくりと帰って行った。
そして、眠気が襲ってきて、俺はうっかりと瞬きをした。すると...
「あぁ?」
俺の視界にはありえない光景が映っていた。
左遠くには火山があり、右遠くには竜巻や津波が起きていた。そして、雲はどす黒く、地面は赤と黒が混じったような色をしている。
この光景を見た時、俺はあることが頭に過ぎった。
「まさか、これがいわゆる地獄っていうやつか?」
いやいや、ありえないだろ。
何か悪い夢だ。多分相当疲れてるんだろな俺。
いや、待て...夢を見る人は深い眠りに入れてないと聞いたことがあるぞ。
じゃあ、早く夢から脱出したいのだが...イテッ!
俺が色々考えている時、いきなり何かが俺の頭にぶつかった。
後ろを振り返るとそこには小石が落ちていた。
これか...というか今、痛覚があったような...気のせいか?
「イテッ!」
なんだまたか? また、小石が当たったのか。
そして、また痛みを感じた。
おかしい、夢なら痛みを感じることはないはず。
だが、今確かに痛みを感じた。
つまりこれは...
「夢じゃない!」
俺はこれが夢じゃないことに気づき、焦り始めた。
夢じゃない、つまり今、俺の目に映っているこの光景は現実。
ありえない、そんなことがあるはず...
「ガルルルルルルルルルル...」
俺は咄嗟に後ろを振り向いた。
そこにはこの世のものとは思えない化け物がいた。
「虎、なわけないよな...」
この生き物が何か分からないが1つだけ分かることがある。
こいつは間違いなくやばいということだ。
「ガァァァァァァァ!」
逃げるしかない!
俺は地面を今までにないぐらい全力で蹴り、走った。
学校の50メートル走ですら、こんなに全力で走ったことはないぞ。
何故か、いつもより速く走っている気がする。
人間追い詰められると力がめっちゃ上がるもんだな。 でも...
「ガオォォォォォォォォォォ!」
あいつの方が何倍も速ぇじゃねぇかよ。
ダメだ、追いつかれる。
「ガオォォォォォォォォ!」
バケモノは俺の体に飛び乗った。
爪が俺の肩や腕を突き刺す。
そして、俺の肩に噛み付こうとする。
「グワァ、アァァァァァ!」
クソ痛てぇじゃねぇかよ...あ〜これは死ぬわ。
まあ、別に悔いは無いし、いいか。
まあ、死に方を選べないのだけは残念だけどな。
ったく、美味そうに俺の肉を食いやがって。
人間の肉って美味いのか?
「ガハッ!」
やばい、もう意識が...無く、なる。
俺の意識が消えそうになったその瞬間...
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
女らしき声が遠くから聞こえた。
どこか、聞き覚えのある声だった。
一体誰だ?
俺は少しの力を振り絞って目を開いた。
「ヤァッ!」
「ガオォォォォ!」
女が空から降ってきて、刀でバケモノを斬った。 バケモノは俺から離れた。
「ガオォォォォォォォォ!」
バケモノは地面を蹴って女に向かって突っ込んでいく。それに対して、女は刀を構える。
バケモノが飛び込んだ。
その刹那、女は一瞬で懐に入り、バケモノの腹を斬り裂いた。
「ガァァァァァァ...」
バケモノは灰のように消えていた。
俺はバケモノ斬った女性の顔を見た。
ルビーのように輝いた赤い目に清楚を漂わせるような黒髪ロングヘアに少し金色の髪が混ざっている。そして、強い顔をしていた。
「あなた、大丈夫?」
俺はこの女性を知っている。
そう、彼女の名は...
「私は黒金月奈。 あなたは?」
「僕は影山優心です。」
これが俺のこれからの運命を大きく変える、黒金月奈との出会いだった。
この作品を書こうと思った理由は実は今日夢でルビーの瞳に黒髪ロングヘアに金髪が混ざっている女の子を救う夢を見たんですよね。
それで展開を想像して書きました。
恋愛要素多めの鬱展開多めで作っていく予定です。